井出草平の研究ノート

不登校

「東京シューレ」創設者、理事長を退任…スタッフの性暴力事件で責任問われる

www.yomiuri.co.jp 不登校の子らを受け入れるフリースクールを運営するNPO法人「東京シューレ」は24日、創設者の奥地圭子氏(80)が、理事長と理事を退任したことを明らかにした。退任は15日付で、男性スタッフによる在籍者への性暴力事件の責任な…

公認心理師・臨床心理士の信田さよ子氏はどう向き合った? 有名フリースクールの性暴力事件めぐる「二次加害」を考える

www.bengo4.com 東京シューレ性暴力事件は、あまり世間に知られていません。私も、抗議を受けて、被害者の人たちから資料をいただくまで、詳しいことは知らなかったんです。問題があったというのは聞いていたけど、「セクハラ」という言葉でまとめてしまって…

不登校アセスメント尺度改訂版(SRAS-R)

link.springer.com この尺度は日本語化されており、下記の論文に収録されている。 ci.nii.ac.jp 登校拒否行動の機能を明らかにする:登校拒否評価尺度の改訂について 臨床家が子どもの登校拒否行動 school refusal behavior の主要な機能を特定するために考案…

不登校の不安の種類は状態-特性不安である

Gilles Brandibasによるフランスにおける不登校の研究。 journals.sagepub.com アブストラクト フランスの中等専門学校における不登校は、大きな懸念材料となっており、今回の調査もそのような背景から行われた。しかし、無断欠席truancy に関連する問題では…

Kearneyによるスクール・アブセンティズムに関する先行研究のレビュー

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov こちらは先行研究のレビュー。 青少年の学校欠席と登校拒否行動:現在のレビュー 概要 学校を欠席することは、メンタルヘルスの専門家、医師、教育者にとって深刻な公衆衛生上の問題である。暴力、傷害、薬物使用、精神疾患、経済的…

Kearneyによるスクール・アブセンティズムに関する先行研究のレビュー その1

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov こちらは先行研究のレビュー。 青少年の学校欠席と登校拒否行動:現代レビュー 概要 学校を欠席することは、メンタルヘルスの専門家、医師、教育者にとって深刻な公衆衛生上の問題である。暴力、傷害、薬物使用、精神疾患、経済的困…

Kearneyによるスクール・アブセンティズムに関するレビュー その3

前回からの続き ides.hatenablog.com link.springer.com Kearney, Christopher A. 2008. “An Interdisciplinary Model of School Absenteeism in Youth to Inform Professional Practice and Public Policy.” Educational Psychology Review 20 (3): 257–82.…

Kearneyによるスクール・アブセンティズムに関するレビュー その2

前回からの続き ides.hatenablog.com link.springer.com Kearney, Christopher A. 2008. “An Interdisciplinary Model of School Absenteeism in Youth to Inform Professional Practice and Public Policy.” Educational Psychology Review 20 (3): 257–82.…

Kearneyによるスクール・アブセンティズムに関するレビュー その1

link.springer.com Kearney, Christopher A. 2008. “An Interdisciplinary Model of School Absenteeism in Youth to Inform Professional Practice and Public Policy.” Educational Psychology Review 20 (3): 257–82. 概要 青少年のスクール・アブセンテ…

「不登校も児童虐待防止法で定義された児童虐待に含まれる」という主張

ci.nii.ac.jp 過激な主張がされている論文である。 虐待は実母によるものが半数 虐待死の加害者は,一般には継父であることが多いと考えられている。しかしながら,継父が加害者であった例は全体の10.0%,実母・継父の組み合わせでも2.2%で,合計12.2%である…

低学年の不登校、過去最多を更新「早期支援を」(産経新聞)

www.sankei.com 不登校の小中学生が前年度より約1万7千人増えて18万1272人になり、過去最多を更新した

大学の卒業率・中退率

公立高校の全日制の卒業率は9割程度というのは比較的有名だが、大学の卒業率はどのくらいなのだろうか。 ちなみに卒業率は9割程度ということは1割程度は高校入学をしても中退をしているということであり、高校に入ったら全員が卒業できているというわけで…

不登校に対する精神医学的診断

不登校の入院例に対してDSM-III-R&IVの多軸診断を行った研究。 古口高志ほか、 心療内科入院治療を施行した不登校症例の病態特徴について : DSM(III-R&IV)多軸評定に準じた形式での評定結果より 心身医学 42(7), 467-474, 2002 http://ci.nii.ac.jp/naid/110…

頂き物

増補 不登校、選んだわけじゃないんだぜ! (よりみちパン!セ)作者: 貴戸理恵、常野雄次郎出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2012/03/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る 増補版です。あと…

不登校、ひきこもりへの支援を語る

イベントのお知らせです。 第Ⅰ部に登壇します。斎藤環さんとイベントに出るのは初めてですので非常に楽しみにしています。 特別企画 「不登校、ひきこもりへの支援を語る」 http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hutoko_hikikomori.html開催日時 平成22年1…

戸塚ヨットスクール 18歳入所者、飛び降り自殺か

また戸塚ヨットスクールで自殺者がでたようだ。 戸塚ヨットスクール:18歳入所者、飛び降り自殺か 毎日新聞 2009年10月19日 12時39分 19日午前9時40分ごろ、愛知県美浜町北方の「戸塚ヨットスクール」の男性コーチから「人が3階から飛び降りた」と1…

不登校の統計(平成20年度)

平成20年度の文科省の学校基本調査の速報が出たので、不登校の統計のアップデートをしておこうと思う。 長期欠席者数 (参考図表3,参考図表4参照) 平成20年度間の長期欠席者(30日以上の欠席者)のうち,「不登校」を理由とする児童生徒数は12万7千人(2千人…

小田晋「社会をとりまく不安」

小田晋,2006, 「社会をとりまく不安--社会精神病理学的解釈」(特別企画 不安とむきあう) 『こころの科学』 (通号 128),64〜68 下記は、不登校が統合失調症だったらというもの。 この形の行動の精神病理学的中核をなしているのは統合失調症であり、その基本…

不登校の薬物療法

小田晋氏の1985年の論文。不登校という用語が一般化する前に書かれた論文であるが、特に古さは感じない。発達障害についての言及がないくらいである。不登校のところを引用。「歯に衣を着せずに」書かれてあるので興味深い。 小田晋,1985, 「不登校現象と…

不登校に含まれるアスペルガー障害の割合

塩川宏郷,2007, 「不登校と軽度発達障害--アスペルガー障害を中心に」 『現代のエスプリ』(474),205〜211. 不登校のうち6%にアスペルガー障害の診断名が付いたという論文。 また、アスペルガー障害の方を見ると、アスペルガー障害のうち3割が不登校状…

木村義則「不登校とひきこもり」

木村義則,2001, 「不登校とひきこもり」 『こころの臨床 à·la·carte』第20巻2号 成人の精神科に勤務していた頃,中学2年から不登校でひきこもりを呈し、90歳の祖父の年金で生活しているが借金も多く,就労できないままひきこもりを続けている30歳の男椎と…

折原茂樹ほか「教育に関する調査統計の読み方」考

折原茂樹,大野高志,山崎真之,雨森雅哉,白井清太郎,2005, 「「教育に関する調査統計の読み方」考−「学校基本調査」における「不登校児童生徒」の検討を中心として−」 『教育学論叢』23,p82〜66. 文部科学省『学校基本調査』で取り上げられる「不登校…

不登校児童の98%は幼稚園出身?

大学の知人から教えてもらった情報。「不登校児の98%は幼稚園出身」という徳島大学の調査があるということなのだ。 ソースは2007年8月16日の『視点・論点』に出演した元「わいふ」編集長、田中喜美子氏の発言。 「3歳までの母子密着が、生きる力の乏しい…

貴戸理恵のオールニートニッポン

第1回 貴戸理恵のオールニートニッポン http://www.allneetnippon.jp/2007/08/1_18.html 2007年8月3日(金)19:00〜21:00 今日の7時からだそうです。

森田洋司『「不登校」現象の社会学』

こちらの研究会のレジメというか、議論の参考にするための引用たち。メモとして。 第III部 現代社会と不登校問題 第8章 学校社会の私事化 第1節 社会の近代化と私事化現象 こうした現代社会の主要な動向を社会学では「プライバタイゼ-ション(privatization)」…

渡邉亜矢子「東京都公立中学校における「学校ぎらい」出現率の学校差および地域差」

渡邉亜矢子,1992, 「東京都公立中学校における「学校ぎらい」出現率の学校差および地域差」 『生活指導研究』第9巻,143-162. 渡邉亜矢子氏の現在の姓は伊藤に変わっているようだ。(参照) 不登校統計やそれを扱ったものを読んでて釈然としなかった部分が、…

保坂亨「不登校の実態調査:類型分類の観点から」

保坂亨,1999, 「不登校の実態調査 : 類型分類の観点から」 『千葉大学教育学部研究紀要』I, 教育科学編 47,7-18. 不登校のミクロの調査。質的にデータを調べている。非常にレベルが高い。この本(ISBN:4130513036)にもこの論文の研究は含まれていたよう…

園田順一ほか「不登校と社会的引きこもり : 発展過程を探り, 対応と予防を考える」

園田順一,高山巌,前田直樹,田中陽子,栗山和広,2004, 「不登校と社会的引きこもり : 発展過程を探り, 対応と予防を考える」 『九州保健福祉大学研究紀要』 5,77-84, 登校刺激あるのみという論文。 登校刺激をしないと「ひきこもり」になるぞ!という脅…

布村育子「不登校経験の語られ方」

布村育子,2004, 「不登校経験の語られ方−不登校と引きこもりの接続を検討する」 『埼玉学園大学紀要』人間学部篇 4,35-48. 「ひきこもり」というものが社会問題化されて以降、「不登校」のリスクファクターとして「ひきこもり」は取り上げられるようにな…

保坂亨「不登校の学校要因(3)地域差と学校差」

保坂亨,1998, 「不登校の学校要因(3)地域差と学校差」 『臨床心理学研究』 36(1),2〜8. 不登校の発生率には地域差のみならず学校差も存在すると言う論文。 まず、先行研究から、地域差について。つまり、子どもたちが育ってくる地域の社会・文化的な要因…