井出草平の研究ノート

Strawberry shortcakes


Strawberry shortcakes (フィールコミックスGOLD)

Strawberry shortcakes (フィールコミックスGOLD)


4人の登場人物のうち一人が過食嘔吐イラストレーター。残念ながらというか(もちろんこのブログ的にという意味で)、摂食障害イラストレーターよりもホテトル嬢に感情移入してしまう描き方。


出来の良い子には感情移入しにくいのかもしれない。でも、そうだとしたら、これはマンガの話だけではなくて、現実も同じなのかもしれない。


追記:
小説やマンガで取り上げられるということは、日常から離れた現象だからだ。加えて気になるのは、小説やマンガでは、拒食より過食嘔吐の方が取り上げられる傾向にあるということだ。


拒食は「食べない」という状態である。つまり「食べる」という行為が欠如している状態であって見た目はどちらかというとジミだ。一方、過食嘔吐は食べた上に、吐くという行為をするため、拒食よりハデで、(括弧付きの)「異常性」*1をアピールすることができる。


しかし、これでは理解可能な存在になっているとは言い難い。寛容さは期待できるかもしれないが、異常性をアピールするのは、摂食障害を理解できない存在として固定してしまう。奇異な見せ物として興味が持たれているに過ぎない。


それでは、ちょっと困るのだ。「分かってもらわなくて良い」という当事者的な思いを分かった上で、それでもやはりそれは困ったものだと思うのだ。

*1:異常だと思っているわけではなくて、世間的に異常だと思われがちという意味で