治療経過共同研究グループ「登録症例の追跡開始時の状態−神経性食欲不振症の治療経過に関する共同研究」

治療経過共同研究グループ,1992,
「登録症例の追跡開始時の状態−神経性食欲不振症の治療経過に関する共同研究」
『厚生省特定疾患神経性食欲不振症調査研究班 平成2年度研究報告書』


はじめに

神経性食欲不振症の治療予後に関するprospectiveな追跡調査が、本研究班の構成員有志の共同研究として開始された。ここでは、平成2年1月から12月までの1年間に登録された210症例を不食型と大食型とに分け、追跡調査開始時点の状況に関する比較を報告する。

  1. 当事者の年齢……拒食症<過食症
  2. 発病年齢……拒食症<過食症
  3. 罹病年数……拒食症<過食症


いくつかの調査で出ているデータとほぼ符合している。過食症は嘔吐が加わると治りにくくなり、罹病年数も患者の年齢も増加する。発病年齢が過食症の方が上なのは、拒食症から移行するからであると考えられるが、18歳の山と25歳の峰があるようにも見ることができる(過食症不食期有)。峰と言うには、大した差違ではないが、別のデータでは18歳がピークというデータがあった*1。(参照:id:iDES:20060428:1146237248)。


過食症不食期有だけ取り出してグラフ化すると以下のようになる。



今回のデータの質的な差違を観察すれば、過食症の21%[-18y]→19%[-20y]→40%[-25y]という移行は複数のタイプの振る舞いが足されて出来たものだと観察できるように思える。具体的には何かは分からないが。


もう一点、興味深いのは、家族構成について。



緑枠分を見ると、片親家庭よりも両親が揃っている家庭の度数の方が多いと言うこと*2がわかる。また、青枠部分を見ると、男兄弟を持つよりも、姉妹を持つ方が摂食障害(特に拒食症)になりやすいということがわかる。


赤枠部分を見ると、このデータのほとんどは「普通の家庭」*3(両親+ひとりっ子・両親+男兄弟・両親+姉妹)で起こっていることが確認できる。もちろん、日本にはこのような家庭の方が多いということがあるのだろうが、「普通の家庭」で起こっているというは興味深い事実である。

*1:ちなみに、そのデータとは、『中枢性摂食異常症に関する調査研究』平成11年度研究報告書にある中井義勝「摂食障害全国疫学第二次調査と市民対象の頻度調査について」に載っている。今回のデータの方が10年ほど古いものになる。さらに、このエントリの病態は不食型と大食型に分けるやり方だが、中井論文ではAN[拒食症]、BN-P[過食嘔吐]、BN-NP[過食無制限]のタイプ分けだったことに注意

*2:割合が多いと言うわけではないので注意

*3:あくまで括弧付きの