井出草平の研究ノート

理解社会学のカテゴリー



読書会で読んだ。久々。
ゲマインシャフト行為であるとか、諒解関係であるとか、中途間の残る概念整理のような気がした。『社会学の根本概念 (岩波文庫)』との概念比較が興味深い。


カテゴリ論文では「目的合理的」という用語を行為者が目的を持って合理的にという意味で使っていて、その対概念として「整合合理的」という概念が上げられている。こちらは、観察者(分析者)から見た(客観的)なものである。


『根本概念』にも「目的合理的」という言葉は登場するが、これは有名な行為の四類型として登場している。

  • 合理的行為(目的合理的行為・価値合理的行為)
  • 非合理的行為(伝統的行為・感情的行為)


『根本概念』では整合合理的(性)という言葉登場していない。「整合性」というのはカテゴリ論文に限定して登場する術語で、意味は論理的に整合的なものというくらいの意味らしい(林)。


「目的合理的」という言葉の変遷を読むことが出来たようにおもう。


最後に自分の研究に関係するところだけ引用を。

 純粋に理論的な極限であるロビンソン物語のみが、あらゆるゲマインシャフト行為を、したがってあらゆる諒解基準的な行為をも、完全に欠いている。というのは、それは自然物の行動に対する期待のみと、意味をもって関係するだけだからである。(Weber 1913=1968: 72)


「ひきこもり」は現代のロビンソンである。