井出草平の研究ノート

グローバル化・グローバビリティ・グローバリズム


ベック『グローバル化の社会学―グローバリズムの誤謬 グローバル化への応答』によると、「グローバル化」・「グローバビリティ」・「グローバリズム」という3つの概念は明確に区別されるようだ。

グローバル化というのは、われわれが描写してきた諸次元においてトランスナショナルなものが有する過程としての性格を強調したものだ。それは以下のようなことを意味している。
 −トランスナショナルな空間、出来事、問題、紛争、生活遍歴が拡大・強化されることである。
 −その動きは(「グローバル」という言葉が呼び起こす印象に反して)単線的・一方向的なものとして理解できるのでもなければ,「全体的」や「包括的」という意味で理解されるものでもない。むしろ、グローバル化の動きはもっぱら偶発的で弁証法的なものとして把接されるべきであり、ようするにグローカルなものである。この点は、「包容しながら(inklusiv)区別していくこと」(包摂する対立)という思考パターンを、生活遍歴、アイデンティティ、組織の原理として拡張してみればよりいっそう明らかになる。

グローバビリティの概念は、より冷徹に現実の事態を見すえようとする。このグローバリティの概念は(結局のところ)世界社会のことを意味しており、この事態が後戻り不可能であることを語っている。すなわち、「世界社会」とされるものは、次の特徴をもつものと考えなければならない。
 −多次元的である。
 −複数の中心をもつ。
 −偶発的である。
 −政治的である。

グローバリズム−−すなわち世界市場の支配という新自由主義イデオロギーは、グローバル化とグローバリティの概念からは区別され(また批判され)なければならない。


やはりドイツ系。概念整理が大変だ。