『「はだしのゲン」がいた風景』


「はだしのゲン」がいた風景―マンガ・戦争・記憶

「はだしのゲン」がいた風景―マンガ・戦争・記憶

大瀧友織・樋口耕一,2006,
「マンガを「言葉」で読む--計量的分析の試み--」,
『「はだしのゲン」がいた風景』梓出版社.


はだしのゲン』を計量テキスト分析した論文。


 次に、言葉の内容についての分析では、頻繁に使用されていた「死ぬ」「原爆」「戦争」といった語に注目して、その出現数の推移を見るとともに、物語中での用いられ方を確認した。その結果として、肉親の「死」あるいは「原爆による死」だけにとどまらず、後半ではより抽象的なテーマとして「戦争」あるいは「反戦」が大きく取り上げられていることが明らかになった。より長いセリフと破裂型の吹き出しとを多用しつつ、反戦が訴えられていたのである。ただし、この傾向についても八巻がピークとなっており、九巻一〇巻では「戦争」という語の出現頻度も顕著に減少していた。


計量テキスト分析というのは一言で言うと、どういう言葉がどのくらいの頻度で登場し、どういう言葉と一緒に使用されているかということを計量的に示すものだ。


樋口耕一氏によって開発された計量テキスト分析ソフト「KH Coder」がここでは使用されている。アンケート自由回答文だけではなく、「作品」の分析ツールとしても使えるという例だ。前例としては樋口氏による夏目漱石こころ』の分析もあるが、今回は「絵」が加わった「マンガ」という媒体。非常に興味深い試みだ。


なおKH Coderはフリーウェアなので、無料でPCにインストールできる。また他の計量テキスト分析のソフトとしてはKT2などがある。こちらもフリーウェア。