井出草平の研究ノート

中学卒業時点での終業状況


現代教育研究会(代表:森田洋司)「不登校に関する実態調査」(平成5年度不登校生徒追跡調査報告書)より。


 中学卒業後に「正社員」「パート・アルバイト」「家業手伝い(フルタイム)」などで就業に従事した者を合計すると、全体の28.3%いる。学校基本調査によれば平成5年当時の中学卒業者の就職率は2.0%に過ぎず、それと比較するとこの割合は高い。また、同世代が高校を卒業する平成8年の高校卒業者の場合、その年齢で就職した率は同世代人口の24.3%であるが、中学卒業時点での就業率はこれをも上回っており、中学時の不登校体験は早い年齢段階から就職率を高くすることがこの結果から読み取れる。


不登校児童の3割が卒業後、就業している。通常は2%。非常に高い割合での就業がなされている。


 非進学者のなかで多いのは、就職したことがあるという者であり、非進学者のうち46.0%が就職を体験し、21.4%に転職経験がある(表3.6、図3.6)。なお回答は複数選択を認めているので、複数の進路をたどった人もどういうキャリアを経験したかをより詳細に分析できるように設問を設定している。


就職したものは5割。中学卒業後すぐに就学しなかったが、その後に就学ものは2割。その中で、卒業までこぎつけた人は1割。

一方、これら非進学者のうち、その後、高校などに再入学、また大学・短大に入学して学校教育を継続することを志した者は、中学校卒業時に学校に入学しなかった者のうち全体の22.8%(101人)を占める。
 進学先の内訳は、通信制高校を選択する者が39.6%おり、定時制高校が27.7%、専修学校各種学校への進学が20.8%と続く(表3.7)。
 中学卒業時に進学しなかった者の中で、最終的に学校を卒業した者は、表3.6によれば10.2%であるが、中学卒業時に進学せずその後再入学した者(101人)中の比率を計算してみると44.6%となる。既述の表3.3では、中学卒業時に進学した者のなかで卒業した者は58.1%であったが、それを13.5%下回っている。しかし、中学卒業時点で進学をしなかった者の場合、20歳時点でまだ高校生段階の者が含まれており、その少なさについてはその途上で挫折をしたためとは一概には言い難い。また、大学・短大に入学した者は、中学卒業時に進学しなかった者のうち、2.9%である(表3.6)。


中学卒業後進学……58.1%が卒業
中学卒業後非進学→進学……44.6%が卒業


一度、就学の道から外れたときに、一念発起して再び就学の道へ戻っても、卒業する確率は低くなる。
ちなみに進学先は全日制が6.9%で、残りは定時制通信制・専修などが9割をしめている。