井出草平の研究ノート

DSM-IV-TR 広汎性発達障害


広汎性発達障害 Pervasive Developmental Disorders


 広汎性発達障害は発達のいくつかの面における重症で広範な障害によって特徴づけられる相互的な対人関係技能,コミュニケーション能力,または常同的な行動,興味,活動の存在.このような状態を定義する質的障害は,その者の発達水準および精神年齢に比して明らかに偏っている.本項には,自閉性障害,レット障害,小児期崩壊性障害,アスペルガ一障害,および特定不能の広汎性発達障害が含まれる.これらの障害は,通常生後1歳までに明らかになり,しばしばある程度の精神遅滞を伴うが,もしそれが存在するならばII軸にコード番号をつけて記録しておくべきである.広汎性発達障害は,時に,多岐にわたる他の一般身体疾患に伴ってみられる(例:染色体異常,先天性感染症,中枢神経系の構造的異常).もしそのような疾患が存在するならば,それらはIII軸にコード番号をつけて記録しておくべきである.かつて“精神病”とか“小児分裂病”のような用語が,このような状態をもつ者に用いられたことがあったが,広汎性発達障害精神分裂病とは違ったものであるというかなりの証拠がある(しかし,広汎性発達障害をもつ者が,時に,後に精神分裂病を発現することがある).


参考:Pervasive Developmental Disorders(DSM-IV)