Gillbergらによるアスペルガー症候群の疫学調査


今回は90年代の有名な疫学調査について


1993年のスウェーデンでのアスペルガー症候群疫学調査。今から14年前なのでやや古いもの。Gillberg、もしくはGillbergの診断基準に従うと1000人に3.6人の割合(0.36%)でアスペルガー症候群は存在するとされている。男女比は4対1。また、アスペルガー症候群の疑い・可能性を含めると1000人に対して7.1人(0.71%)の有病率になる。この場合は男女比が2.3対1になるようだ。


この疫学調査DSM-IV-TRやICD-10に準拠したものではない。


Gillberg診断基準とICDの診断基準の比較研究が存在する。


GillbergやWingの名前もみられる論文。
ICD-10自閉症・非定型の自閉症だと診断された200人に対して、アスペルガー症候群の診断がつく割合をICD-10とGillbergで比較している。ICD-10では3人(1%)がアスペルガー症候群と診断が下りる一方で、Gillberg診断基準では91人(45%)がアスペルガー症候群という診断が下りるようだ。この両者の違いは、ICD-10が認知・言語・自活について発達の遅延・遅滞を求めることから生まれてくるようである。要するに、ICD-10アスペルガー症候群に対して求めるような認知・言語・自活という点をすべて満たす広汎性発達障害の人はあまり多くないということである。


Gillberg診断基準でアスペルガー症候群だと診断されたものの多くは、ICD-10では「F84.9 広汎性発達障害,特定不能のもの」というカテゴリに分類されるのだろう。この論文の主旨は、DSMやICDのカテゴリカルな診断方法よりも、自閉症スペクトラムという考え方の方が良いというものである。


最後に、サンプルが違うのであまりアテにならないが、この2つの研究からICD-10に従った有病率を計算しておく。2つ目の論文ではICD-10が3に対してGillberg診断基準が91という比率が書いてあるので、その比率を一つ目の論文の疫学調査に当てはめると、ICD-10で診断をしたらだいたいこういう値が出てくるというものが計算出来る。その計算をすると、アスペルガー症候群は0.012%である。また、疑い・可能性を含めると0.023%である。だいたい1万人に1〜2人というところであろう。国際基準であるICD-10疫学調査をすると、それくらいの有病率になるのだろうと思われる。


ちなみに、この数字は、広汎性発達障害が少ないということを示しているのではなく、国際基準で診断すると自閉症圏中でもアスペルガー症候群という診断名はその程度の割合でしか出ないということである。


Gillbergの本は訳書が出ている。


アスペルガー症候群がわかる本

アスペルガー症候群がわかる本