- 作者: Max Weber,マックスヴェーバー,祇園寺則夫,祇園寺信彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/03
- メディア: 文庫
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明日の読書会の本。やはりヴェーバーは何度も読み返さなきゃいけないと思った。
●実在根拠と認識根拠
ヴィルヘルム4世の仕立屋とレントゲンが例に出されて述べられるあたり。
歴史を取り扱うのには、記述などの事物を通して記述することになる。その事物はどのようなものがあるかという2つの類型。
- 認識根拠……表象関係……記述
- 実在根拠……因果関係……説明
実在根拠と認識根拠というヴェーバーの用語は個人的にはあまり分からないところがあるが、要するに表象と因果の峻別のことであろう。出来事が歴史に影響を与えることと出来事に象徴される歴史の変動は異なる。ヴィルヘルム4世の仕立屋のあつらえたものは、その後の歴史に大きなインパクトを与えた訳ではないので、実在根拠の方としてはあまり扱う所は少ない。しかし、仕立屋の作った服から当時の風俗や国家をうかがい知ることはできる。その意味では、認識根拠にはなるのだろう。
●ゲーテの手紙に関する5つの認識
ゲーテを素材に認識の方法を5つあげた箇所。
1歴史への因果連関の中で捉える。
歴史に影響を与えた、与えられたという関係性
2認識の手段として捉える
同時代の象徴的なものを表象している。「社会」もしくは「国民国家」の表象物
3特定の階層に独特に現れる「類型」として捉える
「社会」の中の集団の表象物
4(条件次第で)どの文化にもみられるものである事項であると捉える
条件次第で現れる一般的な状態の表象物
5「社会」を表象しないもの
社会の状態から独立で影響を受けない独自性を持ったもの
あまりどうでも良いことだがデュルケム社会学は(2)への言及が中心的。社会が独自に持つ自殺率への言及など、社会という単位での固有性について強調されている印象がある。
●サイコロの例
後年、因果連関と意味連関という2つの因果としてまとめられる概念について。
因果というと一種類だけだと思われがちだが、ヴェーバーはそのようには考えていない。
サイコロを振ると6分の1の確率でそれぞれの目が出る。これは確率(蓋然性)の問題である。ただ、サイコロについては意味的な繋がりはない。意味的な繋がりとはヴェーバーの例では、プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神が世俗内禁欲という意味的な繋がりを持っているというようなものである。ヴェーバーは『プロ倫』を始めるに当たって、カトリックとプロテスタントの地域における近代市民社会層の比較を行い、プロテスタントの地域の方が資本主義化が為されていることを示している。これが因果連関である。つまり、相関係数のようなイメージであり、AとBが同時に起こりやすいという蓋然性の問題が因果連関である。これとは区別されるのが意味連関であって、これが、プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の意味的な繋がりのことである。
ポイントは3つほど。