発達障害の過診断


加藤敏、十一元三、山崎晃資、石川元の座談会「いわゆる軽度発達障害を精神医学の立場から再検討する」より。過剰診断について。下記はAD/HDについてのものである。

山崎
児童精神科医、またはそれに近い仕事をしている先生がたにも十分考えてもらいたいといつも思っていることは、あまりにも安易に診断をしすぎるということです。非常に簡単に、外来でちょっと見て一〇分や一五分でよく診断が付くものだと思うくらい簡単に診断して、そしてすぐに薬物療法をはじめるのです。もう一方では、担当医が保育園、幼稚園、学校における子どもの行動についての情報を得ようとしないものですから、処方した薬を飲んだ子どもが学校でどういう状態になっているのかを知らないで経過をみていたりするのですね。
 ひどい場合などは、子どもが外来に来るとうるさいから親だけ痛院に来なさいといっている病院もあります。そうすると、親は病院に来て、「この何週間かの間にこんな問題があった、あんな問題があった」と報告するしかない。そうするとその度ごとにどんどんと薬の量が多くなっていくのです。AD/HDの診断基準にある、「二つ以上の場面で同様の症状が認められなければならない」などというのは、どこかにいってしまっているわけですよ。そういう意味で学校側も医療側も連携を強めて、お互いに情報交換すべきですし、もっと子ども一人ひとりをきちんと診てもらいたいですね。どうしてこんなに診療が荒くなったのでしょうかね。


加藤
どういう背景があるかは分からないけれど、やはり、過剰診断(オーバー・ダイアグノーシス)が、どの領域でもあるんですね。とりわけ、子どもの場合にはある種のステイグマが付けられることになりますから、その辺は問題ですよね。
(加藤敏,十一元三,山崎晃資,石川元,2007,「座談会 いわゆる軽度発達障害を精神医学の立場から再検討する」(2)『現代のエスプリ』(476),5〜39.)


(1)発達障害についての知識が無い所では発達障害を見抜くことができない。
(2)発達障害の知識が中途半端なところでは適当な診断がなされる。
(3)発達障害ばかりを診ているところでは、なんでも発達障害に当てはめて理解してしまう。


発達障害の診断では3つほど問題があるように思われる。引用箇所は(2)に相当。