軽度発達障害は6.3%?


文部科学省の出した調査「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童・生徒に関する実態調査」について。6.3%の子どもたちに発達障害がみられるという調査について。

山崎
要するに、あの時の調査研究協力者会議に参画した専門家と言われる人たちが、それぞれいろいろな所から資料を引っ張ってきて、しかも最初は評価尺度などをかなり乱暴な使い方をしたのですよね。


石川
エーラーとギルバーグの基準は、一般に使いやすいだろうというので調査に採用したという話をききますね。


山崎
調査研究協力者会議で議論されていた頃、発達障害の診断をするためには、乳幼児期の発達歴を詳細に調査し、面接や行動観察を繰り返すことが不可欠であることを文科省の調査官にはずいぶん説明したのですが、全部省かれてしまい、結局六・三%という数値が出てきたのです。確かあの数値が出た直後、日本児童青年精神医学会に担当した調査官がきて報告したのですが、会場が騒然となり、六・三%に対するクレームが出ました。要するに、安易な評価尺度を作って、学級担任が横断的に評価した結果であり、出現率でも有病率でもないものです。後に、文科省は、障害分類名をまったく使用しなくなりましたね。(加藤敏,十一元三,山崎晃資,石川元,2007,「座談会 いわゆる軽度発達障害を精神医学の立場から再検討する」(2)『現代のエスプリ』(476),5〜39.)

石川
ADHDと合併している音字障害は割と見ますが、私どもの外来での経験でも狭義のLDは絶対数からいったら少ないですよ。「知的障害がないが学習面で著しい困難を示す」四・五%(文科省の数字)がすべてLDだなんてとんでもない。もっとも、数字を弾きだした時期は、傘概念としてLDを広く捉えていたということもあります。


山崎
あの数値だって、担任がさまざまな問題を持つ子ども連をチェックしただけであって、診断分類とは無関係なのですよ。ただ、あのデータが出された当初、特別支援教育について日本児童青年精神医学会に文科省の担当調査官が来て説明したときには、「出現率」という言い方をしたものですから、厳しい反論が会場からだされました。その後、出現率という言い方はいっさいしなくなりましたね。(加藤敏,十一元三,山崎晃資,石川元,2007,「座談会 いわゆる軽度発達障害を精神医学の立場から再検討する」(2)『現代のエスプリ』(476),5〜39.)


この調査は特別支援教育を行うための予算付けをもくろむために実施された面がある。この6.3%という数字には注意が必要である。