井出草平の研究ノート

アスペルガー概念の余命は長くない


発達障害という記号 (メンタルヘルス・ライブラリー)』における高岡健の発言より。

アスペルガー症候群が十分に確立された概念かどうかについては、学会の論理としては保留されています。私の予想では、この言葉は早晩、違う言葉に置きかえられるだろうと思いますね。

さっき私がアスペルガー症候群という呼称は早晩消えるだろうと述べたのは、その概念が自閉症スペクトラムの中にすでに含まれるからです。それにもかかわらず、現在は何か突出して使われている。しかし、近い将来は、その突出している分が、もう少し平坦になるだろうという、そういう意味です。


アスペルガー症候群の一般的に使われている意味内容は、社会的な関係性の発達に問題があって、知的障害ではないというあたりだろうか。そういう状態を指す言葉が他にあまり見あたらない*1ので、そんなに簡単には死なない言葉だとは思うが。カテゴリカルな認識に代わって、スペクトラム概念がどこまで一般化するかにかかっているのだろう、おそらく。

*1:近辺にある言葉としては、自閉症自閉症スペクトラム、広汎性発達障害高機能自閉症、高機能広汎性発達障害などか