エフェドラの危険性について

以前まとめた「エフェドリン」について追加。エフェドラは食欲減退の副作用があることからダイエット薬に使われる(正確には広く使われていた)。

高橋薫子,2004,
「“エフェドラ’は本当に危険なのか?」
『ファルマシア』 40(7),670-671

 エフェドラを含有するハーブ系サプリメントの危険性が最近話題になっている.米国食品医薬品局(FDA)は2003年12月30日にエフェドラを含むサプリメントの販売を全面的に禁止すると発表した.これらのサプリメントは生薬マオウを含有し,体重減少や運動能力を高める効果などを目的に広く利用されている.その流通量は市場に出回るハーブ系サプリメント全体の約1%に過ぎないにもかかわらず,2001年に米国の中毒管理センターへ報告されたサプリメントによる副作用の64%はエフェドラ含有商品によるものであった.

 まず127症例を死因により外傷によるもの(外傷群;33例)とそれ以外のもの(非外傷群;94例)とに分けた.外傷群は外傷が原因で死亡した症例で,サプリメントは直接死因には関係していないと考えた.一方,非外傷群はサプリメントの毒性が死因である可能性もある.この127症例の尿や血液などの試料を人手し,EAや他の薬物のスクリーニングを行った.その結果,血液試料88検体中76例から,また尿検体101例中97例からエフェドリン(Eph)を検出した.

EA以外の薬物が同時に検出される症例が多く,血液試料88例中79例からEA以外の薬物が検出された.さらに尿や胆汁等の試料からEA以外の薬物を検出したものを合わせると,全体の89.0%にあたる113例からEA以外の薬物が検出されたことになり,EA以外の薬物が死因に強く影響していることが推測された.また驚いたことに,Ephの毒性により死亡したと考えられた症例は127例中1例のみであった.
EphとnEph以外に血液から検出された薬物としては,コカインの代謝物であるベンゾイルエクゴニン(最も多く88例中22例),モルヒネ(19例),コカインとクロルフェニラミン(17例),ドキシルアミン(16例),ジフェンヒドラミン(15例)などがある.

 以上の結異,Blechmanらは今回検証したEA陽性の127例については,EA以外の薬物が同時に検出される症例が多く,死因や様々な所見がEphによるものなのか,他の薬物の乱用によるものなのかを判断することは難しいと結論している。


クロルフェニラミンドキシルアミンジフェンヒドラミン抗ヒスタミン剤エフェドリンは鼻づまりの薬(たとえばこれ)として使われるので、風邪で複数の薬剤を飲んでいたのかもしれない。

この調査はこの論文。


その他関連しそうな論文をいくつか。

  • Haller CA, Jacob P 3rd, Benowitz NL., Pharmacology of ephedra alkaloids and caffeine after single-dose dietary supplement use. Clin Pharmacol Ther. 2002 Jun;71(6):411-3.  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12087345

挙血性脳卒中を起こした症例が報告されている。

  • Haller C.A.; Duan M.; Benowitz N.L.; Jacob III P., Effect of a multicomponent, ephedra-containing dietary supplement (Metabolife 356) on Holter monitoring and hemostatic parameters in healthy volunteers. Journal of Analytical Toxicology, Volume 28, Number 3, April 2004 , pp. 145-151(7) http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12804749

サプリの表示通りの成分かというテスト。エフェドリン類が入っている書いていないなどの表示もあった。

エフェドリンやカフェイン単体で心拍数増加や血圧に与える効果はたいしたことはないが、複数の薬剤の相互効果は大きな影響を与える。