大学生が1人退学すると大学はいくら損をするか

大学生が1人退学すると大学はいくら損をするかということを少し計算しなければならないので、メモ程度にエントリ。正確な答えとしては、各大学によって違うということになるので、いちいちやっていても意味がないので、ざっくりと計算をすることにする*1


私大の授業料は毎年上がっている傾向にあるようだ。

2004年の段階で、私大の授業料は81万7,952になっている。


このような徐々に増加を見せるのは経費は増えるのにも関わらず、政府からの私学助成金が増えないという事情による(と私学側は主張している)。


80年代以降は補助金はほぼ横ばいになっている。


実際に補助金の増減をグラフでみると以下のようになっている。



2005年度は3300億円程度の補助が行われている*2。2005年の大学生は2,86万5,051人、うち私立大学に通う者は2,11万2,291人である。この数字を単純に割ると14.2万円ということになる。
授業料81万7,952と私学助成金14.2万円を足すと96万程度になる。だいたい1人の学生が大学へもたらす資金は100万程度ということになる。


このデータは何を意味しているかというと退学者によって大学の経営が悪化するということである。上記の計算で出した数字で計算すると、例えば1万人規模の大学で5%が退学する場合、5億円の損失が出る。これは大学側にとって大きな損失である。退学者を防ぐコストと、放置するコストを勘案して、退学者防止コストの方が安いならば、その事業をする価値はある。特に、数千人程度の中堅私大にとって、退学者問題は死活問題であるので、このような考察は必要ななことに思える。


ちなみになぜこんな計算をしているかというと、大学生の不登校アパシー、ひきこもりへの支援によって退学者を阻止することは、大学の経営上も有利になることを示すことが必要であるからである。大学の経営上有利にすすならば、支援予算も獲得できるという次第だ。支援が必要であると訴えても、誰の利益にもならなければ、誰も動かない。大学を動かすには、この論点でのアピールをするのが最もいいのではないかと思っている。


実際に神奈川工科大学の学生相談室の取組*3では、退学者を265名(5.5%)→194名(3.8%)と減らすことに成功している。71人減らしたということは、概算で7100万円/年という額の損失を大学側は防いだことになる。7100万円あれば、年給500万の人間を14人雇えることになる。退学防止に14人も雇う必要がないので、あとは大学側の利益になる。退学防止の人員として最も期待されるのは、心理職であるので、心理職のポストを増やしたい心理職関係者や学生相談学会等もこのような取組には前向きになるはずである。


この話をもう少し詰めるために実態はどういう事になっているのか大学の事務の人に聞いてこよう。

*1:データの出所は『全院協ニュース』第218号(2005 年10 月)と文部科学省『学校基本調査』

*2:http://www.zenshigaku-np.co.jp/news/2005/news2005122320080101.html

*3:http://ci.nii.ac.jp/naid/40016052327