井出草平の研究ノート

うつ病の投薬治療フローチャート

うつ病の治療フローチャートをモーズレイから紹介。


The Maudsley Prescribing Guidelines, Tenth Edition

The Maudsley Prescribing Guidelines, Tenth Edition


うつ病の薬物両方は、以下のような流れで開始する。



治療抵抗性うつ病の投薬に関しては以前のエントリ「難治性うつ病への治療法」を参照。


うつ病治療の方法論は上のように標準化されている。標準化されているので、どこのクリニックでも行われているのかというと、そうでもないようなのだ。初診から薬が変わっておらず、症状の改善がみられないままにずっと同じ薬が投与されている人に頻繁に会う。「効かない薬は変更する」という当たり前の対応を行わない医者が少なからずいるようだ。


うつ病薬物療法では治らず、本人のいる環境の変化や心理療法があって治癒するという一見まっとうそうな言い訳がされている場合もがあるが、薬で治る範囲は薬で対応すべきである。心理療法が一般化していないことや、高額である事情を逆手にとって、薬理学的なアプローチの失敗の言い訳をするのは最低である。そのような言い訳ができるのは標準化された投薬ををしてからの話である。このような状況に対応するには、患者側の知識を上げて、医者が標準化されたうつ病治療の方法を知っているか知らないかということを見極めて、医者を選ぶということしかないのだろう。