井出草平の研究ノート

ADHDの有病率

2007年のPolanczykのメタアナリシスの論文。

Guilherme Polanczyk, Mauricio Silva de Lima, Bernardo Lessa Horta, Joseph Biederman, Luis Augusto Rohde, 2007, "The Worldwide Prevalence of ADHD: A Systematic Review and Metaregression Analysis," American Journal of Psychiatry, 164:942-948. http://ajp.psychiatryonline.org/article.aspx?volume=164&page=942

メタアナリシスで導き出された有病率は、5.29%(95% CI=5.01-5.56)である。

対象にされているのは、1978年から2005に出版されれた論文、専門書の医学書レビュー、参考文献リストのレビュー、専門家への問い合わせの4つのソース。関連する文献は9105あったようだ。その中から(1)対象が18歳より若いこと、(2)診断基準にDSM-III/III-R/IVかICD-9/10を使ったものを条件*1にすると102の研究が選択できた。地域別にみると研究は北米32、ヨーロッパ32、アジア15、南米9、オセアニア6、中東4、アフリカ4であった。

それぞれの地域の有病率は下記の通り。信頼区間はおそらく95%水準。


ヨーロッパの疫学よりも、北米の疫学の数値の報が高い(北米ではADHDを広くとる)ということが一般的に言われているが、この論文では北米とヨーロッパに差は認められなかった。

*1:その他の条件としては、オリジナルの疫学調査であること、臨床例のサンプルではないこと、診断が臨床記録や回顧的にでつけられていないことなど