井出草平の研究ノート

身体症状を主に病院に来談した被害者


身体症状を主に病院に来談したなかでいじめ被害に遭っている者のうちわけ。胃腸科への来談。学会報告。

黒田正宏ら
「小・中・高校生の心身症や登校拒否症でいじめが認められた90例について」
心身医学 26(抄録), 65-66, 1986-06.
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001118364

腹痛,頭痛,呼吸困難,嘔気,全身倦怠感,焦燥感,不眠,食欲不振,発熱,痙攣,抜毛や不登校などを訴えて来院した小・中・高校生の90例にいじめが認められた。

 いじめは面接によって初めて判明した。診断名別では登校拒否症39%,心因性腹痛17%,自律神経失調症10%,心因性頭痛7%,過敏性腸管症候群7%,チック症3%,心因性発熱2%,過呼吸症候群2%やその他である。

いじめ側は男子グループの場合が最も多く24% ,次いで女子グループ20%,一人の男子18%,クラス全員
16%,先輩7%,一人の女子7%,部活の部員4%,親友4%,教師1% であった。
 いじめられた時の友人の態度をきくと,なにもしてくれなかった,見て見ぬふりをされた,裏切られたというものが95%であった。かばってくれたというものは4%のみだった。教師の対応をみると91% のものはなんらかの相談をしていたが,何もしてくれなかったが48%,相談にのってくれたが19%,相手に注意や処分をしてくれたが13%,相談したがいじめの存在を否定されたものが11% だった。親には37% のみしか相談していなかった。しかもその半数は親に相談してもなにもしてもらえなかった。

"いじめられた時の友人の態度をきくと,なにもしてくれなかった,見て見ぬふりをされた,裏切られたというものが95%であった。かばってくれたというものは4%のみだった。"とのこと。友人への相談は報われない。