井出草平の研究ノート

いじめを受けやすい二つのタイプ

いじめに対応する教員の報告・論文を集めた特集から。

森薫
不登校の真因を把握し、かかわる
月刊生徒指導 29(13), 22-26, 1999-10
http://ci.nii.ac.jp/naid/40001020890


いじめ被害側の特徴が示されている。

■いじめを受けやすい二つのタイプ


いじめによる不登校を論ずる前に、いじめられやすい二つのタイプについて述べてみたい。


(1)無視されるタイプ(逃避型)
(1)身体がひ弱。
(2)身体に対するコンプレックスがあって、遊び、スポーツがつたなく、けんかも弱い、運動神経が発達していない。
(3)用心深く、繊細、静か、引っこみ思案、受動的、従服、恥ずかしがり屋、泣き虫。
(4)常に不安感を持ち、自分を不幸せだと感じており、悩みが多い。
(5)自己否定的で自信がない(アイデンティティの欠如}。
(6)「いじめられでも、仕返しができない」というシグナルを、ほかの子どもたちに感じとられている。
(7)自己主張ができず、同年齢の仲間とより、大人とのほうがうまくいく。
(8)成績はまちまちだが、学年が進むとしだいに落ちてくることが多い
このタイプは、いじめの標的になりやすく、不登校につながるケースが多い。


(2)排除されるタイプ(攻撃型)
(1)怒りっぽく、攻撃や侮辱を受けると、口応えをしたり手を出そうとするがうまくいかない。
(2)過剰に活動的で、落ち着きがなく、攻撃的で周囲に緊張をもたらす。
(3)不器用かっ来熟で、人をいらいらさせる。教師を含めて大人たちからも、反感を持たれやすい。
(4)時には、自分より弱い子どもをいじめようとする。


このタイプは、不安感と攻態的な行動パターン(多動、集中力欠如)をあわせ持つために、集団に適応できず、多くの生徒、時にはクラス全体からいじめを受け、排除されることが多い(今では、このタイプの子どもの多くがADHD(注意欠陥、多動症候群)ではないかと疑われている)。

しかし、このタイプはエネルギーがあるため、一時的に学校を飛びだしたりすることはあっても、長期の不登校につながることはまれである。


後者のタイプについては、英語で発表された複数の論文において支持されている。タイプが分かれるならば、対応も違うのは当然。


いじめが不登校を起こすという仮説には著者は懐疑的である。

いじめをきっかけとする不登校の場合において、そのほとんどは、いじめは誘因であって真因ではないのである。その真因がしっかり把揮され、その克服への取り組みがなされないと、問題は繰り返され、解決にはならない。


いじめ研究はあまり読めてないが、この考え方は正しい気がする。構造方程式で研究してみたい内容。