井出草平の研究ノート

クリッペンドルフのα係数

一致率を計測する際に使ったクリッペンドルフのα係数(Krippendorff's alpha coefficient)のメモ。
一致率というとCohenのκ係数が有名だが、κ係数は評価者が2名という限定がある。
クリッペンドルフのα係数は1)評価者が3名以上に対応し、2)比例・間隔・順序・名義尺度それぞれのオプションが用意されているという点で優れている。

Krippendorff's alpha
https://en.wikipedia.org/wiki/Krippendorff's_alpha

日本語の解説はないが英語は割と充実している。
他の一致率の統計量と同じで、-1〜1の間の値をとり、1が完全一致で、-1が完全不一致である。


Krippendorffのαを出すにはいくつかの方法が用意されている。


SPSS, SAS, Mplus
http://afhayes.com/spss-sas-and-mplus-macros-and-code.html
Andrew F. Hayesによってマクロが作成され無料で公開されている。
Download KALPHA: kalpha.zip をダウンロードする。zipファイルの中に3つの統計パッケージのマクロが入っている。


・R
パッケージirrで計算ができる。
https://cran.r-project.org/web/packages/irr/index.html
https://cran.r-project.org/web/packages/irr/irr.pdf (pdf)

基本形は以下のようなコマンドラインだ。

kripp.alpha(x, method=c("nominal","ordinal","interval","ratio"))

分析例

# irrの読み込み
library(irr)

# データの作成
d1<-c(1,1,1,1,2,1,1)
d2<-c(5,4,5,5,4,4,5)
d3<-c(4,5,4,4,4,4,5)
d4<-c(1,2,1,1,1,1,1)
d5<-c(1,1,1,1,1,1,1)
d6<-c(4,3,3,4,2,4,1)
d7<-c(4,4,4,4,4,4,4)
d8<-c(1,1,2,1,1,1,1)
d9<-c(1,1,1,1,1,1,1)
d10<-c(3,2,3,3,3,3,3)
d11<-c(4,3,4,2,4,4,1)
d12<-c(1,1,1,1,1,1,1)
d<-cbind(d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7,d8,d8,d9,d10,d11,d12)

# Krippendorffのα係数の算出(順序尺度として計算)
kripp.alpha(d,"ordinal")

Krippendorff's alpha
Subjects = 13
Raters = 7
alpha = 0.838

評価者は行にして、ケース列としてデータを入力する。分析例だと7人の評価者でケースは12例ということになる。
α係数は0.838とそこそこ高い値が出ている。
そこそこ高いと書いたものの、どの数字以上が高い数字なのかは、特に基準があるわけではない。研究分野によってだいたいの相場感があるので、それを目安にすることになるだろう。

分析例は順序尺度として計算をしたがオプションを"nominal"にすると名義尺度の計算ができる。比例尺度、間隔尺度の場合も同様にオプションを変えれば計算が可能である。