今年度の後期(の後半)から、大学での出席のとり方について見直してみた。 今まではマークシートで出席をとっていたが、スマホを利用する方法に変更した。
基本的な手順は以下である。 1. Webで出席フォームを用意する。 2. アドレスをQRコードにしてレジメに印刷、配布。 3. 学生はカメラでそのQRコードを撮影して、スマホのWebブラウザで出席確認を行う。
出席のとり方は大学によってかなり異なるようだ。知人に聞く限りの話では、Blackboardを使用している大学や、学生証を機械にかざすといった方法があるようだ。Blackboardが便利だとは思えないし、なにより使い勝手が悪すぎる。ログインすると、これからCMSの構築をするぞ!という雰囲気で、一般的な教員に使いこなせるレベルだとも思えない。どこかの企業が作成した出席システムを使用する大学もあるが、高価なのにに使用場面限られるなどコスパが合っているようにも思えない。
僕の好みは、誰でも持っているハードウェアで、フリーのソフトウェアを使い、かつ、効率の良いもので実行できることだ。
阪大の場合、CLEという名前のBlackboardが導入されているが、授業によって出席機能が使えないという不思議な設定がされているクソ仕様である。ということで、自前で出席確認のシステムを構築しようと考えた。
Webを利用しての出席確認をする方法はおそらく多くの選択肢があるので、このエントリーで紹介する方法がベストではおそらくないだろう。とりあえず忘備録代わりに書いておこう。
スマホで出席確認をするために必要な条件
システム構築のために学生に簡単なアンケートを実施してみた。
大学生はスマホを持っているか
今年度の後期の学生は全員持っていた。スマホで出席をとっても問題はないと判断した。スマホを持っていない学生も今まで受け持った学生の中にはいたが、スマホは大学生の必須アイテムになっているので、スマホを持っていない学生はかなり少ない。そういった学生には手書き用の出席カードを用意しておけば対応できそうである。文章を書くのはスマホと手書きのどちらが速いか
授業の感想も出席と同時にとりたい。これをWebブラウザの入力フォームで行っても問題ないか、を確かめてみた。 スマホの入力速度が手書きに比べて遅ければ、感想は手書きの用紙を別に用意した方がよい。 口頭で聞いて回った時には、スマホの方が速いという意見が多いように感じたのだが、アンケートをとってみると、そうでもなかった。手書きを1とした時にスマホが1) スマホの方が遅い(0.6~0.7)、2)ほぼ同じ、3)スマホの方が速い(3~5)という3つの回答にだいたい均等に分かれた。 スマホ入力の腕が鍛えられるのは、LINEなどのSNSだと思うので、人との付き合い方が多い方が入力速度も速いのだろう。あとは、高校時代からバリバリ入力してきたか、によっても入力速度は変わってきそうだ。
自分の授業で聞いただけなので、偏りがるかもしれないが、スマホを利用した出席確認は学生側にとっても許容できると判断した。 名前・学籍番号・感想の3つのフォームを用意することにした。
具体的な実施方法
では、どのような方法で実行するか、である。
授業の出席情報をクラウドに送るのはさほど問題ではないので、2でもよいのだろうが、今回は3にした。ツールはWordPressを使用した。WordPressを選んだ理由は以下の3つである。
他のツールを調べていないので、他にも適切なものはおそらく存在しているだろう。 ざっくりと調べたところでは、わりと有料サービスが多かった印象である。
Contact Form 7
https://ja.wordpress.org/plugins/contact-form-7/
作者: Takayuki Miyoshi
プラグインは2つ使う。Contact Form 7はコンタクトフォームのプラグインである。コンタクトフォームからのメッセージはメールで受信する。 おそらく、出席用のメールアドレスを用意しておいた方がよい。
Flamingo
https://ja.wordpress.org/plugins/flamingo/
作者: Takayuki Miyoshi
Contact Form 7の内容をcsv出力できるプラグインである。出席のデータとして使用するのはこのcsvである。
出席フォームの作成
2つのプラグインをインストールするとWordPressの管理画面の左メニューバーに「お問い合わせ」と「Flamingo」の項目が加わる。
まず、Contact Formの設定から行うので、メニューの[お問い合わせ]→[新規追加]で新しいフォームを作成する。
僕は上記のように名前・学籍番号・感想の3つのフォームを作成した。
<label> 名前 (必須) [text* your-name] </label> <label> 学籍番号 (必須・<b>半角</B>で記入してください) [text* StudentNumber] </label> <label> 感想 [textarea your-message] </label> [submit "送信"]
1点注意するところがある。 [メール]タブでは送信先のメールアドレスを入力するが、ここに自分の普段使いのメールアドレスを入れてはいけない。 出席確認メールであふれかえるので、上に書いたように専用のメールアドレスか、デタラメなメールアドレスに変更しておく必要がある。
出席フォームの表示
出席フォームを表示させるには、WordPressの固定ページを使用する。
アドレスのパーマネントリンクは「授業日」+「科目名」を使うのが後々整理しやすいように思った。例えば2019年の3月20日の社会学の授業であれば"20190320socio"といった感じだ。ただ、単に授業日+授業名だと、欠席している学生でも、出席フォームの場所が用意に推測できるため、日付の後ろに4ケタのランダムな英数字をつけることにした。もちろんこれは好みである。
固定ページには、Contact Form(お問い合わせ)で指示されたように、以下のようなコードを記入すればよいだけである。xのところは変化するところである。
[contact-form-7 id="xx" title="xx"]
スマホでみると下記のような感じに仕上がる。
ちなみにテーマは"Dan"を使用している。
https://wordpress.org/themes/dan/
出席フォームの場所をレジメに印刷
固定ページでパーマネントリンクを作成して、それをQRコードに変換する。
変換はWebを探せばいくつもサービスが見つかるので、どこでもよい。例えば以下のようなサイトである。
画像で出力したQRコードのレジメなどに貼って配布する。 配布資料がない場合には、QRコードをスライドに映すなどして学生に出席フォームの場所を知らせることができる。
作成したQRコードは一度分析して「余分なもの」がつけ加わってないか確認しておいた方が良いだろう。
その他
遅刻の扱い
遅刻を記録したいという先生方もおられるだろう。コンタクトフォームはだいたいそうだが、Contact Form 7はタイムスタンプが記録される。出席確認をした時刻がわかるので、遅刻の判別がつけられる。その場合、出席は授業の最初にとるとよいだろう。
代返対策
僕はあまり気にしていないが、このシステムは代返は可能である。 というよりも、少人数クラス以外ではどのような方法をとっても代返は可能である。
このエントリで書いた方法でも可能である。例えばQRコードを撮影して、LINEで送れば、出席していなくても、出席フォームのアドレスがわかる。どの時代も持つべきものは友人といったところであろう。ただ、学生の協業を阻止したいという先生方もおられるだろう。その場合にはロケーション・データの取得を行えばよい。
ただ、ロケーション・データはわりと簡単に偽装ができる(Android/PC)。 学生側の対策としては、最初の授業の時に学校の教室のロケーションデータを確認しておくとよいだろう。そうすれば、家で寝ていたとしても出席したかのように偽装できる。