- 作者: 吉田豪
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2014/11/07
- メディア: 文庫
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ユースケ・サンタマリアはある時期、うつ病であったようだ。
文庫版でユースケ・サンタマリアのインタビューが追加されている。他のインタビューに答えている人はうつ病かよくわからないが、ユースケ・サンタマリアに関しては比較的重症のうつ病であったようだ。
ユースケ 病院に行くと異常なしで、「じゃあストレスだ」って心療内科とかに行かされるわけですよ。そうすると、欝じゃないのにそういうとこに行くことになっちゃった人って、先生からいろいろ言われたときに芝居しちゃうっていうか、そっちに引きずられちゃうんですよ。先生が僕の目とかじっと見ながらしゃべってるんだけど、ちょっと目線をキョドらせてみたりとか(笑)。人間のわけわかんないところなんだけど、その場に乗っかっちゃう。
吉田 なぜか期待に応えようとしちゃうわけですね(笑)。
ユースケ そう。で、やっぱり「ちょっと欝の気があるね」って抗欝剤とか出されちゃって、知り合いにその薬を見せたら「絶対に飲まないほうがいい。こんなもん飲んだらホントに病気になっちゃうよ」って言われて。だから飲んでないんだけど、そんな薬でこの症状が治まるんなら飲もうかな、みたいな。藁にもすがるような思いで、占い師みたいな人に診てもらったりね。宗教に走る人の気持ちがちょっとわかったというか。「わかります。誰でもそうなりますよ」とか言われると信じちゃうんだから。弱ってると信じちゃうんですよね。だからちょっと高い授業料を払って。で、ホントに悪かったのは五年ぐらいです、ゲロゲロで。
占い師には見てもらったが、抗うつ剤は飲まなかったらしい。
実際のところはわからないが、抗うつ剤を入れていたら、簡単に治っていたように思う。抗うつ剤を入れるとずっと飲まないといけないというのは誤りで、うつ病がなおっていれば、比較的簡単に抜くことができる。
ずっと抗うつ薬を飲んでいる人というのは、うつ病が治っていないから飲んでいるだけにすぎない。惰性で飲んでいる人もいるとは思うが。
抗うつ剤を飲んだら「ホントに病気になっちゃうよ」というのは、原因と結果が逆転している。病気だから薬を飲むのである。
抗うつ剤への抵抗はまだまだ大きいようだ。
うつ状態にあるときのエピソード。
ユースケ でも、その頃って周りみんな元気だから、「どうしたの?ユースケさん!美味い寿司屋あるから行こうよ!」って、とにかく俺を元気づけたいから。「気分悪いから寿司なんて一番食えないんだよ」って話なんだけど、でもそれ言うと向こうが「ああ・・・そう」みたいな感じで二度と連絡ないですから。「せっかく人が元気づけようとしてやってるのに断りやがった」「後輩のくせに」とか思われちゃう。俺は飯が食えないし、人と会ったりするテンションじゃないんだよ、動けないんだもん。
吉田 「そんなときは美味しい御飯食べれば元気が出るよ」と言われでも・・・。
ユースケ そう、「肉行こう肉!」みたいな。それが一番食えないのに。
よくある話。