香川のネット・ゲーム条例においてゲーム時間60分は1時間以上ゲーム利用をすると成績が下落するからということであった(参考))。その根拠になっているのが香川県学習状況調査である。
先日の高松での講演会で会場に来ていた方から教えてもらった資料である。
家庭でのスマホ・ゲーム使用のルールについての調査結果も掲載されていたので、今回はそれについてみていきたい。
家庭でのスマホ・ゲーム使用のルールと成績
「19. 携帯電話やスマートフォン、ゲーム機などを使う場合、家の人と決めた使用ルールを守っていますか」という質問がある。
- 守っている
- どちらかといえば守っている
- あまり守っていない
- 守っていない
- ルールを決めていない
- 携帯電話やスマートフォンなどを持っていない
ルールを守っていないグループ(回答4)の成績が最も悪いという結果になっている。
ルールを守れていないということは、逆に言えば、そもそもルールがあるということである。スマホやゲーム使用で保護者がルールを作らず無法地帯になっているわけではない。
家庭でルールを決めても児童が従わないケースで成績の下落がみられるというのが正しい理解のようだ。
ルールを守っていない児童
ルールを守っていない児童はどのくらいいるかというと、下記のグラフから確認できる。
- 守っている 27.4%
- どちらかといえば守っている 24.9%
- あまり守っていない 8.7%
- 守っていない 2.4%
- ルールを決めていない 28.3%
- 携帯電話やスマートフォンなどを持っていない 7.7% (数字は中2時点の割合)
成績低下がみられるルールを守らない児童は2.4%と少数である。年次推移をみても、小5から2%程度とほぼ変化がなく、成績が落ちるグループというのは一定であり、かつ少数なのである。
ルールを定めている家庭/定めていない家庭
ルールを定めていない家庭も存在する。
このグラフは同一対象者に毎年調査を行っているので、学年が進むにつれての変化が見れる。
ルールを定めていない家庭は小5では16.2%、中2では28.3%と増加している。もちろんスマホ利用者の増加もあるが、それ以上の増加をしているので、学年が進むとルールが過程で定められない傾向があることは指摘できるだろう。
思春期に入るにしたがって、子どもが親の言うことを聞かないのはよくあることである。ルールはあった方が良い気はするが、すべての子どもたちが親の言う通りに行動している、行動しなればならないという考え方は気持ち悪い。
ネット・ゲームのルールのある家庭
スマホやゲームがない家庭も7.7%ある。そこで、これらのデジタルデバイスがない家庭を除外して、計算し直すと、ルールのいる家庭が69%、ルールの無い家庭が31%となる。
ルールがある家庭が7割、ルールない家庭が3割程度程度である。ただ、ルールがない家庭の児童の成績もやや低い傾向にあるが、成績が低いのは、ルールがあるにも関わらずそれを守っていない児童である。
従って、以下の2点が指摘できる。
- 7割の家庭にはルールがある
- 成績という観点でみれば家庭でネット・スマホ利用のルールを定めていないことではなく、児童がそれを守っていないところに問題がみられる。
ネット・ゲームと成績の問題を論じるのであれば、家庭でルールを作っても守らない児童にどのように対処するか、という問題になるだろう。