香川県のネット・ゲーム規制条例には18歳未満の人のスマホ使用に制限をかける条項に関するエントリである。条文での子どもとは18歳未満のことだと第2条4項で規定されている。18歳未満であれば全員学生かというと、必ずしもそうではない。
中卒や高校中退で働いている人も香川県にはいるはずである。スマホの使用用途を「家族との連絡及び学習に必要な検索等」に限っているので、仕事での連絡などはできないことになってしまう。
スマートフォン等の使用(家族との連絡及び学習に必要な検索等を除く)に当たっては、義務教育修了前の子どもについては午後9時までに、それ以外の子どもについては午後10時までに使用をやめることを目安とする。(第7回検討委員会 再修正素案より引用)
高校に通いながらバイトをしている者もいる。職場との連絡ができないので、バイトのシフトの連絡ができなくなるなどの問題が生じる。クラブ活動も学習ではないため、クラブの打ち合わせもできない。論理的に作り込まれた条例ではないので、様々な矛盾や問題が生じる。
やはり中でも最も気になるのは、条例を定めた人たちの頭の中には、中卒の人たちの存在や、高校などに進学せずに、働いている人たちのことがないことである。
そこで、そういった人たちがどの程度いるのかを調べてみた。
学生ではない18歳未満の人数
知りたいのは要するに「18歳未満の非就学者」である。
ただ、そのものズバリの統計がとられているわけではないので、計算をする必要があるし、正確な数値は得られないので、近似的な値を出すことになる。
学校基本調査
2019年(令和元年)度の後期中等教育(高校など)の生徒数は以下である。全国と香川県の値を示す。
全日制+定時制 | 通信制 | 中等教育学校 | 専修学校 | 各種学校 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 3,168,369 | 197,696 | 54 | 3,137 | 1,119 | 3,370,375 |
香川 | 25,878 | 369 | 0 | 26 | 16 | 26,289 |
これらの学校に通う人たちの合計が就学者である。
国勢調査との比較
人口を知るのであれば国勢調査である。国勢調査は5年に1回行われている。直近で行われたのは2015年である。調査時期は9月から10月なので、年度と年のズレもあまり気になくてよい。
2019年に18歳だった者は2015年には14歳だったので、12~14歳までの人口が必要な値である。
全国 | 香川 | |
---|---|---|
12歳 | 1,118,555 | 8,713 |
13歳 | 1,152,224 | 9,095 |
14歳 | 1,168,566 | 9,238 |
合計 | 3,439,345 | 27,046 |
国勢調査から4年経っているため、香川県と個別の都道府県の場合には、転入・転入がある。引っ越しである。また、少数ながら死亡例もあるだろう。また、高校になると留年・再入学等で4月時点で18歳以上の生徒も含まれる。こういった問題はあるにしろ、だいたいの人数は把握できるはずである。
人口 | 生徒合計 | 非就学人口 | |
---|---|---|---|
全国 | 3,439,345 | 3,370,375 | 68,970 |
香川 | 27,046 | 26,289 | 757 |
この方法だと、全国で6.8万人弱、香川県で757人が18歳未満の非就学者であった。
過去の学校基本調査との比較
国勢調査以外にも推定の方法はある。
それは、義務教育時点の生徒数との比較である。
2019年に18歳だった者が2016年には中学3年生であったので、2016年の学校基本調査との差で、18歳未満の非就学者数を求められる。
2016年義務教育時点生徒数 | 2019年後期中等教育生徒数 | 非就学人口 | |
---|---|---|---|
全国 | 3,406,029 | 3,370,375 | 35,654 |
香川 | 27,541 | 26,289 | 1,252 |
こちらの計算方法だと、18歳未満の非就学人口は全国で3.6万人、香川県で1,252人であった。
結論
香川県の2019年度の18歳の非就学人口は、2015年の国勢調査を用いると757人、過去の学校基本調査を用いると1,252人であった。だいたい1000人である。
全体から言えば、3~5%くらいと少数だが、香川県でも1000人くらいはいる。条例を作る際に、考慮すべき人数だと個人的には思うが、条例を作った人たちには、そうは映らなかったようである。