井出草平の研究ノート

フィールドワークの障害学:ふたつの〈当事者性〉をめぐって


大阪大学人間科学部(研究科)での研究会。対象は大阪大学人間科学研究科の院生だが、外部の人でもいけるのかも?(たぶん)


開催日時:2006年3月10日(金) 13:30〜16:30
開催場所:人間科学研究科東館404講義室
シンポジスト:杉野昭博氏(関西大学社会学部)・山田富秋氏(松山大学人文学部)・土屋葉氏(日本学術振興会特別研究員)


フィールドワークというものを通して「当事者性」を考察する試みだが、この問題系は調査やフィールドワークというものに限らず、「当事者」というものを発見したすべての表現に本質的にまとわりつく問題である。昨日書いた「日本摂食障害学会」(id:iDES:20060305:1141583008)や貴戸理恵不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』の問題とも密接に結びついている。


興味ある方は(プロフィール欄にあるメールアドレスに)ご連絡を。担当者に問い合わせは可能(実際に参加可能かは担当者次第)。


シンポジウム詳細

内容:一般にこれまでの調査論において、当事者性の問題を巡る議論は、調査者は調査を通じて、被調査者とどのように関わるべきであり、どのように表象すべきか(あるいはすべきでないか)という点に関してなされてきました。被調査者の当事者性やそれに関わる調査の倫理という問題は、今日の人文社会科学系の調査論では看過できないテーマであると認識されています。私たちも、表象される側の当事者性をいかに回復しうるのか、あるいは保障できるのかという問いが大変重要である、ということについては異論はありません。しかしながら、それ以前に、研究者の位置が必然的に問われざるを得ないのではないだろうかとも理解しています。この度のシンポジウムは、特に後者の論点に関する認識を深めることを意図して企画致しました。つまり、調査し、表象する主体は、いかにして当事者性を引き受け(または拒絶し)、それをどのように経験しているのか、という問題意識が企画の背景になっております。
 この度のシンポジウムでは「障害学」(Disability Studies)の立場からフィールドワークを続けてこられた3人の研究者を招聘し、それぞれのフィールド経験についてお話しして頂きます。調査者自身の立場やスタンスがその営みのなかで常に問いに付されざるを得ないという、障害学的フィールド実践の舞台裏を中心にお話し頂く予定です。テキストには書かれない、シンポジウムだからこそ話すことのできる、フィールドでの経験についてのお話を聴くことができる貴重な機会になるかと思います。「フィールドワークを障害学する」ことを通じて参加者各人が自身のフィールドワークを捉え返すことを目指したいと思います。