井出草平の研究ノート

コントミンと過食嘔吐


コントミン過食嘔吐に効くときがあるそうだ。EBMではこの薬は上がってこない。


精神科薬物治療を語ろう  精神科医からみた官能的評価

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ルーランのところでコントミン過食嘔吐の話題が出てくる。

兼本:あと、摂食障害があって吐く人には、コントミンの少量がぴったりはまる人がいるように思います。だいたい9〜10mgくらい、15mg使うことはめずらしいですけども、9〜15mgくらいの範囲で本当に楽になる人がいます。ちょっとルーランから離れるんですけど。


熊木:コントミン過食嘔吐に使うというのは、私には経験がないので驚きました。ひとつ思い当たったのが、コントミンは制吐薬として一応認定されていますね。そういうコントミンだから過食嘔吐に効くということなのか、それとも、もっと別の機序なのか……


兼本:もちろん、食欲増進という面もあるから、かえって悪い人だっていると思います。神田橋先生みたいに、はじめからコントミンがいいってわかるわけではないので、あまり深追いはしません。
 でも座持ちがする薬と、座持ちがしない薬はありますよね。「患者さんによくなってもらいたい」「薬そのものも効いてはしい」という気持ちはもちろんあるけど、どちらかというと、まずは薬をやりとりすることでしばらく来てもらうことに主眼があることもあります。まあ効けば効いたで非常にいいのだけども。


熊木:これは健康保険適用ではないですが、強迫スペクトラムのようなもので出てくる過食嘔吐に対して、ルボックスあたりが効くという話が宣伝されていますよね。これはそのまま鵜呑みにしていいのかどうかわかりませんけど。
実際それについて、先生方はどう思われてるのかということと、これは兼本先生にお伺いしたいんですが、コントミンの効き方と比べてどのように違うと感じるのでしょうか。


兼本:僕はあまり偉そうなことは言えないんだけども、実際使ってみたら効いた、という程度です。ただ効くときにはやっばり早いですね、あっという間に効くというのか。ルボックスみたいにしばらく使ってて効くのではなく、もう、効くなら効く、効かないなら効かないで早い。


村上:すると先生、私もコントミン1日量150〜200mgくらい、下は12・5mgから使うのですが、そのミリ数は粉でやるんですか。


兼本:粉でやります。


村上:粉でやるんですか。12.5mgでは多すぎるんですか。


兼本:高齢の人だと3mgくらいで使うこともあります。


村上:3mgと10mgの違いはどうなんですか。


兼本=10mgだとお年寄りの人はふらつくことがあります。3mgでふらついた人はほとんどいません。


杉山:今の分量は1日量で、過食嘔吐の場合は3回にわけて……


兼本:はい1日量で、過食嘔吐は3回にわけてやっていますね。


杉山=たとえば15mgで3回にわけて?


兼本:そうですね。12mgから。そんなにすべてに当たるわけではなく、何人かに喜ばれたという感じです。