井出草平の研究ノート

ゲームをしている幼稚園児の方が社交的

幼稚園でのゲームと社交性について調べた日本での研究である。

www.ncbi.nlm.nih.gov

方法

テレビゲームの利用について幼稚園児の保護者に調査。426名に配布し408名が完全回答をしている。質問項目は、テレビゲームのプレイ量、子どもの健康や発達への影響、保護者のゲームに対する意識など。

健康被害

視力やその他の身体的健康面での悪影響はほとんど報告されていない。

社交性

テレビゲームをプレイした子どもは、未プレイの子どもに比べて社交性が高かった。

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特に、ゲームをプレイしている子どもは、「友達が少ない」「進んで話さない」といった項目で社交性が高かった。

例外

最も社会性の低い男子生徒の一人が、ほぼ毎日2時間テレビゲームをしていた。

考察

ゲームは子どもの生活世界では重要な社交ツールである。しかし、例外的に友達と遊ばずに一人でゲームをしている子どももいた。

この結果はゲーム利用そのものだけで良し悪しを判断してはいけないことを示唆していると思われる。

子どもの生活世界においてゲームはどのような役割を果たしているかをよく観察することが重要であろう。保護者は子どもの生活世界を理解せずにゲーム利用について決めがちだが、子どもの話を聞いて、ゲームをすることによって得られるもの、失われるものを把握しておく必要がある。そのうえで、子どものゲーム利用について話し合っていく必要があるようだ。

研究者

心理学が専門の日本人研究者3人の論文である。

島井哲志 https://researchmap.jp/shimai

増田公男 https://researchmap.jp/read0041138/

岸本陽一 https://researchmap.jp/yoik