原題は「フォートナイトのアイテム課金支出は仲間の購買行動と関連していたが、ゲーム障害の症状とは関連していない」である。
ガチャとギャンブル障害との関連は支持する論文がいくつかあるが、ゲーム障害と関連があるか、はまた別問題である。この論文はこの検討を行っている。
フォートナイトのアイテム課金(マイクロトランザクション)の予測要因に関する論文。フォートナイトはスマホ、PC、Xbox One、Playstation 4、Nintendo Switch、といったいくつもプラットフォームでプレイができる。
マイクロトランザクションとはそのまま翻訳すると少額取引であるが、アイテム課金のことである。
フォートナイトのアイテム課金は(1)ガチャ(ルートボックス)、(2) バトルロイヤルのスキン、(3) セーブ・ザ・ワールドのスキンの3つが質問されている。
方法
フォートナイトのフォーラム(Epic Games、Redditフォーラムなど)から428人の成人を募集。回答は2018年11月から12月にかけて収集。マイクロトランザクション支出とゲーミング障害症状との関連、ゲームの動機や行動、オンラインソーシャルネットワークの影響について調査している。
ゲーム障害
ゲーミング障害の症状はPetry et al.(2014)のDSM-5インターネットゲーム障害基準を用いた スクリーニングが使用された。また、診断基準だけではなく、機能障害項目(Billieux et al.(2018)も含め、判断されている。
60人の回答者(14.0%)が5つ以上の項目に該当し、ゲーム障害の基準を満たしていた。
PVS
PVSはオンラインゲームのアイテムを購入することの知覚価値を測定する24項目の尺度(Park & Lee, 2011)。この尺度には7つのサブスケールである「楽しさ」、「キャラクターの能力」、「視覚的権威」、「金銭的価値」、「キャラクターの識別」、「ゲームの満足度」、「購入意向」で構成されている。
www.sciencedirect.com Park, B. W., & Lee, K. C. (2011). Exploring the value of purchasing online game items. Computers in Human Behavior, 27, 2178-2185.
結果
予測因子は下記のものであった。
2値変数でみた場合。
- (1)Fortniteでお金を使う参加者の親しい友人がどれくらいの頻度で購入するか
- (2)Fortniteをプレイするために使用したデバイスの数
- (3)購入意図のPVSサブスケール
- (4)視覚的権威のPVSサブスケール
- (5)Fortniteレベルランキングが高いこと
- (6)Fortniteティアランキングが低いこと
- (7)報酬志向のGCSWサブスケールのスコアが高いこと
連続変数でみた場合。
- (1)使用している支払い方法の数
- (2)Fortniteの支払いをしている親しい友人が購入する頻度
- (3)年齢が高いこと
- (4)週にFortniteをプレイしている時間数
問題のあるゲーム(ゲーム障害)は、特徴的な衝動性、毎週のプレイ時間、プレイ時間を減らすと自己価値が下がるという認識、と関連していた。また、ルートボックス(ガチャ)への支出はゲーム障害の症状とは関連していなかった。
リミテーション
これらのデータは、ゲーム内の収益化スキームの実施方法が異なると、ゲームの種類によって消費者にとって異なるリスクの可能性がある。