読み書き距離の近さが33cm未満だと1.95倍近視になりやすい

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概要

2008年北京で行われた無作為標本によるクロスセクショナル調査。19校から無作為に選ばれた6歳から18歳までの中国人学校生15,316人から収集したデータを、遺伝的、環境的、行動的要因を含めて評価。近視はSEが少なくとも-0.75D以上と定義。

結果

有病率

近視の有病率は17歳以上の学生で67.31%(平均視度-1.97、SD:0.06)、6~9歳の学生では14.55%(平均視度0.08、SD:0.02)であった。北京は他の中国の地域より近視の有病率が高いそうだ。

ロジスティック回帰分析の結果

f:id:iDES:20200801053221p:plain https://www.scirp.org/html/htmltables/10-8202638Templetes/10-8202638_table_3.htm

家族歴

近視の家族がいない場合に比べて片方の親が近視の場合2.83倍(95%CI: 1.75-2.10)、両親とも近視の場合は2.83倍 (95%CI: 2.47-3.24)。

父親学歴

初等教育に比べて中等教育では1.27倍(95%CI: 1.00-1.60, n.s.)、職業教育校1.54倍(95%CI: 1.22-1.94)、高等教育1.70(95%CI: 1.34-2.14)。

読み書き距離が33cm未満

読み書き距離がの近さ(33cm未満)と近視は関連がみられた。オッズ比は1.95倍(95%CI: 1.69-2.24)。

1日のスポーツ時間

関連がみられなかった。

1日のテレビ視聴時間

関連がみられなかった。カテゴリが2時間以上となっており、それ以上のカテゴリを作成すると、一応有意になりそうな結果である。

勉強時間と睡眠時間

近視と勉強時間に関連がみられた。6時間/日未満に比較して、10時間以上/日は1.43倍(1.25-1.64)。

睡眠時間

近視と睡眠時間には関連があった。9時間/日以上に比較して7時間/日未満は3.37倍(95%CI: 3.07-3.70)。

雑感

読み書き距離がの近さ(33cm未満)と近視は関連がこの研究の最も示唆的な部分だろう。

学歴との関連がやや気になるところである。中国北京では父親学歴が関連していたようである。母親学歴についての分析も知りたいところではある。他の研究では、イギリスの母親の高等教育の学歴が関連するとした研究、インドの母親学歴が関連がないとする研究がある。ただ、インドの研究は中等教育以上となっていて、高等教育が変数になっていない。日本の高等教育進学率はイギリスに最も近いので、母親の高等教育の学歴が効く可能性が高い。母親学歴との関連を探るのは、母親が高等教育進学者だと、教育熱心で、子どもへの教育アスピレーションが高まると一般的に考えられているからだ。

屋外での滞在時間は他の研究では予防効果がみられていたが、この研究ではそれにあたる1日のスポーツ時間の関連がみられていない。

勉強時間との関連がみられるが、それ以上に睡眠時間の効果が非常に高い。子ども時代にはよく寝ることが近視予防には重要であるようだ。