井出草平の研究ノート

潜在移行分析[Mplus]

www.statmodel.com

こちらの8.13の例をモディファイしたもの。8.13は共変量が設定されているためややこしいように思えたので、共変量を取り除いたシンプルにものにしてみた。

f:id:iDES:20200930000018p:plain

c1とc2は2つの時点の潜在変数である。潜在以降分析は潜在クラスが2時点、3時点でどのように変化したかを見るものなので、u11とu21は時点が違うだけで測定する内容は同じである。このモデルでは、5つの観測変数から潜在変数が作られていて、潜在クラスの数は3である。

TITLE: LTA
DATA: FILE = ex8.13.dat;
VARIABLE:   
    NAMES = u11-u15 u21-u25;
    CATEGORICAL = u11-u15 u21-u25;
    CLASSES = c1 (3) c2 (3);
ANALYSIS: TYPE = MIXTURE;
MODEL:  
    %OVERALL%
    c2 ON c1;
MODEL c1: 
    %c1#1% 
    [u11$1-u15$1] (1-5); 
    %c1#2%
    [u11$1-u15$1] (6-10); 
    %c1#3%
    [u11$1-u15$1] (11-15); 
MODEL c2:
    %c2#1% 
    [u21$1-u25$1] (1-5); 
    %c2#2%
    [u21$1-u25$1] (6-10); 
    %c2#3%
    [u21$1-u25$1] (11-15); 

CLASSES = c1 (3) c2 (3);

クラス数を指定する。c1とc2は3クラスずつである。

MODEL: %OVERALL% c2 ON c1;

全体のモデルの記述。潜在変数c1からc2への矢印を示している。

MODEL c1: %c1#1%

%c1#1%はc1のクラス1のこと。[u11$1-u15$1][u11$1] (1); [u12$1] (2); [u13$1] (3); [u14$1] (4); [u15$1] (5);と書いても良い。u11$1u21$1はいずれも"1"のラベルがついているため、同じ項目であることを意味している。

クラスの変化

最も重要なのはクラスがどのように変化したかである。
以下の表は1時点目のC1が行、2時点目のC2が行となっている。

LATENT TRANSITION PROBABILITIES BASED ON THE ESTIMATED MODEL

  C1 Classes (Rows) by C2 Classes (Columns)

            1        2        3

   1     0.632    0.135    0.233
   2     0.587    0.120    0.293
   3     0.341    0.162    0.497

1時点目でクラス1で、2時点目もクラス1だったものは63.2%ということである。クラス2に移行したものは13.5%、クラス3に移行したものは23.3%ということになる。

潜在移行分析を行う前に潜在クラス分析をする

まずは潜在クラス分析をしてクラス数を決める作業を行う。潜在クラス分析はBICやBRRTなどを参考にしてクラス数を決めるが、それらの指標の支持するクラス数が分かれる時があり、その場合は分析者が、クラス数を決める。指標の支持も必要だが、有意味なクラス分けがされているか、というのが最も重要な判断になる。3クラスから4クラスになった方が指標の数値は良いが、3から4にクラス数を増やす意味が説明できないときには、3でもよいということだ。
潜在クラス分析は通常、1時点の分析だが、潜在移行分析の場合は2時点以上のデータがあるため、それぞれの時点のクラス分けをすることになる。時点を越えると、クラス数がしばしば安定しないことがあり、通常の潜在クラス分析よりも、クラス分けは分析者の決断が必要になる傾向にある。 クラス数を決めてから、潜在移行分析を行う。