山根信二さんのTwitter経由で知った情報(https://twitter.com/shinjiyamane/status/1359845316296470529)。
- Andrew K. Przybylski, Thuy‑vy T. Nguyen, Wilbert Law, and Netta Weinstein, 2021, Does taking a short break from Social Media Have a Positive Effect on Well-Being?, the Journal of Technology in Behavioral Science. https://link.springer.com/article/10.1007/s41347-020-00189-w https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s41347-020-00189-w.pdf
オックスフォード大学がレディング大学、ダラム大学、香港教育大学と共同で行った研究で「デジタル・デトックス」を行いソーシャルメディアを控えても個人の幸福度が上がらないことが分かった。一般的には「デジタル・デトックス」は有効だという意見が多いが、逆の結果が出た形である。
英国、米国、香港の大学生ボランティアの間で行われたフィールド実験からのデータに基づいた研究である。研究は、ソーシャル・メディアを使用した日と使用しなかった日で、研究参加者の幸福度とソーシャル・メディアの禁欲の効果に関する5つの仮説をテストした。
研究者の予想とは逆に、ソーシャルメディアを避けても、高い肯定的感、低いネガティブな感情、高い自尊心や満足度といった、個人的な幸福を表現する結果が出なかった。
アンドリュー・プシュビルスキー教授(オックスフォードインターネット研究所)は「オンラインでのコミュニケーションを一時的に止める効果に関して、先行研究は一致した結果がでていない。私たちの研究では、ソーシャル・メディアからの距離をとることの心理的効果と、「デジタルデトックス」に費やされた時間が他のことに使われるかどうかをテストすることで、先行研究の抱えていた問題を改善して研究を行った。私たちの期待に反して、データは、ソーシャルメディアを控えることが自動的に人々の幸福を向上させたり、より充実した社会的生活を送ることにつながるわけではないことが分かった。」
研究ではソーシャル・メディアを一時的にやめた人がソーシャル・メディアの代わりにどのようなコミュニケーションをとるかを調査している。参加者は、ソーシャル・メディアをやめた日は対面・音声・Eメールを含めコミュニケーションすべてが低調になった。デジタル・デトックスによって充実した社会生活が送れることを期待されていたが、逆の結果になった。
レディング大学の共著者であるネッタ・ワインシュタイン教授は「ソーシャル・メディアの使用を控えるかどうかの決定には個人的な動機が大きな役割を果たす可能性がある。デトックスを行うかどうかを選択するという個人の自律性に焦点を当てた研究が必要なのではないか」と指摘している。
雑感
ワインシュタインの指摘が正しいように思う。デジタル・デトックスが有効だと信じ、やる気まんまんであれば、その日の予定も意欲的に立てて、充実した一日にすることができるはずである。デジタル・デトックスが有効だと言ってきた人は、だいたいこういうタイプの人だろう。
逆に、いやいやながらデジタル・デトックスをする羽目になった人は、楽しくないはずである。
誰もがデジタル・デトックスを望んでいないのであれば、ソーシャル・メディアの副作用のようなものはこの方法で解決するのは困難である。それよりも、SNSは常に身近にあるものだ割り切って、行動療法系のテクニックを利用した心理教育をした方が、適切な利用ができるようにした方が現実的なように思う。
山根さんのTwitterでこの情報は1か月前くらいには知っていたのだが、『スマホ脳』の著者アンデシュ・ハンセンがスウェーデンテレビ(SVT)でデジタル・デトックスをやっていたので、やはり重要な研究だと思い翻訳をした。
ドキュメンタリーはスウェーデン語だが、自動翻訳で日本語の字幕がつけられるので、みることができる。
僕にはこの番組は面白くないお笑い番組みたいに見えたが、日本でも本気にしてやっている人もいるし、ノーメディアデーといった取り組みを実践している自治体も出てきている。 スピリチュアル系との親和性も高いらしい。
講習会とかをすればチャリンチャリンなので、この嗅覚はさすがだと思った。