井出草平の研究ノート

ゲーム障害は青少年に多いのではなく、成人でも同じ有病率

www.semanticscholar.org

    1. Wu, J. H. Chen, Kwok-Kit Tong, Shu Yu, J. Lau, 2018, Prevalence and associated factors of Internet gaming disorder among community dwelling adults in Macao, China, Journal of Behavioral Addictions. 7(1):62-69.

中国・マカオの地域居住成人におけるインターネットゲーム障害の有病率と関連因子
背景と目的 インターネットゲーム障害(IGD)は主に青少年を対象に研究されており、中国の一般成人集団における有病率を調べた研究はこれまでにない。本研究では、中国・マカオの一般成人を対象に、IGDの可能性が高いと考えられる有病率を推定した。また、IGDと心理的苦痛(抑うつ、不安など)、IGDと性格の強さ(心理的回復力psychological resilience、生きがいpurpose in lifeなど)との関連も検証した。方法 2016年10月から11月にかけて、中国の住民1,000人(男性44%、平均年齢=40.0歳)を対象に、電話による投票デザインを用いて無作為に代表サンプルを調査した。結果 可能性のあるIGDの推定有病率は、サンプル全体で2.0%、最近のゲーマー(n = 473)で4.3%であり、統計的に有意な性および年齢の影響は観察されなかった(p > .05)。最も多く見られたIGDの2つの症状は、気分の変化と、否定的な結果にもかかわらず継続して参加することであった。IGDの可能性のある回答者は、非IGDの回答者に比べて、心理的な苦痛を受けやすかった(中程度以上のうつ状態と不安状態がそれぞれ25.0%と45.0%あった)。また、心理的レジリエンスも非IGDの回答者に比べて低いレベルであった。性格の強さを表す2つの変数が、苦痛とIGDの関係に及ぼす有意なブァッファー効果は見られなかった。考察と結論 これらの結果は、IGDが青年期のみならず成人期においてもメンタルヘルス上の脅威であることを示す実証的な証拠となった。IGDは心理的苦痛と有意に関連しており、介入の際にはIGDの症状と併せて対処する必要がある。また、今後の予防プログラムには、男女および異なる年齢層のゲーマーを含めることが推奨される。