井出草平の研究ノート

世界保健機関(WHO)のフレームワークに基づくゲーム障害の測定と概念化:ゲーム障害テストの開発

ICD-11の項目から作られた4項目のゲーム症のスクリーニングツールGaming Disorder Test (GDT)

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  • Halley M. Pontes, Bruno Schivinski, Cornelia Sindermann, Mei Li, Benjamin Becker, Min Zhou & Christian Montag, 2021, Measurement and Conceptualization of Gaming Disorder According to the World Health Organization Framework: the Development of the Gaming Disorder Test, International Journal of Mental Health and Addiction volume 19, pages508–528. DOI:10.1007/s11469-019-00088-z

世界保健機関(WHO)のフレームワークに基づくゲーム障害の測定と概念化:ゲーム障害テストの開発 ゲーム障害(GD)に関するこれまでの研究では、命名法の異質性や、この現象を評価するための標準化されていない心理測定ツールの使用に起因する、方法論的および概念的な障害が浮き彫りになっている。最近、世界保健機関(WHO)は、国際疾病分類第11版(ICD-11)において、GDを正式な精神疾患および行動依存症として認めたことで、過度で無秩序なゲームによる心理社会的および精神衛生的な影響をさらに調査するための新たな可能性が生まれた。しかし,GDに関する研究を信頼性の高い方法で,しかも異文化間で行うためには,WHOが定義した構成要素を評価するための有効かつ信頼性の高い標準化された心理測定ツールを開発する必要がある。本研究の目的は、GDを評価するための4項目の簡易尺度であるGaming Disorder Test (GDT)を開発し、その心理測定的特性をさらに検討することであった。中国人ゲーマー236名(男性47%、平均年齢19.22歳、SD=1.57)とイギリス人ゲーマー324名(男性49.4%、平均年齢26.74歳、SD=7.88)を対象に、オンラインで募集を行った。GDTの構成的妥当性は、要因的妥当性、名目的妥当性、収束的妥当性、差別的妥当性とともに検討された。また、IGDS9-SF(Internet Gaming Disorder Scale-Short-Form)を用いて、併存的妥当性を検討した。最後に、信頼性の指標として、Cronbach’s alphaおよび複合信頼性係数を評価した。その結果、GDTは単一因子構造で最もよく概念化されることが示された。さらに、GDTの4項目は、有効性と信頼性が高く、異文化環境におけるGDの測定に非常に適していることが証明された