井出草平の研究ノート

8歳時社会的スキルと感情調整スキルが10歳時のゲーム障害を予測

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    1. Wichstrøm, Frode Stenseng, J. Belsky, T. von Soest, B. W. Hygen, 2019, Symptoms of Internet Gaming Disorder in Youth: Predictors and Comorbidity. Journal of Abnormal Child Psychology. 47, pages71–83.

青少年におけるインターネットゲーム障害の症状。予測因子と併存疾患
インターネットゲーム障害(IGD)は,DSM-5の補遺に,今後の研究の条件として含まれている。診断面接を用いた地域サンプルの研究は不足しており、提案されているIGDの症状、併存疾患、予測因子の評価は乏しい。このような情報を提供するために、ノルウェーの前向きコミュニティ研究の参加者は、10歳の時に臨床面接で評価された。他の精神疾患の症状は、8歳と10歳の時に児童青年精神医学評価で測定された(n = 740)。子ども、親、教師は、人口統計、気質、知能、実行機能、自己概念、社会的スキル、被害、感情調整、家庭環境、子育てに関する情報を提供した。その結果、IGDは参加者の1.7%(95%信頼区間、0.7-2.7)に存在していた(男子3.0%、女子0.5%)。因子分析の結果、「重い関与」と「否定的な結果」の2つの因子が明らかになった。引きこもり離脱、耐性、ゲームの症状をコントロールしようとして失敗したことの障害への正の予測値は低かった。他の一般的な障害の症状は、IGDの症状と弱く相関していた(すなわち、r = 0.07からr = 0.15まで)。性別と8歳時のゲーム性を調整すると、8歳時の限られた社会的スキルと感情調整スキルだけが、10歳時のIGD症状をより多く予測した。結論として、IGDはノルウェーの10歳児のごく一部にすでに存在している。提案された症状のうち、少なくとも3つの症状(引きこもり離脱、耐性、ゲームをコントロールしようとする試みの失敗)は、障害との関連性が弱いことから、さらなる研究が必要である。IGDの症状は、他の精神疾患の症状との関連はわずかであり、社会的スキルや感情調整の障害によってのみ予測される。