遠山尚孝「フォローアップ調査からみた患者の自己理解と病態推移」

遠山尚孝,1994,
「フォローアップ調査からみた患者の自己理解と病態推移」
『厚生省特定疾患神経性食欲不振症調査研究班 平成4年度研究報告書』


摂食障害の当事者の生活状態のアンケート調査。31名と小規模調査になっている。

3.食事や食べ物へのこだわりもやはり半数の者に残っており,また家族や友人との付き合いはかなりあると答えた者を含めて84%の人が通常の人間関係を維持しているようで,全く一人で孤立した状態の者はいなかった.趣味や生活の中での楽しみを尋ねると,少ししかないと答えた著が41%と多くを占めた.


人付き合いはあるが、生活の中での楽しみが少ない傾向にある。
「病気の治りにくさ」についての自己認識は以下のようになっている。

まずこの病気の治りにくさはどのような点にあると思うかの質問には,過食嘔吐などの食習慣異常そのものをあげた者が回答者19名中9名と最も多く,次いで体形へのこだわりと体重恐怖をあげた者と,自分の居場所が見つけられなかったり,心から興味のあることが見つけにくいなどの,自分の取り戻しにくさをあげた者が4名であった.


当人の思う症状の「本質」についての質問。

病気の本体は何と思うかを問うた質問には,食習慣異常そのものもさることながら,甘えやわがまま,愛情飢蛾,辛いことからの逃避をあげたものが同数の31%に見られたのが印象的あった.また他人の目や評価が,物事を決定する基準の全てになり,痩せて綺麗にならないと幸せになれないという思い込みの状態になるなどがあげられ,本症の病態特徴を裏付ける結果であった.


順当に摂食行動が3割。拒食や過食などの行動が一連の本丸であるという認識だ。しかし、摂食行動以外に本体があるという認識も3割ある。

約60%の看が「病気したことがいつも頭にある」と答え摂食障害体験が頭から去り難いようだった


食べ物のことを一日中考えているという割合が6割程度。


調査の概要は以下。

 対象は,筆者の治療法がほぼ一定の治療的枠組みのもとで行われるようになった最近4年間に,1ヶ月以上の治療的関わりを持った者31名で,チェック・リストと自由記述からなる調査票を作成して,平成4年7−8月にかけて郵送によるフォローアップ調査を実施した.なお,本調査目的にかんがみ質問項目は概要を知りえる範囲のものに留めた.調査票の回答が得られたのは22名,回収率71%だが,うち2名は転居先不明で返送された.