井出草平の研究ノート

精神医学

TikTokの使い過ぎを評価するため尺度TikTok Use Disorder-Questionnaire(TTUD-Q)

bmcpsychology.biomedcentral.com Huang, C., Guo, L., Sun, Y., Lu, J., Shan, H., Du, J., Jiang, H., Shao, S., Deng, M., Wen, X., Zhu, R., Su, H., Zhong, N., & Zhao, M. (2024). Disrupted inter-brain synchronization in the prefrontal cortex be…

クレペリンからのネオ・クレペリンアンの分岐: 彼らとは何で、なぜ彼らが問題なのか

pdxscholar.library.pdx.edu Hoeschen, L. (2014). Neo-Kraepelinian Divergences from Kraepelin; What Are They and Why They Matter. https://doi.org/10.15760/honors.102 要旨 精神医学はその発展を通して、科学的・医学的学問分野として自らを正当化す…

民事訴訟における心的外傷後ストレス障害診断の信頼性向上について

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/13218710903421308 Large, M. M., & Nielssen, O. (2010). Improving the Reliability of the Diagnosis of Post-Traumatic Stress Disorder in Civil Litigation. Psychiatry, Psychology and Law, 17(1), 79–…

抗精神病薬の一般的な副作用の管理

www.ncbi.nlm.nih.gov 抗精神病薬の利点は、時にその副作用によって覆い隠されることがある。これらの副作用は、比較的軽微な耐性(例:軽い鎮静や口渇)から非常に不快なもの(例:便秘、アカシジア、性機能障害)、痛みを伴うもの(例:急性ジストニア)、…

精神科診断におけるネオ・クレペリン的変革

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Compton, W. M., & Guze, S. B. (1995). The neo-Kraepelinian revolution in psychiatric diagnosis. European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience, 245(4–5), 196–201. https://doi.org/10.1007/BF02191797 診断カ…

アレン・フランセス、DSM-5に対して「あらゆる熱中的な嗜癖を精神疾患とするよう広まり、インターネット、セックス、ショッピング、その他の未検証の「嗜癖」に対する一次拭きなブームにすぎない診断への扉を開く」と批判する

www.cambridge.org また、DSM-5では、ギャンブルを最初の例として「行動嗜癖」という概念を導入することで、危険な坂道 slippery slope を作り出している。この時期尚早の先例は、やがてあらゆる熱中的な嗜癖を精神疾患にするように拡大され、インターネット…

アレン・フランセス「臨床的意義の重要性」

www.psychiatrictimes.com July 2, 2010 Allen Frances, MD 特徴的なクラスターの有無だけで精神障害を定義してはどうでしょうか?なぜ苦痛や障害も必要だと感じたのでしょうか? 精神症状は一般集団ではかなり広範囲にみられ、ほとんどの正常人には少なくとも…

DASS: The Depression Anxiety Stress Scalesの日本語版の状況

DASS: The Depression Anxiety Stress Scalesについて調べてみた。 オリジナルはこちら pubmed.ncbi.nlm.nih.gov オリジナルは42項目である。 DASS-21 DASS-21は21項目の短縮版である。オリジナルの論文Lovibond and Lovibond(1995)の中ですでに作られている…

家族のアコモデーションを計測する尺度FACLIS

www.ncbi.nlm.nih.gov 要旨 親の適応 Parental accommodation(すなわち、子どもの苦痛を防止または軽減しようとする親の行動の変化)は、OCDとの関連で最も多く研究されてきた。最近の研究では、強迫性障害以外の不安診断を受けた子どもの親も収容に関与して…

アルコール使用とADHD

www.ncbi.nlm.nih.gov 概要 注意欠如多動性障害(ADHD)は、思春期や成人期まで続くとアルコールや他の薬物(AOD)関連の問題につながる可能性のある小児期の精神疾患である。いくつかの知見は、ADHDがAOD(alcohol and other drug)使用障害の発症に寄与して…

ゲームによるうつ病の治療

link.springer.com 概要 まとめ 全体として、ビデオゲームを用いた介入は、うつ病性障害の症状の軽減に有用かつ効果的であった。研究のうち7件は過去5年間に発表されたものであり、これはうつ病に対するビデオゲームを用いた介入に対する研究の関心の高まり…

精神疾患の治療に用いられるゲーム(レビュー)

games.jmir.org Kowal, Magdalena, Eoin Conroy, Niall Ramsbottom, Tim Smithies, Adam Toth, and Mark Campbell. 2021. “Gaming Your Mental Health: A Narrative Review on Mitigating Symptoms of Depression and Anxiety Using Commercial Video Games.…

カジュアルゲームによるうつと不安の軽減

うつと不安、ストレス、気分の落ち込みに対してカジュアルゲームによ軽減効果についてのレビューした論文。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Pine, Russell, Theresa Fleming, Simon McCallum, and Kylie Sutcliffe. 2020. “The Effects of Casual Videogames on An…

治療抵抗性うつ症状に対するゲームの治療効果

Russoniello, Carmen V., Matthew T. Fish, and Kevin O’Brien. 2019. “The Efficacy of Playing Videogames Compared with Antidepressants in Reducing Treatment-Resistant Symptoms of Depression.” Games for Health Journal 8 (5): 332–38. 治療抵抗性…

児童および青少年における精神障害の過剰診断

www.ncbi.nlm.nih.gov 児童・青年期の精神障害における過剰診断を方法論的観点から検討できた研究は1件のみであった。この研究では、注意欠陥・多動性障害の過剰診断の重大な証拠が発見された。 有病率上昇の説明として、過剰診断という仮説を検証することは…

リスクのある青少年における心的外傷後ストレス障害の過小診断

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Miele, Drew, and Edward J. O’Brien. 2010. “Underdiagnosis of Posttraumatic Stress Disorder in at Risk Youth.” Journal of Traumatic Stress 23 (5): 591–98. 幼少期のPTSDの影響 幼少期や青年期のトラウマの体験は、すぐにネ…

ロードアイランド州MIDASプロジェクトにおける過診断と過小診断

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Zimmerman, Mark. 2016. “A Review of 20 Years of Research on Overdiagnosis and Underdiagnosis in the Rhode Island Methods to Improve Diagnostic Assessment and Services (MIDAS) Project.” Canadian Journal of Psychiatry…

ICD-11 6C51 ゲーム障害(ゲーム行動症)

更新されたので日本語訳をやり直した。以前のバージョンはこちら。 診断基準は変更はない。鑑別診断の記述、統計データ、経過などが追加され、DSMのような記述法に変更されたようだ。 icd.who.int 説明 ゲーム障害は、オンライン(すなわちインターネット上…

子守国家からセラピー国家へ(マイク・フィッツパトリック)

www.ncbi.nlm.nih.gov 子守国家からセラピー国家へ From ‘nanny state’ to ‘therapeutic state’ マイク・フィッツパトリック Mike Fitzpatrick 公衆衛生政策のあらゆる議論に「ナニー・ステート(子守国家)」という厄介者が漂っている。公共の場での喫煙、…

破壊的行動をとる子どもにおけるCBCL Dysregulation Profileの臨床的有用性

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Aitken, Madison, Marco Battaglia, Cecilia Marino, Nivethine Mahendran, and Brendan F. Andrade. 2019. “Clinical Utility of the CBCL Dysregulation Profile in Children with Disruptive Behavior.” Journal of Affective Di…

CBCL小児双極性障害プロファイルとADHD、併存症と量的形質遺伝子座分析

www.ncbi.nlm.nih.gov McGough, James J., Sandra K. Loo, James T. McCracken, Jeffrey Dang, Shaunna Clark, Stanley F. Nelson, and Susan L. Smalley. 2008. “CBCL Pediatric Bipolar Disorder Profile and ADHD: Comorbidity and Quantitative Trait Lo…

ICD-11作成の中心メンバーの一人ジェフリー・リード氏、ICD-11にゲーム障害を収録に関して「アジアの国々から大きな圧力を受けている」と証言する

アンドリュー・シュービルスキー氏がゲーム障害にエビデンスが薄弱であるとWHOからメールを受け取った件の続報である。事情を把握されていない方は以下のリンクを参照されたい。 ides.hatenablog.com ジェフリー・リード氏がICD-11にゲーム障害を採用するこ…

アンドリュー・シュビルスキーがWHOにゲーム障害の根拠を問い合わせたところ、根拠を示すことができなかった上に、ゲーム障害の解説ページを削除する事態に陥る

ゲームメディアNMEの記事。 www.nme.com ゲーム障害の導入に慎重な立場のアンドリュー・シュビルスキーが、ゲーム障害がICD-11に採用されたのはなぜか? それほどエビデンスが積み重なっていたわけではないのに、どういう過程で採用されたのか? 自分が知ら…

精神障害における診断の妥当性を確立した論文(Robins & Guze1970)

精神障害における診断の妥当性を確立したと言われる論文である。Guzeはグーズではなくグーザイと読む(https://www.nytimes.com/2000/07/22/us/samuel-guze-76-psychiatrist-who-pushed-link-to-medicine.html)。 en.wikipedia.org en.wikipedia.org Robinsと…

LEAD基準

LEAD基準/診断について説明する機会が多々あったため、ロバート・スピッツァーが1983年にLEAD基準を提言した論文の該当箇所を翻訳することにした。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Spitzer, R. L. 1983. “Psychiatric Diagnosis: Are Clinicians Still Necessary?”…

アレン・フランセス「「行動嗜癖」という概念には、われわれはみな「行為依存者」だとする根本的な欠陥がある。快楽を繰り返し求めるのは人間の本質の一部であり、当たり前すぎて精神疾患とは見なせない」

行動嗜癖の下位概念にゲーム障害やインターネット依存症などがあるので、ここはゲーム障害やネット依存症と読み替えてもよいだろう。 〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告作者:アレン・フランセス発売日: 2013/10/02メディア: 単行本 この本の…

孤児院に関するメモ

性的虐待とかカトリック教会の話とか。 www.buzzfeednews.com クイーンズ・ギャンビットの記事。 news.yahoo.co.jp ジュプレシの孤児 en.wikipedia.org モーリス・デュプレシは相当ヤバいというのはいろいろなところで読んだが、これはかなりヤバい。少し調…

キャンプではインターネット依存症は治らない(Global Times)

Global Timesの記事。Global Timesは環球時報の英語版で中国共産党の機関紙『人民日報』系列の紙である。共産党、中国政府の意向が反映された紙面づくりをしていると考えてよい。 そういったポジションの新聞がキャンプや入院をさせても依存症は治らないと主…

修正版YDQ

少し古いがYDQの修正版として提案されているもの。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov K W Beard, E M Wolf, 2001, Modification in the proposed diagnostic criteria for Internet addiction. Cyberpsychol Behav.4(3):377-83. All the following (1-5) must be pre…

インターネット依存症における灰白質と白質の異常

journals.plos.org インターネット・アディクション障害(internet addiction disorder: IAD)が対象。灰白質は神経細胞の細胞体が存在している部位のこと。ボクセルベースの形態計測法(VBM)を用いてIADの青年期の脳の形態を調べ、拡散テンソルイメージン…