精神医学

キャンプではインターネット依存症は治らない(Global Times)

Global Timesの記事。Global Timesは環球時報の英語版で中国共産党の機関紙『人民日報』系列の紙である。共産党、中国政府の意向が反映された紙面づくりをしていると考えてよい。 そういったポジションの新聞がキャンプや入院をさせても依存症は治らないと主…

修正版YDQ

少し古いがYDQの修正版として提案されているもの。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov K W Beard, E M Wolf, 2001, Modification in the proposed diagnostic criteria for Internet addiction. Cyberpsychol Behav.4(3):377-83. All the following (1-5) must be pre…

インターネット依存症における灰白質と白質の異常

journals.plos.org インターネット・アディクション障害(internet addiction disorder: IAD)が対象。灰白質は神経細胞の細胞体が存在している部位のこと。ボクセルベースの形態計測法(VBM)を用いてIADの青年期の脳の形態を調べ、拡散テンソルイメージン…

インターネットゲーム障害における脳の過活動

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Yajing Meng, Wei Deng, Huiyao Wang, Wanjun Guo, 2015, The prefrontal dysfunction in individuals with Internet gaming disorder: a meta‐analysis of functional magnetic resonance imaging studies, Addict Biol. 20(4): 79…

インターネットゲーム障害の人はストレスが高くレジリエンスが低い

www.ncbi.nlm.nih.gov イタリアの研究。ストレスに対する脆弱性とインターネット・ゲーミング障害(IGD)との関連についての論文。605名の参加者(男性=82%、Mage=24.01歳、SDage=6.11)を対象にオンライン調査を実施。 尺度 知覚ストレスは、the Perceived …

ゲームは抑うつ軽減する

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov この研究の目的は、カジュアルなビデオゲーム(CVG)プレイを治療法として行うことで、うつ病を軽減できるかを明らかにすることである。 カジュアルゲーム カジュアルゲーム協会は、CVGは楽しい、アクセスが速い、学習しやすいと考…

新型コロナのロックダウンで生じるストレスに対してゲームが有効

インドの大学生を対象した調査。この研究はもともとのインターネットゲーム障害の研究の参加者に追加調査したもののようだ。論文ではゲームはストレスに対抗するのに役立つと考えられていると述べられている。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov https://www.research…

インターネットゲーム障害の構造化面接SCI-IGD

www.ncbi.nlm.nih.gov Hoon Jung Koo, Doug Hyun Han, Sung-Yong Park, and Jung-Hye, 2017, The Structured Clinical Interview for DSM-5 Internet Gaming Disorder: Development and Validation for Diagnosing IGD in Adolescents. Psychiatry Investig.…

境界性パーソナリティ障害の早期発症のレビュー

境界性パーソナリティ障害と早期発症に関するレビュー。科研の関係で知識の補充目的に読んだ。 www.ncbi.nlm.nih.gov イントロダクション パーソナリティ障害(PD)は成人期に突然出現するものではなく、実際には、後のパーソナリティ病理に対する脆弱性をも…

ゲーム障害は他の精神障害を引き起こすのではなく、共通の要因によって生じる

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov https://acamh.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jcpp.13289 インターネットゲーム障害(IGD)の症状が高い子どもや青年は、他の子供や青年よりも一般的には精神疾患の症状が多い。一時点の研究=横断的研究では、IGDが原…

ゲーム障害とADHD、衝動性、敵意

インターネットゲーム障害とADHDについての研究。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov - Yen, J.-Y., Liu, T.-L., Wang, P.-W., Chen, C.-S., Yen, C.-F., & Ko, C.-H. (2017). Association between Internet gaming disorder and adult attention deficit and hyperac…

高齢者におけるデエビゴvs.マイスリー

治験第3相の論文 jamanetwork.com 55歳以上(中央値は63歳、55~88歳)で不眠症障害を有する参加者1006 名を対象とした無作為化二重盲検臨床試験。プラセボ、マイスリー(ゾルピデム酒石酸塩徐放製剤 6.25mg)、デエビゴ(レンボレキサント5mg/10mg)を1ヵ月間、…

ネット依存症はネット使用時間ではなく不安症状によって説明される

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Bengü Yücens, Ahmet Üzer, 2018, The relationship between internet addiction, social anxiety, impulsivity, self-esteem, and depression in a sample of Turkish undergraduate medical students, Psychiatry Res. 267:313-31…

インターネット依存症の予測因子は学業成績の低さ、男性、保護的な育児スタイル

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov インターネット依存症の予測因子を探索する前方視野的研究。 Chen, Y.-L., Chen, S.-H., & Gau, S.-F. (2015). ADHD and autistic traits, family function, parenting style, and social adjustment for internet addiction among …

インターネット依存症になる要因はADHD、継続する要因は自閉症とADHD

弘前大学のグループの研究。 www.hirosaki-u.ac.jp link.springer.com インターネット依存症について潜在的移行分析(latent transition analysis)を用いて2年間の移行パターンと安定性について調べた研究。小学生を対象とした調査(9~12歳)で5483名が対象…

精神障害とは何か DSM-IVからDSM-5へ

www.ncbi.nlm.nih.gov - D. J. Stein et al., 2010, What is a mental/psychiatric disorder? From DSM-IV to DSM-V, Psychological Medicine, 40(11): 1759-1765. 精神障害を構成するものとして下記のガイドラインを提唱している。 症状または症候群のパタ…

インターネット依存症・1996-2006年に行われた量的研究の分析

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 1996年から2006年の間に学術雑誌に掲載されたインターネット依存症に関する実証的研究のメタ分析。合計61本の論文があったが、インターネット依存症の社会的・経済的コスト、治療上の問題、従業員のインターネット過剰使用に対する…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その3

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。後半1/3の抄訳。 journals.sagepub.com その1はこちら。 ides.hatenablog.com その2はこちら。 ides.hatenablog.com Ledermannの経験的 Ledermannは彼の単一分布理論とともに経験的なデ…

ブプロピオン(カプラン精神科薬物療法のポケットハンドブック)

Kaplan & Sadock's Pocket Handbook of Psychiatric Drug Treatment (English Edition)作者:Sadock, Benjamin,Sadock, Virginia A.,Sussman, Norman発売日: 2017/12/20メディア: Kindle版 第7版からブプロピオンについての気になったところだけメモ。ブプロ…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その2

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。真ん中の1/3の抄訳。今回はLedermannの基本的な仮説の背景。 journals.sagepub.com その1はこちら。 ides.hatenablog.com Ledermannの仮説とその背景 Ledermannは分布問題の分析の序章…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その1

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。最初の1/3の抄訳。今回はLedermannの基本的な仮説の説明。 journals.sagepub.com Ledermannの著作は下記のものである。 Ledermann, S. (1946) La mortalite des adultes en France. Popu…

行動嗜癖は精神障害であるべきか否か

さまざまなものが行動の依存症である行動嗜癖ではないかという声が上がっている。依存症とは違い嗜癖(addiction)とは行動のコントロールが取れないことが中核定義にあるため、合理的ではなかったり、個人の意思を超えて発生するものは、すべて嗜癖と定義する…

病気・疾病・疾患の翻訳の検討

精神医学分野における病気・疾病・疾患の翻訳についてまとめてみた。 ここでいうICD-10とはFカテゴリのことではなく『ICD‐10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン』のことで英語のタイトルはThe ICD-10 classification of mental and behaviour…

病気・疾病・やまい・やまいけ・わずらい・いたつき・疾患・Pathos

病気関連の日本語を整理してみた。 病気 『日本国語大辞典』から。 (1)生体が正常と異なった形態または機能を示す状態。 *古事談〔1212~15頃〕五・関寺霊牛事「而件牛両三日有病気」 *保元物語〔1220頃か〕中・左府御最後事「左府御病気のよし…

ゲームをすると脳細胞が死滅・萎縮すると主張する人たちが引用する論文には何が書いてあるのか

鈴木裕美(香川大学医学部助教) 鈴木裕美さんは「過剰なドーパミン放出が報酬系を壊し、神経を死滅させる」と述べている。 観音寺市議会の合田隆胤議員のページ(参照)で紹介。 一応、注釈を入れておくと、報酬系が壊れる?のはダウンレギュレーション仮説であ…

抗うつ薬の登場がもたらした歓喜の場面

読んでいた本に出てきた写真。 結核薬として開発されたイプロニアジドが抗うつ効果を持っていた。1952年に「ライフ」誌に載ったフォトエッセイの写真だそうだ。 イプロニアジドの臨床試験をするまでは、回復の見込みのない結核と見限られ、死への途上にあっ…

「ゲームと覚醒剤は同じ」と主張する精神科医の岡田尊司の誤りを正す

香川県のネット・ゲーム規制条例を強く推し進める大山一郎香川県議が「ゲームと覚醒剤は同じ」という趣旨の発言を行っていることを以前にエントリした。今回はその元ネタである。 インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで (文春新書)作者:岡田 尊…

トリンテリックス(ボルチオキセチン)と性機能障害

トリンテリックス(ボルチオキセチン)について一つ気づいていなかったことがある。下記の記事を読んで気付いた。 www.mdmag.com 性機能障害が他の抗うつ薬に比べて低いという補足記述が2018年10月22日にFDAに受理されたという記事である。 研究 元になった研…

トリンテリックス(ボルチオキセチン)のレビュー

トリンテリックスが11月27日発売ということなので、トリンテリックスのレビュー論文を簡単に紹介しておこう。適応の大うつ病性障害以外に全般性不安症にも使用されている。 トリンテリックスのレビューはなぜかたくさんあって、適切なものを選ぶのが難しい。…

オープンダイアローグによる介入によりひきこもりが著効した例

オープンダイアローグがひらく精神医療作者: 斎藤環出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2019/07/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 以下は斎藤環さんが実際に介入した事例である。 最初の事例はひきこもりの男性だった。家族内暴力を振るい、家…