井出草平の研究ノート

精神医学

子守国家からセラピー国家へ(マイク・フィッツパトリック)

www.ncbi.nlm.nih.gov 子守国家からセラピー国家へ From ‘nanny state’ to ‘therapeutic state’ マイク・フィッツパトリック Mike Fitzpatrick 公衆衛生政策のあらゆる議論に「ナニー・ステート(子守国家)」という厄介者が漂っている。公共の場での喫煙、…

破壊的行動をとる子どもにおけるCBCL Dysregulation Profileの臨床的有用性

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Aitken, Madison, Marco Battaglia, Cecilia Marino, Nivethine Mahendran, and Brendan F. Andrade. 2019. “Clinical Utility of the CBCL Dysregulation Profile in Children with Disruptive Behavior.” Journal of Affective Di…

CBCL小児双極性障害プロファイルとADHD、併存症と量的形質遺伝子座分析

www.ncbi.nlm.nih.gov McGough, James J., Sandra K. Loo, James T. McCracken, Jeffrey Dang, Shaunna Clark, Stanley F. Nelson, and Susan L. Smalley. 2008. “CBCL Pediatric Bipolar Disorder Profile and ADHD: Comorbidity and Quantitative Trait Lo…

ICD-11作成の中心メンバーの一人ジェフリー・リード氏、ICD-11にゲーム障害を収録に関して「アジアの国々から大きな圧力を受けている」と証言する

アンドリュー・シュービルスキー氏がゲーム障害にエビデンスが薄弱であるとWHOからメールを受け取った件の続報である。事情を把握されていない方は以下のリンクを参照されたい。 ides.hatenablog.com ジェフリー・リード氏がICD-11にゲーム障害を採用するこ…

アンドリュー・シュビルスキーがWHOにゲーム障害の根拠を問い合わせたところ、根拠を示すことができなかった上に、ゲーム障害の解説ページを削除する事態に陥る

ゲームメディアNMEの記事。 www.nme.com ゲーム障害の導入に慎重な立場のアンドリュー・シュビルスキーが、ゲーム障害がICD-11に採用されたのはなぜか? それほどエビデンスが積み重なっていたわけではないのに、どういう過程で採用されたのか? 自分が知ら…

精神障害における診断の妥当性を確立した論文(Robins & Guze1970)

精神障害における診断の妥当性を確立したと言われる論文である。Guzeはグーズではなくグーザイと読む(https://www.nytimes.com/2000/07/22/us/samuel-guze-76-psychiatrist-who-pushed-link-to-medicine.html)。 en.wikipedia.org en.wikipedia.org Robinsと…

LEAD基準

LEAD基準/診断について説明する機会が多々あったため、ロバート・スピッツァーが1983年にLEAD基準を提言した論文の該当箇所を翻訳することにした。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Spitzer, R. L. 1983. “Psychiatric Diagnosis: Are Clinicians Still Necessary?”…

アレン・フランセス「「行動嗜癖」という概念には、われわれはみな「行為依存者」だとする根本的な欠陥がある。快楽を繰り返し求めるのは人間の本質の一部であり、当たり前すぎて精神疾患とは見なせない」

行動嗜癖の下位概念にゲーム障害やインターネット依存症などがあるので、ここはゲーム障害やネット依存症と読み替えてもよいだろう。 〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告作者:アレン・フランセス発売日: 2013/10/02メディア: 単行本 この本の…

孤児院に関するメモ

性的虐待とかカトリック教会の話とか。 www.buzzfeednews.com クイーンズ・ギャンビットの記事。 news.yahoo.co.jp ジュプレシの孤児 en.wikipedia.org モーリス・デュプレシは相当ヤバいというのはいろいろなところで読んだが、これはかなりヤバい。少し調…

キャンプではインターネット依存症は治らない(Global Times)

Global Timesの記事。Global Timesは環球時報の英語版で中国共産党の機関紙『人民日報』系列の紙である。共産党、中国政府の意向が反映された紙面づくりをしていると考えてよい。 そういったポジションの新聞がキャンプや入院をさせても依存症は治らないと主…

修正版YDQ

少し古いがYDQの修正版として提案されているもの。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov K W Beard, E M Wolf, 2001, Modification in the proposed diagnostic criteria for Internet addiction. Cyberpsychol Behav.4(3):377-83. All the following (1-5) must be pre…

インターネット依存症における灰白質と白質の異常

journals.plos.org インターネット・アディクション障害(internet addiction disorder: IAD)が対象。灰白質は神経細胞の細胞体が存在している部位のこと。ボクセルベースの形態計測法(VBM)を用いてIADの青年期の脳の形態を調べ、拡散テンソルイメージン…

インターネットゲーム障害における脳の過活動

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Yajing Meng, Wei Deng, Huiyao Wang, Wanjun Guo, 2015, The prefrontal dysfunction in individuals with Internet gaming disorder: a meta‐analysis of functional magnetic resonance imaging studies, Addict Biol. 20(4): 79…

インターネットゲーム障害の人はストレスが高くレジリエンスが低い

www.ncbi.nlm.nih.gov イタリアの研究。ストレスに対する脆弱性とインターネット・ゲーミング障害(IGD)との関連についての論文。605名の参加者(男性=82%、Mage=24.01歳、SDage=6.11)を対象にオンライン調査を実施。 尺度 知覚ストレスは、the Perceived …

ゲームは抑うつ軽減する

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov この研究の目的は、カジュアルなビデオゲーム(CVG)プレイを治療法として行うことで、うつ病を軽減できるかを明らかにすることである。 カジュアルゲーム カジュアルゲーム協会は、CVGは楽しい、アクセスが速い、学習しやすいと考…

新型コロナのロックダウンで生じるストレスに対してゲームが有効

インドの大学生を対象した調査。この研究はもともとのインターネットゲーム障害の研究の参加者に追加調査したもののようだ。論文ではゲームはストレスに対抗するのに役立つと考えられていると述べられている。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov https://www.research…

インターネットゲーム障害の構造化面接SCI-IGD

www.ncbi.nlm.nih.gov Hoon Jung Koo, Doug Hyun Han, Sung-Yong Park, and Jung-Hye, 2017, The Structured Clinical Interview for DSM-5 Internet Gaming Disorder: Development and Validation for Diagnosing IGD in Adolescents. Psychiatry Investig.…

境界性パーソナリティ障害の早期発症のレビュー

境界性パーソナリティ障害と早期発症に関するレビュー。科研の関係で知識の補充目的に読んだ。 www.ncbi.nlm.nih.gov イントロダクション パーソナリティ障害(PD)は成人期に突然出現するものではなく、実際には、後のパーソナリティ病理に対する脆弱性をも…

ゲーム障害は他の精神障害を引き起こすのではなく、共通の要因によって生じる

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov https://acamh.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jcpp.13289 インターネットゲーム障害(IGD)の症状が高い子どもや青年は、他の子供や青年よりも一般的には精神疾患の症状が多い。一時点の研究=横断的研究では、IGDが原…

ゲーム障害とADHD、衝動性、敵意

インターネットゲーム障害とADHDについての研究。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov - Yen, J.-Y., Liu, T.-L., Wang, P.-W., Chen, C.-S., Yen, C.-F., & Ko, C.-H. (2017). Association between Internet gaming disorder and adult attention deficit and hyperac…

高齢者におけるデエビゴvs.マイスリー

治験第3相の論文 jamanetwork.com 55歳以上(中央値は63歳、55~88歳)で不眠症障害を有する参加者1006 名を対象とした無作為化二重盲検臨床試験。プラセボ、マイスリー(ゾルピデム酒石酸塩徐放製剤 6.25mg)、デエビゴ(レンボレキサント5mg/10mg)を1ヵ月間、…

ネット依存症はネット使用時間ではなく不安症状によって説明される

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Bengü Yücens, Ahmet Üzer, 2018, The relationship between internet addiction, social anxiety, impulsivity, self-esteem, and depression in a sample of Turkish undergraduate medical students, Psychiatry Res. 267:313-31…

インターネット依存症の予測因子は学業成績の低さ、男性、保護的な育児スタイル

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov インターネット依存症の予測因子を探索する前方視野的研究。 Chen, Y.-L., Chen, S.-H., & Gau, S.-F. (2015). ADHD and autistic traits, family function, parenting style, and social adjustment for internet addiction among …

インターネット依存症になる要因はADHD、継続する要因は自閉症とADHD

弘前大学のグループの研究。 www.hirosaki-u.ac.jp link.springer.com インターネット依存症について潜在的移行分析(latent transition analysis)を用いて2年間の移行パターンと安定性について調べた研究。小学生を対象とした調査(9~12歳)で5483名が対象…

精神障害とは何か DSM-IVからDSM-5へ

www.ncbi.nlm.nih.gov - D. J. Stein et al., 2010, What is a mental/psychiatric disorder? From DSM-IV to DSM-V, Psychological Medicine, 40(11): 1759-1765. 精神障害を構成するものとして下記のガイドラインを提唱している。 症状または症候群のパタ…

インターネット依存症・1996-2006年に行われた量的研究の分析

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 1996年から2006年の間に学術雑誌に掲載されたインターネット依存症に関する実証的研究のメタ分析。合計61本の論文があったが、インターネット依存症の社会的・経済的コスト、治療上の問題、従業員のインターネット過剰使用に対する…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その3

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。後半1/3の抄訳。 journals.sagepub.com その1はこちら。 ides.hatenablog.com その2はこちら。 ides.hatenablog.com Ledermannの経験的 Ledermannは彼の単一分布理論とともに経験的なデ…

ブプロピオン(カプラン精神科薬物療法のポケットハンドブック)

Kaplan & Sadock's Pocket Handbook of Psychiatric Drug Treatment (English Edition)作者:Sadock, Benjamin,Sadock, Virginia A.,Sussman, Norman発売日: 2017/12/20メディア: Kindle版 第7版からブプロピオンについての気になったところだけメモ。ブプロ…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その2

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。真ん中の1/3の抄訳。今回はLedermannの基本的な仮説の背景。 journals.sagepub.com その1はこちら。 ides.hatenablog.com Ledermannの仮説とその背景 Ledermannは分布問題の分析の序章…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その1

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。最初の1/3の抄訳。今回はLedermannの基本的な仮説の説明。 journals.sagepub.com Ledermannの著作は下記のものである。 Ledermann, S. (1946) La mortalite des adultes en France. Popu…