日本における「インターネット依存」調査のメタ分析

www.jstage.jst.go.jp

  • 小寺敦之(2014)日本における「インターネット依存」調査のメタ分析.情報通信学会誌31(4): 51-59.

日本の学術研究における「インターネット依存」の用語の使い方、位置づけをレビューした論文。

海外の論文でも用語の統一がなされていないという問題がある。

「インターネット依存」に類する概念にどのような語が充てられているのかについて探る。例えば、海外ではInternet Addictionの語が多く充てられているが、Internet Dependence Lin & Tsai,2001)やInternet Addiction Disorder(Wang,2001)、あるいはより広範な意味を込めてPathological Internet Use(Davis,2001; Morahan-Martin & Schumacher,2000) やProblematic Internet Use(Davis et al,2002; Caplan,2002)という語が充てられることもある。

それは日本でも同様であるようだ。

「インターネット依存」の語に対して与えられている意味は多彩であり、日本でも定義の問題は克服されているとは言えそうにない。
一方、半数を超える28編では「インターネット依存」に関する説明が一切なく、これが自明のものと扱われていた。先述した抽象的な定義を含め、「インターネット依存」という言葉のみが拡散している状況が指摘できよう

また、調査の対象者が大学生の研究が多い。これは海外でも同様の傾向がある。大学の授業の受講者を対象にしたり、大学で参加者を募集しているためである。

サンプルが若者に偏っていること、ネガティブな要因との関連が主要な調査テーマであることは、「インターネット依存」が若者の現象であることやネガティブな因果を有することを意味するわけではない。これらのアプローチが多いということは、これら以外のアプローチがほとんど採られていないことと同義であり、「インターネット依存」を若者やネガティブな要因と結びつける知見のみが産出される可能性が高いことを意味する。「インターネット依存」がネガティブな因果を有した若者の病理であるという結論に与する根拠は今のところ見出せていないのである。

対象者が「若者」だけに絞られると、問題があるのは「若者」だけ、と結論づけられがちだが、他のグループを調査していない限り、言及できないはずだ。しかし、若者問題であると調査以前に既に決まっているかのようである。

「インターネット依存」に関する研究は現在も増加傾向にある。だが、本稿で指摘したように、「インターネット依存」には、未だそれがどのようなものであるかという統一的な定義がない。それにもかかわらず、「インターネット依存」は危惧すべき病理であるという認識のもとで指標が作られ、調査が行われ、議論が展開され続けている。

香川県の条例と同じ問題が日本の学術研究にも存在していることを指摘している。

媒介分析の推定方法と尺度水準による推定結果の違い[Mplus]

www.statmodel.com

こちらのTable 8.29のケース。 もともとの推定は下記のエントリーで、こちらは最尤推定を行うモデルである。

ides.hatenablog.com

ides.hatenablog.com

アプローチ2 ロバスト重み付き最小二乗法

データはスタック形式、Analysis: estimator = wlsmv;で推定方法がロバスト重み付き最小二乗法である場合。まずは媒介変数intentをカテゴリカル(順序)と設定した場合。

コードで異なる部分は下記。

variable:
   categorical = ciguse intent;

variable:
    names = intent tx ciguse w;

    usev = tx ciguse intent;

    categorical = ciguse intent;
    freqweight = w;

Analysis:
        estimator = wlsmv;
        bootstrap = 1000;

結果。

                                                    Two-Tailed
                    Estimate       S.E.  Est./S.E.    P-Value

Effects from TX to CIGUSE

  Tot natural IE      -0.030      0.011     -2.641      0.008
  Pure natural DE     -0.046      0.024     -1.857      0.063
  Total effect        -0.076      0.026     -2.890      0.004

 Odds ratios for binary Y

  Tot natural IE       0.801      0.066     12.113      0.000
  Pure natural DE      0.753      0.119      6.345      0.000
  Total effect         0.603      0.108      5.568      0.000

媒介変数intentを連続変数とした場合。コードはvariable: categorical = ciguse;とintentを外す。これで連続変数として処理される。

Effects from TX to CIGUSE

Tot natural IE -0.021 0.008 -2.669 0.008 Pure natural DE -0.054 0.024 -2.225 0.026 Total effect -0.076 0.026 -2.888 0.004

Odds ratios for binary Y

Tot natural IE 0.853 0.050 16.897 0.000 Pure natural DE 0.707 0.113 6.273 0.000 Total effect 0.603 0.108 5.574 0.000

アプローチ3 ベイズ

推定方法をベイズにする。processorsは処理に使うコア数なので、自分のPCのコア数に応じて指定する。

Analysis:
        estimator = bayes;
        mediator = observed;
        processors = 2;
        biter = (10000);

結果。

                                Posterior  One-Tailed         95% C.I.
                    Estimate       S.D.      P-Value   Lower 2.5%  Upper 2.5%  Significance

Effects from TX to CIGUSE

    Tot natural IE    -0.029       0.011      0.003      -0.051      -0.009      *
    Pure natural DE   -0.047       0.025      0.029      -0.096       0.002
    Total effect      -0.076       0.026      0.002      -0.128      -0.025      *

 Odds ratios for binary Y

    Tot natural IE     0.806       0.063      0.000       0.688       0.935      *
    Pure natural DE    0.745       0.119      0.000       0.546       1.012      *
    Total effect       0.600       0.107      0.000       0.428       0.845      *

媒介変数intentを連続変数とした場合。

                                Posterior  One-Tailed         95% C.I.
                    Estimate       S.D.      P-Value   Lower 2.5%  Upper 2.5%  Significance

Effects from TX to CIGUSE

    Tot natural IE    -0.022       0.008      0.002      -0.039      -0.006      *
    Pure natural DE   -0.050       0.027      0.030      -0.103       0.002
    Total effect      -0.072       0.027      0.004      -0.126      -0.018      *

 Odds ratios for binary Y

    Tot natural IE     0.853       0.051      0.000       0.757       0.956      *
    Pure natural DE    0.732       0.126      0.000       0.525       1.013      *
    Total effect       0.622       0.114      0.000       0.440       0.888      *

まとめ

f:id:iDES:20200919181144p:plain

媒介変数を連続ではなく順序として扱うと、やや効果が大きくなり、治療による確率低下が少し大きくなり、オッズ比が1から少し離れる。とはいえ、媒介変数の強い床効果を考えると、順序と連続の媒介変数の間に比較的小さな差しかないと言ってよい、また、推定量や、媒介変数を観察されたものか、潜在的なものかといったことで、違いはほとんど見られなかった。

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その3

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。後半1/3の抄訳。

journals.sagepub.com

その1はこちら。 ides.hatenablog.com

その2はこちら。

ides.hatenablog.com

Ledermannの経験的

Ledermannは彼の単一分布理論とともに経験的なデータの分析を発表しました。Ledermannには、これらのデータを用いて、彼の仮説を批判的に検証することが期待されたが、そうはしなかった。対数正規性仮説も分散パラメータに関する仮説も、検証されていない。Ledermannが彼のデータを使っているのは、aの式の中の「定数」Θを推定するためだけである。Ledermannはデータと理論が一致しないのは、理論というよりもデータの弱点の結果として見ていたような印象を受ける。

確かに1956 年に Ledermannが持っていたデータは疑わしいものであった。サンプルの中には非常に小さいものもあれば、特殊な病気を持った人々を中心としたかなり特殊なグループだった。さらに、分布データはかなり粗雑で、いくつかのサンプルでは、アルコール消費のカテゴリー数が非常に少なかった。また、3つの標本では、分布変数はアルコール消費量ではなく、血中アルコール濃度だった。これらのデータを不十分なもので、仮説を裏付けるには難しい。

table1.png

表からわかるように、経験的に決定された e の値にはかなりのばらつきがある。これらの差が実際にどれほど大きいかを説明するために、年間消費量が20リットルの人口を想像してみよう。e=2.4の値は、ここではa=2.4に対応し、e=4.8はa=0.65に対応する。年間 100 リットル以上の消費量を持つ消費者の割合は、それぞれ3.1%と0.3%となる。Ledermannは自分のデータの中でさえ、eが一定であるという仮説の支持を主張することができなかった。それにもかかわらず、Ledermann は e の「真の」値を推定するために観測された値を使用した。それらが基づいている観察数に応じて発見された値を重み付けすることによって、彼は平均値、e=3.43を得ました。彼はこれを暫定的な推定値として用いています (1956, p. 275)。

分布理論が発表されてから8年後,Ledermannは文献から大量の経験的分布データを収集していた。しかし、彼は、この資料を、分布理論の2つの基本的な仮説である対数正規性仮説とΘが一定であるという仮説の検証に使わなかった。Ledermann (1964a, p. 439-443)は、その代わりに、この理論のおそらく最も重要な帰結、すなわち、平均消費量と重消費者の有病率との関係に焦点を当てている。Ledermann は、これらのデータが推論された仮説を十分に支持すると言うことで、彼の分析を締めくくっている。彼は、平均消費と重度の消費者の有病率との間にはかなり強い関係があり、この関係は理論的なものと非常によく一致していると主張している(Ledermann 1964a, p. 442)。Ledermann の結論の経験的基盤は、図 5 に示されている。

f:id:iDES:20200918140513p:plain

1956年のデータと同様に、新しい資料にも弱点があった。27の標本のうち13は、標本が多様な病気を持つ人々で構成されている疫学研究からとられたものであり、おそらくアルコールが重要な病因となっていると思われる病気であった。このような標本は必然的に飲酒習慣に関しては非典型的であり、集団全体の分布関数と同じタイプの分布関数で記述できる可能性は非常に低い。残りの14の標本は、Ledermannがフランスの様々な地域の消費調査から得たものである(Brezard 1958, 1959, 1960, Brezard & Gombervaux 1962)。他の標本とは対照的に、これらの標本は一般人口から無作為に抽出されたものである。代表されたのは、サンテティエンヌマルセイユ、そしてジロンド、サヴォワ、ガル、コート・デュ・ノルド、ヴァンデーの特定の農村地域であった。これら7つの標本については、Brezard (1958, 1959, 1960)が女性と同様に男性の消費分布を示しているが、Ledermannは男性標本の分布データのみを利用している。サンテティエンヌの調査では、Brezard (1958) は、6つの異なる社会経済グループの消費分布も示しています。これらのデータもすべて Ledermann が使用している。レデルマンは、ロワールの鉱山労働者を対象とした調査(Brezard & Gombervaux 1962)から得た 14 番目の標本を用いている。

サンテティエンヌの6つのサブサンプルを除いて、これらのデータは人口分布の研究に適しているように思われる。標本は比較的大きく、消費カテゴリーの数も十分であり、最後に、消費の推定値は質が高いと思われる。しかし、サンテティエンヌからの6つの部分標本は、非常に小さく、観測数が14から74の間で変化するので、理想的ではありません。そのため、平均消費量と有病率の両方の推定誤差が大きくなることをが予期される。加えて、2つの推定誤差が強い正の相関を持つ場合、これらの観察の値は限られたものになります。

Ledermann が採用した27の新しいデータセットのうち、最低条件を満たしていると言えるのは8つだけである。残りの19個のサンプルのうち、13個は特定の病気を持っている人だけで構成されているという意味で無関係であり、6個のサンプルは小さすぎて有意な値を持つことができない。8つの適切なサンプルは、図5では白丸で示されている。不十分なデータセットを示す図の点を無視しても、実際には観測された有病率と予測された有病率の間には一定の一致があるように見える。予測がかなり疑わしい前提に基づいていることを考えると、ある明確なずれがあるにもかかわらず、その一致は驚くほど良好であるとさえ言えるかもしにない。有病率と平均消費量の相関も比較的高いようだ。しかし、十分な観測数がないことをを忘れてはいけない。

しかし、平均消費量と重度使用の有病率の関係は同語反復であると主張することができる。平均消費量が低い母集団では、重度使用の有病率は必然的に低く、有病率が高い母集団では、平均消費量は必然的に高くなる。このような背景から、対数正規性仮説も定点仮説も理論的・実証的な根拠に基づくものではないので、有病率の厳密な論理的・生理学的限界に照らし合わせて、Ledermannモデルにおける一人当たり消費量と重度消費者の有病率の予測関係を見ることは興味深いかもしれない。ある平均的な消費について、重度消費者の有病率に理論的にどの程度の変動があると予想できるだろうか。

重消費を定義する限度として、純アルコールを1日10センチリットル、年間36.5リットルとする。平均消費量がこのレベル以下である限り、重消費者の数には上限が存在する。例えば、平均消費量が
年間10リットルの消費者がいる場合、人口の27.4%以上がこの定義上の限界を超えることは不可能である。一般的に、マルコフの不等式から、限界 X^ 以上の消費者の割合がm/X^ より小さくなければならない。これは、mがX^* より小さいときの上限を定義している。mがこの限界を超えると、原則として、人口全体が重消費者になる可能性があります。

この純粋に論理的な制限に加えて、生理的な制限もある。これは、上記とは対照的に、重消費者数の下限を定義したものであり、平均消費量が制限値X^ を超える状況で有効である。平均消費量がX^ 以下である限り、重消費者数は常にゼロである可能性がある。これは、例えば、全員が同じくらいの量を飲んでいる場合に当てはまるだろう。しかし、平均消費量がX^ を超えると、消費レベルが非現実的に高くなるため、重消費者の割合は非常に小さくはならない。人が飲める量には生理的な限界があるので、mがX^ を超えたときの重消費者の割合にも下限が存在する。

Gが生理的限界を表すならば、この下限は(m-X^)/(G-X^)であることが実証される。

f:id:iDES:20200918140524p:plain

一連の実証研究は、確立されたアルコールの重消費者であっても、1日に40または50cL以上の純アルコールを代謝することができないという方向性を示している(文献の調査については、Lelbach 1974)。これに合わせて、G=年間182.5リットルとした。2つの制限要因は、平均消費量と大消費者(ここでは1日に10cL以上の純アルコールを飲むと定義)の割合との関係の図の中の実現不可能な領域の形で、図6に示されている。純粋に論理的で生理的な重消費者の有病率に対する制限は、あまり強くはない。

見てきたようにLedermann のモデルは、実際の個体群は、許容地域のほぼ中央に位置すると予測しています。このことはBrezardのデータでも確認されており、実際には有病率の変動の潜在的な幅のごく一部しか観察されていないことが示されている。この観点から見ると、人口の平均消費量と重度消費者の有病率との関連性に関するLedermannの予測は、驚くほど良いものであるとさえ言えるかもしれない。理論的には、この関係は全く違った性格のものであったかもしれない。例えば、宿命仮説によって予測されるものと類似している(図4参照)。

まとめ

Ledermannの単一分布理論の先行調査をまとめると、以下のようになる。

  1. Ledermannンは、アルコールの消費者が対数正規分布関数に従って消費規模に沿って分布していると仮定している。これは、個人の飲酒習慣が雪だるま式に、あるいは伝染性のメカニズムによって発展するという前提に基づいている。これらの概念では、明らかにGibratの比例効果の法則を参照しており、社会的相互作用の結果であると主張しているように見える。

  2. Ledermannは、分布の分散パラメータが平均消費量と共分散することで、年間365リットル以上の消費量を持つ人口の理論的な割合が小さく、すべての人口の中で同じであると仮定している。しかし、彼は、なぜこの量が一定でなければならないのかという理由を述べておらず、この仮説は、平均消費量に応じて大消費者の割合が増加するという一つのパラメーターによる分布モデル(one-parametric distribution)を作成するための作為的なものに見える。Ledermannは、死亡者研究に基づいて、仮説の根拠を理由を見つけたようだ。

  3. Ledermannの経験的な研究は、理論を検証するのに適していない弱点のあるものだった。データは、2つの基本的な仮説を説得力を持って支持するものではないが、それにもかかわらず、アルコールの総消費量と人口内の重消費者の有病率との間には関連が存在する可能性があることを示唆している。

Ledermannが自分の仮説を説得力のある理論的議論の上に立証し続けるとは困難である。Gibratの比例効果の法則はもっともらしいと思われるかもしれないが、個人の飲酒習慣が社会的なメカニズムによって大きく規制されているという事実からそれを説明しようとするLedermannの試みは、あまり説得力がない。比例効果の法則は、おそらく全く別の理論的根拠・起源を持っているため、両者はほとんど関連していない。

Ledermannの第二の仮説は、健全な理論的推論に基づいている。Ledermannは365リットル以上の理論的比率がなぜ一定であるべきかについて説明していない。したがって、平均消費量と有病率との関係についての仮説には、実質的な説明がない。Ledermannが平均消費量と死亡率の間で観察した共変動のみに基づいている。しかし、Ledermannの第二の仮説は、厳密に言えば、総消費量と様々なタイプのアルコール関連疾患との共分散の論理的帰結ではないので、この仮説の根拠には問題がないわけではない。線形リスク関数では、平均消費量と重消費者の有病率との間に何の関係もなくても、実際には後者のタイプの関係が存在するかもしれない。

それにもかかわらず、Brezardのデータは、少なくともフランス国内では、平均消費量と重消費者の有病率との間に実際に関連性があることを示している。この関係は確かに完全ではなく、Brezardのデータに基づいて導かれる結論はもちろん限られている。なぜなら、それらはただ一つの飲酒文化を表しているからである。

1960年後半以降、Ledermannの単一分布理論はアングロサクソンと北欧の研究者の間で広く関心を集めた。広範な飲酒文化から得られたデータを利用して、消費分布に関する実証研究が多数発表された。この理論の基本的な仮説は経験的、理論的、両方で吟味されてきた(初期の文献のレビューについては、Bruun et al.1975を参照)。少なくとも第一近似として、経験的消費分布は確かに滑らかであり、対数正規分布に似ていると結論した。さらに、新しいデータは、集団平均消費と大量飲酒者の有病率との間に実際に凸相関があることを確認した。後に、後者の関係を説明する社会的メカニズムが提唱された(Skog 1985)。このメカニズムの本質は、個人間の社会的相互作用、および社会的ネットワークにおける伝染様拡散過程(Skog 1979, 1986)である。これらのメカニズムは、多くの(すべてではない)状況下で、個人の消費レベルにおける協調的なプロセスを作り出し、集団的飲酒文化(Skog 1985)と呼ばれるものを生み出す可能性がある。Ledermannの直観は、少なくともおおよそは正しかったようだが、その前提は疑わしいものだった。

飲酒文化の集団性の理論は、飲酒問題を防ぐことを目的としているならば、厳格な州の規制を支持するために用いられてきた。見落とされがちなのは、同じ理論が、多くの場合、そのような措置の実行可能性はかなり限られていると予測していることである(Skog 1986)。州の規制の有効性は独立した問題であり、他の方法によって評価されなければならない。過去40年間に多数のこのような評価が公表されており、別の箇所でもレビューされている(Edwards et al. 1994、Babor et al. 2003)。

ブプロピオン(カプラン精神科薬物療法のポケットハンドブック)

第7版からブプロピオンについての気になったところだけメモ。ブプロピオンは何の薬?と聞かれて、改めて何の薬だろうと思って、久々にカプランの精神科薬物を読んでみた。日本語版は第5版が一番新しいようだ。

特徴

最も重要なことは、SSRI抗うつ薬のようにセロトニン系に作用しないことである。その結果、その副作用のプロファイルは、性的機能障害や鎮静のリスクを最小限に抑え、急性および長期の治療中に適度な体重減少を特徴としている。ブプロピオンの中止に関連した離脱症候群はない。第一選択の単剤療法として使用されることが増えているが、ブプロピオンの使用のかなりの割合は、他の抗うつ薬(通常はSSRI)への付加療法として行われる。

ブプロピオンの抗うつ効果の作用機序は、ドーパミンとノルエピネフリンの再取り込みを阻害することに関係していると推定されている。ブプロピオンは脳内のドパミントランスポーターに結合する。ブプロピオンの禁煙効果は、ドーパミン報酬経路への作用、またはニコチン性アセチルコリン受容体の阻害に関連していると考えられる。

効果

双極性障害
ブプロピオンは三環系抗うつ薬に比べて双極性I型障害の患者において躁病を誘発する可能性は低く、他の抗うつ薬に比べて急速に循環する双極性II型障害を悪化させたり誘発したりする可能性は低い。しかしながら、双極性障害患者の治療におけるブプロピオンの使用に関するエビデンスは限られている。
注意欠如/多動性障害
ブプロピオンは、注意欠陥/多動性障害 (ADHD) の治療のための第二選択薬として、交感神経様作用薬(sympathomimetics)の後に使用されます。小児および成人に対して、メチルフェニデート (リタリン) またはアトモキセチン (ストラテラ) といった実績のあるADHDの薬と比較はされていない。ブプロピオンは、併存するADHDうつ病を持つ人、または併存するADHD、行動障害、または物質乱用を持つ人のための適切な選択である。また、精神刺激薬で治療されたときに発作を起こす患者への使用も考慮される。
コカイン解毒
ブプロピオンは多幸感を伴うことがある。したがって、薬物乱用の既往歴のある人には禁忌である。しかしながら、そのドーパミン作用のために、ブプロピオンは薬物から離脱した人のコカインへの渇望を減らす治療法として検討されてきた。結果は結論が出ておらず、薬物渇望の減少を示す患者もいれば、渇望の増加を示す患者もいる。
性欲低下障害
ブプロピオンは、性的な副作用を打ち消すためにSSRIなどの薬物に付加されることが多く、性欲低下障害を持つ非うつ状態の人の治療薬として有用である可能性がある。ブプロピオンは、性的覚醒、オーガズムの完了、および性的満足度を改善する可能性がある。
減量
ブプロピオンは中程度の体重減少を引き起こすことがあるが、ナルトレキソンと併用すると、臨床的に有意な体重減少をもたらすことがある。ナルトレキソンはオピオイド受容体拮抗薬である。コントレイブ8/90mg錠剤(extended-release)として利用可能である。それは、身体活動を増やすこと、低カロリーの食事療法の補助として適応がある。

副作用

重度の不安障害やパニック障害のある患者は、ブプロピオンを処方すべきではありません。最も可能性が高いのは、ドーパミン作動性神経伝達に対する増強作用のためであり、ブプロピオンは幻覚、妄想、カタトニア、せん妄などの精神病症状を引き起こす可能性がある。ブプロピオンについて最も注目すべき点は、薬物誘発性の起立性低血圧、体重増加、日中の眠気、および抗コリン作用がないことである。しかし、人によっては、口渇や便秘、体重減少を経験することがある。一部の患者では高血圧が起こることがあるが、ブプロピオンは他の重要な心血管系または臨床検査値の変化を起こさない。ブプロピオンは間接的な交感神経刺激作用を発揮し、ヒトの心筋に正の強心作用をもたらすが、これはカテコールアミンの放出を反映していると考えられる。一部の患者は認知障害を経験し、特に換語困難( word-finding difficulties)を経験する。

妊婦によるブプロピオンの使用は、先天性欠損症の発生率増加のリスクとは関連していない。ブプロピオンは母乳中に分泌されるので、授乳中の女性へのブプロピオンの使用は、患者の臨床状況と臨床医の判断に基づいて行うべきである。

相互作用

ブプロピオンはベンラファキシンの薬物動態に影響を及ぼすことがわかっている。ある研究では、徐放性ブプロピオンとの併用治療中にベンラファキシン濃度が有意に上昇し、その結果、主要代謝物であるO-デスメチルベンラファキシンが減少したことが報告されている。ブプロピオンの水酸化はベンラファキシンによって弱く阻害される。SSRIであるパロキセチンフルオキセチン血漿中濃度の有意な変化は報告されていない。しかし、ブプロピオンとフルオキセチンプロザック)の併用がパニック、せん妄、または発作に関連している可能性があることを示す症例報告は少ない。ブプロピオンとリチウム(Eskalith)の併用では、まれに発作を含む中枢神経系の毒性が生じることがある。

抗パーキンソン薬を服用している人がブプロピオンを追加することで、ドーパミン作動性薬物の投与量を減らすことが可能になることがある。しかしながら、レボドパ(Larodopa)、ペルゴリド(Permax)、ロピニロール(Requip)、プラミペキソール(Mirapex)、アマンタジン(Symmetrel)、およびブロモクリプチン(Parlodel)などのドパミン作動性薬物とブプロピオンの併用には、せん妄、精神病症状、および運動障害が関連している場合がある。ブプロピオンとメトプロロールを併用すると、副鼻腔徐脈が起こることがある。
カルバマゼピンテグレトール)はブプロピオンの血漿中濃度を低下させ、ブプロピオンはバルプロ酸デパケン)の血漿中濃度を上昇させることがある。 ブプロピオンのin vitroでの生体内変換研究により、主要な活性代謝物であるヒドロキシブプロピオンの生成はCYP2B6によって媒介されることが明らかになった。ブプロピオンはCYP2D6に対して有意な阻害効果を有する。

血液動態

ブプロピオンが尿中アンフェタミン検査で偽陽性を示す可能性があるとの報告がある。ブプロピオンの治療に明らかに関連した臨床検査値の干渉を示す報告は他にはない。

2値変数をアウトカムとしたプロビットモデルの媒介分析-媒介変数をカテゴリカル変数にした場合[Mplus]

先日のエントリの続き。

ides.hatenablog.com

暴露変数はtx、媒介変数intentはベースラインの約6ヵ月後に測定されたもので、次の2ヵ月間にタバコを使用するか否かという意思である。アウトカムciguseは、フォローアップで測定された前月にタバコを使用したか否かである。

媒介変数intentを連続従属変数として扱うモデルは、線形性と正常な残差という通常の仮定が正しくない可能性もある。その場合、媒介変数を順序変数として扱うことで、床効果がモデルと適合的になる。点双列相関係数が使われていると問題があるので、ポリコリック相関係数(順序変数と順序変数)の一種である順位双列相関係数(2値データと順序変数)が使うという言い方でもよいと思う。

前のエントリでは媒介変数intentを連続変数として扱ったが今回はカテゴリカル変数として扱う。暴露変数txは2値、媒介変数intentはカテゴリ変数(4値)、アウトカムciguseは2値である。

モデル

媒介変数intentをカテゴリカルにすると、tx→intentのパスの推定値が違いが出る。またP値が0.61→0.88となっている。他の2つのパスのP値も変化している。また、intentの残差分散が表示されなくなるが、結果の出力に閾値(Thresholds)が表示されるようになる。

f:id:iDES:20200917103331p:plain

コード

違いはここだけである。

variable: categorical = ciguse intent;

結果

MODEL RESULTS

                                                    Two-Tailed
                    Estimate       S.E.  Est./S.E.    P-Value

 CIGUSE     ON
    INTENT             0.608      0.053     11.571      0.000
    TX                -0.203      0.106     -1.913      0.056

 INTENT     ON
    TX                -0.246      0.088     -2.794      0.005

 Thresholds
    CIGUSE$1           1.189      0.089     13.365      0.000
    INTENT$1           0.525      0.066      7.914      0.000
    INTENT$2           0.970      0.072     13.425      0.000
    INTENT$3           1.378      0.081     17.037      0.000

intentをカテゴリカルにしたため、残差分散(Residual Variances)から閾値(Thresholds)に変わっている。Thresholdsはいずれかのカテゴリが参照カテゴリとなる。

TOTAL, INDIRECT, AND DIRECT EFFECTS BASED ON COUNTERFACTUALS (CAUSALLY-DEFINED EFFECTS)


                                                    Two-Tailed
                    Estimate       S.E.  Est./S.E.    P-Value

Effects from TX to CIGUSE

  Tot natural IE      -0.030      0.011     -2.710      0.007
  Pure natural DE     -0.046      0.024     -1.903      0.057
  Total effect        -0.076      0.026     -2.911      0.004

 Odds ratios for binary Y

  Tot natural IE       0.803      0.064     12.494      0.000
  Pure natural DE      0.751      0.116      6.463      0.000
  Total effect         0.603      0.108      5.610      0.000

確率メトリックでは、間接効果の推定値は-0.030であり、タバコを使用する確率を低下させていることがわかる。

子どものインターネット依存状態の変化とその状態変化に関わる発達特性の関与(弘前大学医学部)

www.hirosaki-u.ac.jp

 調査の結果、調査開始時点でインターネット依存の状態の子どもの中で、その後二年間インターネット依存の状態が維持される確率は47%にも上ることが判明しました。加えて、高学年の方がインターネット依存の状態が比較的維持されやすいことも明らかになりました。また、調査開始時点でインターネット依存でなかった子供が、調査期間内にインターネット依存の状態になる確率は11%程度であることがわかりました。また、インターネット依存状態の推移と発達障害特性の関連を調べた結果、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症ADHD)と関連した特性、その中でも特に不注意特性がインターネット依存状態の維持や調査期間内での新たな発生に関連していることが明らかになりました。

文献

掲載誌情報
雑誌:Journal of Autism and Developmental Disorders
論文タイトル:Neurodevelopmental Traits and Longitudinal Transition Patterns in Internet Addiction: A 2-year Prospective Study
著者:Tomoya Hirota, Michio Takahashi, Masaki Adachi, Yui Sakamoto & Kazuhiko Nakamura
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s10803-020-04620-2

link.springer.com

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その2

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。真ん中の1/3の抄訳。今回はLedermannの基本的な仮説の背景。

journals.sagepub.com

その1はこちら。

ides.hatenablog.com

Ledermannの仮説とその背景

Ledermannは分布問題の分析の序章で、もし個人が消費レベルの選択に関して自由であったならば、正規のガウス曲線に沿って消費規模は分布しているだろうと主張している(1956, p. 124)。しかし、Ledermannが指摘しているように、事実上の分布がそうではないことは明らかです。正規分布は平均に対して対称であり,誰も何も飲まないよりも少ない量を飲むことはできないので,誰も平均の2倍以上の量を飲むことは許容しない。しかし、かなりの数の人(例えば,いわゆるアルコール中毒者)が平均の2倍以上の量を飲むことは判明しており、実際の分布からは正しく歪んでいなければならないことになる(1956, p. 125)。Ledermannによれば、このような規範性からの逸脱は、個人がアルコールとの関係において自由ではないという事実の結果とされる。ほとんどの社会では、飲酒は快楽と考えられており、個人はその環境の中でかなりの社会的圧力にさらされている。このことは、Ledermannによれば、個人の飲酒習慣が伝染または雪だるま式に発展することを意味する。彼は、このような状況では、消費変数自体ではなく、対数変換された消費変数が正規分布することを期待する理由があると主張している( 1956, p. 125)。

Ledermann は、この主張の明確な理由を述べておらず、また、「伝染」と「雪だるま」という言葉が何を意味するのかを定義していない。しかし、Ledermann が「雪だるま式メカニズム」という表現で考えていたのは、Gibratの比例効果の法則であった可能性が高い。Gibrat (1930, 1931) は、社会経済的変数の変化は、通常、初期の量に比例し、それによって、この種の現象は指数関数的に成長する傾向があると主張している。「伝染メカニズム」という表現も同じ文脈で出てくるもので、雪玉も同様の方法で成長するので、この解釈は信憑性があるだろう。1952年の論文の中で、Ledermannは死亡率に関してフランスの90の州の分布を論じている。Ledermannは、例えば癌のような非伝染性疾患については、各部門が死亡率の尺度に沿って正規分布に沿って分布していることを示した。しかし、例えば結核のような伝染性疾患に関しては、明らかに右傾化した分布を発見し、Ledermannはこれを非加法的効果、あるいは比例効果の法則のようなもので説明しようとした(1952a, p.226)。このように、雪だるま式メカニズムと伝染性メカニズムという表現は、Gibratの比例効果の法則を参照しているように見える。この解釈が正しければ、Ledermannの対数正規性仮説は理解できるものなる。Gibratは、比例効果の法則が適切な記述を与えるならば、対数正規分布を期待する理由があることを示していた。このようにして、Ledermannの推論はこのような理論展開したのだと思われる。環境から独立して自由に飲酒習慣を身につける代わりに、個人は環境の規範や伝統に大きく依存する飲酒パターンに社会化されている。この社会的圧力は、結果として、飲酒習慣の形成過程が比例して作用する一連の衝動として振る舞うことになり、個人の消費の一方の方向または他方の変化は、典型的には以前の時点での消費に比例することになる。Gibratよれば、このような形で消費は発達し、徐々に対数正規分布になるという。

今では、個人の飲酒習慣が比例効果の法則に従って発達することを期待するのは不合理ではないだろう。さらに、個人の飲酒習慣が社会的相互作用によって大きく決定されることは議論の余地のない事実である。したがって、この議論の前提と結論の両方が合理的であるように思われる。しかし、前提と結論がどのように一致しているのかがわかりにくい。変化の原因は社会的相互作用にあるのに、なぜ変化は以前の消費レベルに比例する傾向があるのだろうか? Ledermannはこのことについて何の説明もしていないので、比例効果の法則がこの文脈では適切であるように見えるようにしたとは言い難い。Ledermannは第二の仮説の理由として、人間が消費できるアルコールの量には限界があるとしている。1日に1リットルの純アルコールを消費すれば、急速に死に至る。もし対数正規分布のような理論分布が事実分布の適切な記述を与えるべきであるならば、分散パラメータは、このレベル以上の人口の理論的な割合が取るに足らないものになるようなものでなければならない(1954, p.2; 1956, p.262)。彼の理論的な割合が一定であり,人口の平均消費量から独立していると仮定することで、彼は1パラメータ分布を得ることができる。このレベル以上の理論的な割合が一定であるような消費分布の形があるとLedermannが信じた理由は明らかではありません。Ledermannは、この仮説を支持するメカニズムを何も提示していませんし、それが合理的な説明を与えられるとは到底思えません。Ledermann の前提から導き出される唯一の結論は、 分散パラメータが上記の割合が小さくなるようなものでなければならないということだ。それは、すべての(均質な)集団において等しく小さくなるということではない。その結果、Ledermannは、割合がほぼ一定であり続けるという考えを支持していない。

Ledermannの第2の仮説の効果は、平均消費量が同じである母集団間のこのような不平等を防ぐことである。もう一つの帰結は、前述したように、母集団内の総消費量が増加すると、重消費者の数が急増する傾向があることである。しかし、すでに指摘されているように、定点仮説は何の根拠もないものであり、したがって、この仮説の示す結果についても同じことが言える。Ledermannの第2の仮説は,確かに統計学的な特殊性を持っています。分布モデルの中で、人間が消費できるアルコールの量に上限があるという事実を与えるならば、Ledermannが行った方法で問題を攻撃するよりも、切り捨てられた分布3を採用する方が自然である。このため、Ledermannの第2の仮説は、ワンパラメトリックな分布を提供し、それによって人口の平均消費量と大消費者の有病率との間に関連を持たせることだけを目的とした人工物であるかのように見えるかもしれない。以下では、Ledermannが実際にこのような関係が存在するはずだと信じる確かな根拠を持っていると考えていたことを示すことで、この解釈を裏付けたい。1946 年からすでに、Ledermannの研究の主要テーマは、フランスの人口の死亡率の高さであった。Ledermann(1946)は、1936 年のデータを出発点として、特に30-60歳の男性の死亡リスクが非常に高いことが、フランスの長寿の低さの一因であることを示している。例えば、フランスの40歳男性の死亡リスクは、同年齢のオランダ人の3倍、同年齢のイギリス人の2倍であった。また、フランス人女性の死亡率は、オランダ人やイギリス人に比べて高いが、男性における差よりも小さかった。フランスの男性の死亡率は、他国の男性の死亡率をはるかに上回っていたのである。フランスの特異な地位の説明をいくつか検討した後、Ledermann(1946, 1948)は、最も可能性の高い原因として、アルコールの消費量が非常に多いことを強調している。男性は消費されるアルコールの大部分を飲んでいるので、この説明は直感的に正しいように思われるかもしれないが、Ledermannはさらに、アルコールが重要な病因となる疾患では、男性の過剰死亡率が最も強いことを示すことで、この仮説を支持している。1948年の論文では、Ledermannは、アルコールの総消費量と男性の過剰死亡率との間に関連性があるという仮説を支持するために、より多くのデータを提供している。彼は特に、スウェーデンでアルコール消費を減らすために行われた行動(それぞれ1855年と1917年)の後に男性の過剰死亡率が減少し、1916年にはデンマークでも同様のことが起こったことを示している。さらに、1855年から1938年の間にフランスの男性過剰死亡率がどのように変化したかを示し、アルコールの総消費量と男性過剰死亡率との間に明確な共分散があることを示した。3年後、Ledermann & Tabah(1951) は新しいデータをリストに追加している。フランスとオランダの比較では、35-49歳の年齢層における総死亡率の差は、アルコールが寄与因子であると推定される病気のカテゴリーにまで遡ることができることが示されている。ブルターニュ・ノルマンディーとフランスの他の地域を比較しても、同様に、ブルターニュ・ノルマンディーの死亡率が非常に高いのは、アルコールが関与している死因に起因していることが示されている。当時のオランダのアルコール消費量は非常に少なく、ブルターニュ=ノルマンディはアルコール消費量の面では他のフランスよりも上に位置していたことを考えると、Ledermanの仮説をさらに支持しているように見える。同じ論文の中で、Ledermann & Tabahは第二次世界大戦が死亡率に与えた影響を研究している。彼らは、フランス全体で死亡率が増加したのに対し、ブルターニュ・ノルマンディーでは死亡率が減少したことを示した。彼らはこれを、戦時中にブルターニュ=ノルマンディーで経験したアルコール消費量の大幅な減少によって説明している。より詳細な分析を行うことで、この関係をさらに裏付けることができるようである。このことから、アルコール消費の減少は、この地域での戦争そのものがもたらした死亡率への好ましくない影響を補うのに十分なほど強力なものであったように思われる。戦争の後半には、フランスのアルコール消費量は、戦前の消費量よりも約40パーセント低下していた(Ledermann & Tabah 1951)。

戦争末期のフランスのアルコール消費量は、戦前の水準(Ledermann & Tabah 1951)より約40%少なかった。しかし、1940年後半には再び消費が増加した。これと並行して、肝硬変およびアルコール依存症による死亡率が大幅に増加した。この観察結果は、死亡率が高い主な原因となっているフランスの消費水準が高いことを示す上記のデータとよく一致している。1946年にレーダーマンはフランス国内で死亡率と男性の過剰死亡率に大きな地域差があることを指摘した。この事実を出発点として、彼は1952年に35-50歳の男性の死亡の大部分が実際にアルコールの過剰摂取によるものであると推定しようとした。彼の分析は、アルコールの摂取がカテゴリーごとに異なるという事実に基づいており、このような変化はアルコールの過剰摂取が重要な病因因子である病気のカテゴリーの死亡率に対応する変化をもたらすと仮定している。結果として、異なるカテゴリーの疾患に対する死亡率は、 2カテゴリーの疾患における死亡率の間の高い生態学的相関が、アルコールが2種類の疾患に対する重要な病因因子であることを示すように、部門から部門へ共分散を示すべきである(Ledermann 1951a)。このようにLedermannの考えは、アルコール因子が病気の異なるカテゴリーにどの程度寄与しているかを見出すために、病気の異なるカテゴリー内の死亡率の間の生態学的相関のマトリックスを因子分析することであった。これにより、各疾患群の中でどれだけのアルコールが原因で死亡したかを計算し、アルコール関連死の総数を得ることができるというものだ。フランスの県ごとの信頼できるアルコール消費の統計がなかったので、消費と死亡率の間の生態学的相関を分析することによって、この問題を直接アプローチすることはできなかったのだ。

Ledermannは10の病気のカテゴリーについて因子分析した。これらは分析した年齢群内の全死亡の76%をカバーした。彼の推定によると、上部消化器癌、脳出血、肝臓病、腎臓病の診断による死亡のほとんどはアルコールの大量摂取によるものであった。神経炎、自殺、事故による死亡の約半数は、大量のアルコール摂取が原因であることも明らかになった。このようにしてLedermannは分析した病気のカテゴリー内の死亡の合計60%がアルコールと関係していることを見出した。したがって、35-50歳のフランス人の死亡の約半数は、第二次世界大戦以前の数年間にアルコールに関連していたはずである。直観的にはこの数はかなり多いように思われるが、これに関連して上記の集団の一般死亡率はオランダの対応する集団のほぼ3倍、イギリスの対応する集団の2倍であったことを忘れてはならない。

これらの計算をチェックするためにLedermannは疾患の異なるカテゴリー(つまり因子負荷量は)に対する「アルコール依存症」因子の寄与がカテゴリーである「アルコール依存症」と他の疾患カテゴリーの死亡率の間の生態学的相関が高いことも示した(Ledermann 1952a, p.233)。仮説によれば「アルコール依存症」因子は「アルコール依存症」カテゴリに対して非常に高い因子負荷を持つ必要があるため、この分析結果は期待通りの結果だった。これらの分析の結果は、Ledermannに対して、集団内の一般的な消費水準と高リスク消費者の有病率との間に強い相関関係があり、これは平均的な消費と大量消費者の有病率との間に高い相関関係があることを意味しているという強い直感を与えたに違いない。レーダーマンの第二の仮説は、分布モデルにおいてこの関係を維持しようとする試みと解釈できる。しかし厳密に言えば、この推論は個々のリスクがその消費レベルの非線形関数である場合にのみ正しい。

文献

  • Gibrat, R. (1930) Une loi des repartitions economiques: l'effet proportionnel. Bulletin de Ia Statiustique Generate de Ia France, 19, 469.
  • Ledermann, S. & Tabah, F. (1951) Nouvelles donnees sur Ia mortalite d'origine alcoolique. Population, 6:41-58.

Ledermann 1952aはこちら。 www.worldcat.org

実際の例をみないとよくわからないので、見てみたいが、入手性が極端に悪そうだ。分析が個人単位なのか州などマクロ単位なのかがわからないのと、文章を読む限り因子分析の使い方が不適切な感じがする。