井出草平の研究ノート

パソコンより紙とペンで学習した方が記憶に残るとハンセン先生はいうが、論駁する論文が出ている件

ハンセン先生のスマホ攻撃は、パソコンにも向けられている。

米国の研究では、学生にTEDトークを視聴させ、一部の学生には紙とペン、残りの学生にはパソコンでノートを取らせた。すると、紙に書いた学生の方が講義の内容をよく理解していた。必ずしも詳細を多数覚えていたわけではないが、トークの趣旨をよりよく理解できていた。この研究結果には、「ペンはキーボードよりも強し--パソコンより手書きでノートを取る利点」という雄弁なタイトルがついた。(p.98)

引用された研究は下記のものである。

  • Mueller, P. A., & Oppenheimer, D. M. (2014). The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking. Psychological Science, 25(6), 1159–1168. https://doi.org/10.1177/0956797614524581

パソコンやスマホで学習しても学習効果は上がらない、昔ながらの紙とペンを使った学習が勝る、という論拠になる研究だ。
全国のパソコン嫌い、GIGA端末での学習を嫌っている人々が歓喜しそうな内容である。

この研究に対して、再現実験が2021年に行われている。

  • Urry, H. L., Crittle, C. S., Floerke, V. A., Leonard, M. Z., Perry, C. S., Akdilek, N., Albert, E. R., Block, A. J., Bollinger, C. A., Bowers, E. M., Brody, R. S., Burk, K. C., Burnstein, A., Chan, A. K., Chan, P. C., Chang, L. J., Chen, E., Chiarawongse, C. P., Chin, G., … Zarrow, J. E. (2021). Don’t Ditch the Laptop Just Yet: A Direct Replication of Mueller and Oppenheimer’s (2014) Study 1 Plus Mini Meta-Analyses Across Similar Studies. Psychological Science, 32(3), 326–339. https://doi.org/10.1177/0956797620965541

再現は失敗したようだ。つまり、パソコンと手書きのあいだで、記憶の定着に違いは見いだせなかった。

スマホ脳』の原著が書かれたのは2019年なので、ハンセン先生がこの研究を読むことは不可能だ。しかし、2023年に生きている私たちはこの研究を読むことができる。
都合のいいデータだけを取り上げることをチェリーピッキングというが、チェリーピッキングをして、パソコンで勉強するよりも、昔ながらの紙とペンを使った学習が良いというエビデンスがある、なんて馬鹿げたことは言わないでおこう。

参考 https://www.psychologicalscience.org/observer/writing-notes

『スマホ脳』--扁桃体の話からわかるハンセン先生の似非科学力

スマホ脳』から扁桃体とHPA系についてハンセン先生が書いたところについて少し深く読んでみよう。

ハンセン先生はアルプスに行った時に、ホースをヘビと勘違いしてパニくって身動きが取れなくなったという話が書いてある(pp.47-8)。
これが、人類が古くから持つ、扁桃体の働きで、「扁桃体--人体の火災報知器」(p.47)とハンセン先生は言う。  

扁桃体がストレスのシステムHPA系を作動させることだ。扁桃体の作動の仕方は「火災報知器の原則」と呼ばれている。(p.48)

この理解は、間違いかというと、完全に間違いではないまでも、20年くらい前の理解である。現代ではHPA軸、もしくは、大脳辺縁系(limbic)を加えたLHPA軸の機能は多岐にわたることが判明している。
2010年に書かれたレビューでは次のように説明されている。

また、LHPA軸の活性化は、必ずしも恐怖や不安として主観的に体験されるわけではない。例えば、朝の目覚め、食事の摂取、吐き気などは、すべてLHPA軸の活性化につながり、主観的な恐怖感を顕著に増大させることはない。LHPA軸の活性化には、主観的な苦痛や恐怖の程度よりも、体験の特徴(新規性、コントロール、社会的支援など)が重要であることが明らかになりつつある(Abelson et al, 2007)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3055419/

  • Shin, L. M., & Liberzon, I. (2010). The Neurocircuitry of Fear, Stress, and Anxiety Disorders. Neuropsychopharmacology, 35(1), 169–191. https://doi.org/10.1038/npp.2009.83
  • Abelson, J. L., Liberzon, I., Young, E. A., & Khan, S. (2005). Cognitive Modulation of the Endocrine Stress Response to a Pharmacological Challenge in Normal and Panic Disorder Subjects. Archives of General Psychiatry, 62(6), 668. https://doi.org/10.1001/archpsyc.62.6.668

ハンセン先生はどんな文献を参照したのだろうか。20世紀の論文なのか。巷にあふれる間違いだらけの脳科学本なのか。
できれば、最新の脳科学の論文を読んだほうがいいだろう。ハンセン先生の言っていることは20世紀には妥当だったかもしれないが、今は21世紀なんだ。

ハンセン先生の似非科学

一方、ハンセン先生は次のように述べる。

ここで時計を2週間前、受験する前に戻してみよう。あなたはよく眠れず、食欲もあまりなく、常に不安を感じている。万が一失敗したらどうしよう、とくよくよ悩みながら。これこそが「不安」だ。そのとき、脳内でどんなシステムが作動しているかというと、そう、HPA系だ。不安の場合もストレスの場合も「闘争か逃走か」のメカニズムが作動するが、その原因が異なるのだ。ストレスは脅威そのものに対する反応だが、不安は脅威になり得るものに対して起こる。(p.53)

「闘争か逃走か」とはハンセン先生の言い回しなので、確認しておこう。

ライオンに遭遇したら、素早く反応して、攻撃に出るか、走って逃げるかしなければならないからだ。つまり「闘争か逃走か」。(p.44)

ライオンに遭遇するという状況になぞらえて、ストレスがかかったら戦うか逃げるか、「闘争か逃走か」と言っているようだ。

確かに、ライオンに遭遇したことと、満足に準備ができなかった受験を比喩的に結びつけるのは筋が通っている。だから、だいたいの読者はこんなところで引っかからずに、説得されてしまうのだろう。

しかし、さきほど確認したように、HPA系は朝の目覚めや、食事の摂取の活性化でも活性化するのである。

ハンセン先生のように、HPA系を「闘争か逃走か」のように捉えることは不適切であるし、ハンセン先生の言っていることは、いわゆる「似非科学」の部類であることがわかる。

人類は社会に柔軟に適応できる

さて、最も重要なのは、HPA系は社会的な環境に大きく左右されるという指摘あろう。
ハンセン先生は、ホモサピエンスが誕生して20~30万年間、スマホを使わずに生きてきて「人類は現代に適応できない」(p.27)と主張しているからだ。
人類は生物学的に柔軟ではなく、スマホのある世界に適応などできないというのだ。
シロクマですら、1万年から10万年ほどかけて、白い毛皮に変わった(p.28)のだからと。

そのために、ハンセン先生は、わざわざ扁桃体やHPA系の話を出してきているのだ。

しかし、研究(21世紀に入ってからの研究)では、生物学的に規定されものよりも社会的状況の方が重要だということが判明している。
ハンセン先生が「人類は現代に適応できない」として挙げた論拠が間違っており、逆に、環境が変わっても、人類は柔軟に適応することが示唆されている。
ハンセン先生の話の展開から「人類がスマホのある世界に適応などできない」という結論を導きだすことは困難なのだ。少なくとも、21世紀に入ってからの研究からはハンセン先生とは逆の示唆が導きだせる。

つまり、20万年、30万年使ってこなかったものだったとしても、問題なく適応できるのではないか、と。

日本で稲作が始まったのも3000年前くらいである。20万年、30万年というスパンから考えれば、つい最近のことである。
たったそれくらいの歴史しかないのに、私たちは当たり前のように米を食べている。
通勤・通学に使っている電車もはじめて開業したのは、明治5年(当時は蒸気機関車)で151年前である。たった151年前に初めてできたものに私たちは当たり前のように適応している。
日本でのカラーテレビの放送は1960年に開始した。63年前の出来事だが、年々視聴率が落ち、適応どころか、捨てられつつあるメディアになっている。

ハンセン先生のロジックだと、人類は、これらの物へも不適応を示しているはずだが、そんなことはない。
扁桃体やHPA系の話など出さずとも、結論は最初からわかっているのだ。

エセ脳科学を使った言い訳

ハンセン先生は、アルプスでホースをヘビと勘違いしてパニくったのも、人類に刻まれた本能のようなものが働いたから仕方ないんだ!と言い訳をしている。
20世紀であれば通用した言い訳だが、現代では難しい。
残念ながら、現代科学が導く結論は、ハンセン先生はホースとヘビの見分けがつかないほど目が悪いか、想像以上にドジだ、ということだ。

私たちがハンセン先生に学べることは、エセ脳科学を使えば、自分の失敗も、壮大なロジックで言い訳ができる、ということだろう。この分野に詳しい人がいれば、お前はアホか!と言われて終わるのだが、『スマホ脳』を読んだほとんどの人は、ハンセン先生の言い訳を信じてしまったようなので、これはきっと使えるスキルなのだ。

新しいスキルとして「エセ脳科学を使った言い訳」を提唱しておこう。このスキルを身に着けているのは、スウェーデンにいるハンセン先生くらいなので、競合相手も少ない。何か失敗したら、エセ脳科学で乗り切るというのはいかがだろうか。

扁桃体やHPA系に限らず、使える理論はたくさんある。『エセ脳科学で失敗をごまかす方法』みたいな本が一冊書けそうに思えてきた。

スマホへの依存症はうつ病など精神疾患を引き起こすのか

結論から言うと、十分なエビデンスが無い。

クロスセクション(ワンショット)の研究ではスマホ依存症・スマホ嗜癖うつ病などの精神疾患との関連性は指摘されている。

さて、そういった1時点の調査では、スマホ依存症・嗜癖うつ病などの精神疾患のどちらが先に起こるかというのは1時点の調査ではわからない。
従って、2時点以上の調査が必要になってくるのだが、その要件を満たす研究は3つある。
3つの研究の要旨は末尾に翻訳した。

結果

1は大学生で、女性のみスマホ依存症→うつの関連があったと報告されている。
2は高校生で、うつ→スマホ依存の単方向の関連しかなかったと報告されている。

分析法は共に、クロス・ラグド・パネル・モデル(CLPM)である。

分析法について

CLPMに関しては、Hamaker et al. (2015)など批判がある。

https://www.researchgate.net/publication/274262847_A_Critique_of_the_Cross-Lagged_Panel_Model

CLPMで得られるラグ付きパラメータは、実際の時間的な個人内関係を表さず、因果関係の存在、優位性、符号に関して誤った結論を導く可能性がある。特に、構成要素の安定性がある程度形質的で時変的な性質を持つ場合に自己回帰が適切に働かないことが指摘されている。2の研究では、大学生を対象にしており、高校の時からすでに過度なスマホ使用をしている生徒がいるはずであるから、CLPMが正しく推定ができるかは花甚だ怪しい。

現在では、CLPMは推奨されていないにもかかわらず、近年に出版された論文でCLPMが使われていることは、著者や査読者や雑誌を含めいろいろな意味で非常に残念である。

現在ではRI-CLPMという手法が推奨されている。

https://www.statmodel.com/RI-CLPM.shtml

3は自己回帰が組み込まれておらず論外である。

4は携帯電話についての研究で韓国語で書かれたものである。うつ→携帯依存の関連しか認められなかったとしている。CLPMが使われているが、出版年は2014年であり、2014年にRI-CLPMを使うのは不可能であり、当時としては最大限の分析がされていると考えていいだろう。また、スマホ登場以前は男性においてうつの関係がみられたが、スマホ登場以後は女性において関連がみられるようになったという興味深い考察がされている。

尺度の問題

これらの研究で使われている自記式の尺度が何を計測しているのかというのは問われるべきであろう。
スマホ依存症・嗜癖はそもそも正式に精神疾患になっていない。その場合、仮の診断基準を作り、その診断基準を元に尺度を作成するのだが、そのような作成方法はとられていない。
研究者が思うスマホ依存症の項目を並べたというリスト以上ではない。

Wichstrømグループがゲーム行動症で行ったように構造化面接で診断をしていくプロセスを入れて初めて、強いエビデンスと認められるべきである。 https://acamh.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jcpp.13289


1. 大学生におけるスマートフォン嗜癖うつ病の双方向的な関連性: クロスラッグパネルモデル

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景:スマートフォン依存症(SA)は、特に新入生に悪影響を及ぼすと言われています: スマートフォン嗜癖(SA)は、特に新入生にとって有害な結果をもたらすとされています。SAがうつ病と関連することを示すエビデンスがあり、この関連をさらに探るために縦断的研究を行うことが必要である。

方法:以下の通り: 新入生1,186人のSA(Smartphone Addiction Scale-Short Versionで測定)とうつ病(Zung's Self-Rating Depression Scaleで測定)を、ベースライン時と各参加者の12ヶ月フォローアップ時に調査した。

結果:CLPMの結果、SAとうつ病の間に有意な相関が認められた: CLPMの結果、ベースラインのSAからフォローアップのうつ病への有意なパス(β = 0.08, P < 0.001)、ベースラインのうつ病からフォローアップのSAへの有意なパス(β = 0.08, P < 0.001) が示された。全体のクロスラグドモデルと比較して、女性群ではベースラインSAからフォローアップうつ病へのパスのクロスラグド係数が増加し(β=0.10、P=0.015)、ベースラインうつ病からフォローアップSAへのパスのクロスラグド係数も有意に増加(β=0.15、P<0.001)。一方,男性群のクロスラグモデルでは,SAとうつ病の間に予測効果は認められなかった(P>0.05)。

結論:本研究では、新入生において、スマートフォン嗜癖うつ病の間に有意な双方向の関連性が認められたが、女性群でのみであった。


2. 中国青年におけるうつ病スマートフォン嗜癖の双方向関係およびそれらに及ぼす不適応メタ認知の影響を検証するためのクロスラグド・パネルモデル

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

  • Zhou, H., Dang, L., Lam, L. W., Zhang, M. X., & Wu, A. M. S. (2021). A cross-lagged panel model for testing the bidirectional relationship between depression and smartphone addiction and the influences of maladaptive metacognition on them in Chinese adolescents. Addictive Behaviors, 120, 106978. https://doi.org/10.1016/j.addbeh.2021.106978

目的 中国の青少年はうつ病スマートフォン嗜癖の両方が多いにもかかわらず、その双方向の関係を検討する研究は限られている。さらに、スマートフォン嗜癖に対する不適応なメタ認知的信念の影響に関する縦断的な研究は少ない。この6ヶ月間の縦断研究では、不適応的メタ認知うつ病スマートフォン嗜癖のクロスラグドパネルモデルを検証することで、これらの研究ギャップを解決することを目的とした。

研究方法 中国の高校生459名がベースライン時に匿名の質問票に自発的に回答し、そのうち313名(男性36.1%、年齢=14~18、M=16.88、SD=0.62)がフォローアップ時に同じ質問票を回答した。

結果 うつ病スマートフォン嗜癖、不適応メタ認知の間に両波で正の相関が示された(r = 0.16~0.57, p < 0.01)。クロスラグド分析の結果、うつ病スマートフォン嗜癖への前向き効果(β = 0.18, p < .001)のみが示され、その逆は示されなかった。さらに、ベースラインで評価された不適応なメタ認知は、その後のうつ病(β = 0.14, p < .01)を有意に予測したが、スマートフォン嗜癖(p>.05)は予測しなかった。追加のパス分析により,ベースラインの不適応メタ認知(0.099[95%CI = 0.042,0.183]) が、うつ病を介してその後のスマートフォン嗜癖に有意な間接効果を示した。

結論 本研究の結果から、中国の青年において、うつ病スマートフォン嗜癖の関係は双方向性ではなく単方向性であることが示された。具体的には,うつ病スマートフォン嗜癖を予測し,不適応なメタ認知うつ病を予測した。また、うつ病は不適応なメタ認知スマートフォン嗜癖の関係を媒介しました。本結果は、青少年のスマートフォン嗜癖予防デザインにメタ認知うつ病の介入を取り入れることが有益であることを示唆している。


3. 韓国の学齢期の子どもにおけるスマートフォン嗜癖リスク、睡眠の質、睡眠時間の関連性:人口ベースのパネル研究

link.springer.com

スマートフォン嗜癖は、子どもや青少年の生活を脅かす公衆衛生上の脅威とみなされている。しかし、睡眠の質および量との関連は、韓国の文脈では十分に理解されていない。本研究では、韓国の学齢期の子どもたちのスマートフォン嗜癖、睡眠の質、睡眠時間との関連を調査した。本研究では、4287人が参加した「2018-2019年韓国子ども・若者パネル調査」のデータを採用した。スマートフォン嗜癖は、スマートフォン嗜癖尺度(Smartphone Addiction Proneness Scale)を用いて評価した。データの分析には、一般化推定方程式モデル generalized estimating equation model を使用した。高リスク群の子どもは、低リスク群の子どもに比べて、睡眠の質が悪い可能性が高いことが示された(オッズ比(OR)=1.59、信頼区間(CI)[1.06-2.38])。潜在的リスク群および高リスク群の子どもたちは、低リスク群の子どもたちと比較して、睡眠時間が短い可能性が高いことが示された(潜在的リスク群: 潜在リスク群:OR = 1.44, CI [1.09-1.90]; 高リスク群:OR = 2.25, CI [1.06-2.38]: OR = 2.25, CI [1.66-3.05])。スマートフォン嗜癖の高リスクの子どもは、睡眠の質が悪く、睡眠時間が短い可能性が高い。そのため、スマートフォン嗜癖から子どもを守り、睡眠の質と睡眠時間を改善するためには、適切な嗜癖と継続的なモニタリングが必要である。


4. 自己回帰交叉遅延モデルを用いた青少年の携帯電話の過剰使用および中毒的使用とうつ病の縦断的関係の検証:男女間の多集団分析

her.re.kr

本研究の目的は、青年期における携帯電話の使い過ぎ/嗜癖うつ病の間に時間的な関係が生じるかどうかを検討することであった。本研究では、Korea Youth Panel研究の4年縦断データ(2004-2007、携帯電話の使い過ぎとうつ病を測定した研究1)と2年縦断データ(2010-2011、携帯電話の依存的な使い方とうつ病を測定した研究2)を使用した。さらに、上記の関係性に関して、性差を探った。自己回帰クロスラグ・モデルを実施し、性別にまたがる多群分析も行った。さらに、携帯電話の使い過ぎ・嗜癖は、その逆ではなく、その後のうつ病に大きな影響を与えることがわかった。つまり、青年期の携帯電話の使い過ぎ・嗜癖が増えると、その後のうつ病が強まるが、青年期のうつ病が強まっても、青年期の携帯電話の使い過ぎ・嗜癖が増えることはない。研究1では、スマートフォンが発売される以前は、携帯電話の使いすぎが男性のみのうつ病に明確な影響を及ぼしていたことが示されている。しかし、研究2では、スマートフォンの発売後、携帯電話の嗜癖使用によるうつ病への影響は、男性よりも女性の方が大きいことが示されている。

児童行動チェックリストの強迫性尺度:特異性、感度、予測力

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的 児童行動チェックリスト(CBCL)の強迫性障害下位尺度(OCS)を作成し、小児および青年の強迫性障害(OCD)を識別するための内部一貫性、感度、特異度、正・負の予測力を明らかにすることで、強迫性障害(OCD)を識別する。

方法 年齢、性別、人種を一致させた小児および青年の同規模の3つのサンプル(n = 73)が、これらの分析のために選択された: 1)臨床的にOCDであることが確認されたグループ、2)OCDの証拠がないことが記録されている精神科治療を受けたグループ、3)一般人口のコントロールグループ。OCSは、CBCL11項目に因子分析を適用して作成された。内部整合性、感度、特異度、陽性・陰性予測値について検討した。

結果 OCDを予測すると仮定された11項目のうち、8項目が因子分析の結果保持され(最小因子負荷:0.49)、OCSスコアの算出に用いられた。保持された項目は、優れた内部整合性を示した(Cronbach's alpha coefficient = 0.84)。OCDの参加者は、精神科治療を受けているグループや一般集団のコントロールグループと比較して、OCSスコアが有意に高いことが示された。OCDの真の割合に最も近い2つのカットオフスコアを用いた場合、感度は75.3%〜84.9%、特異度は82.2%〜92.5%、陽性反応予測値は70.5%〜83.3%、陰性反応予測値は88.2%〜91.6%であることが示されました。

結論 提案されたCBCL OCSの性能は、これまでに研究された唯一のOCDのスクリーニング尺度であるLeyton Obsessional Inventory-Child Versionの性能と比較して良好なものである。Leyton Obsessional Inventory-Child Versionとは異なり、CBCLは他のほとんどの精神病理学のスクリーニングとして既に広く使用されている。CBCL OCSの性能は他のサンプル集団で再現する必要があるため、研究者や臨床医が特定の研究集団に合わせて使用できるように、様々なカットオフレベルのデータが提供されている。


強迫性障害(OCD)は、これまで考えられていたよりもはるかに多くの患者がいる病気である。この仮説は、現在では成人において広く受け入れられているが、1-5 小児や青年における支持データは、より徐々に蓄積されてきている6。 青少年を対象としたいくつかの研究では、OCDの生涯有病率は1.9%から4.1%であり、不顕性症状の割合は19%と報告されている11。 この研究、免疫介在性のOCD症状の増悪に関する報告13-15、OCD治療を受けた子供や青年の予後の改善を示唆した追跡研究16-17は、多くの小児科医師にOCD診断の重要性を認識させるものとなっている。古典的な症状(例えば、強迫的な手洗い)は、経験の浅い診断者でもほとんど問題にならない。しかし、OCDの症状には、強迫観念や強迫行為の無数のバリエーションが含まれており、それを認識することはより困難だ。成人では、OCDを合理的に診断するために、強迫観念や強迫行為の現象を十分に捉えた標準化された機器を作成するのに苦労してきた18、19。成人用と同様に、Children's YaleBrown Obsessional Scale (CY-BOCS)はOCDの症状の重症度を評価するために優れた信頼性と妥当性を示しているが20、診断のための道具ではない。Leyton Obsessional InventoryChild Version (LOI-CV)は、成人の質問票から転用された20項目の自己報告書であり、6,21,22はこれまでに研究されてきた唯一のOCDスクリーニング尺度である。2段階のデザインで行われた調査では、まずニュージャージー州の郡の全高校生に、LOI-CVを含む多くの自己報告書の記入を求めました。次に、LOI-CVまたは他の質問票のいずれかが高得点であった参加者が多く含まれる層別無作為標本を選択し、質問票の結果を知らない臨床医による面接を行った。LOI-CVは、妥当な感度と特異度(使用するカットオフによって、それぞれ75%-88%、77%-84%)を持つが、陽性適中率(PPV;15%-18%)はわずかであることが判明した。スクリーニング機器は、妥当なPPVと高い陰性的中率(NPV)を持つべきである。LOI-CVは偽陽性率が高く、OCD以外には適用できないことから、研究や臨床で限定的にしか使用されてこなかったと思われる。

児童行動チェックリスト(CBCL)23は、児童・思春期精神医学や小児科で最も広く使われている手法の1つである。ほとんどの親が簡単に理解し、簡単に記入することができる。利用可能なプログラムでは、8つの定量的なCBCL症候群尺度のスコアを作成することができる。23CBCLの尺度の信頼性、妥当性、時間的安定性は十分に証明されている。24-28研究者は、DSM精神疾患の診断と統計マニュアル)の診断を予測するツールとして使用するために、臨床的に特徴ある集団でCBCLを使用することが増えている。

OCDの小児と青年にCBCLを使用した以前の検査では、思考問題と不安抑うつ症候群のスコアの上昇との一貫した結果が報告された29–31。Hanna 29は、どのCBCL症候群スコアとCY-BOCSとの間にも有意な相関関係は認められず、いくつかのCBCL症候群スコアが破壊的行動障害を併発している参加者と併発していない参加者で有意に異なることを指摘した。

今回の研究では、OCDを持つ臨床的に確認された子供や青年(n 5 73)と、性別、人種、年齢を一致させた2つの対照群(1)OCDを持たない精神科治療者(n 5=73)、2)バーモント州の全国サンプルからの一般集団対照者(n = 73)から得られたCBCLデータを因子分析によって検討した。分析は、OCDの診断に最も適切であると仮定される11のCBCL項目に限定された。これらのデータから、CBCL強迫性下位尺度(OCS)が作成された。これらの項目の内部一貫性を計算し、相互関係を評価した。また、OCDの一般集団スクリーニング尺度として使用することを含め、この下位尺度の性能を他のサンプルに適用するのに十分な詳細を提供することを目的として、我々のサンプルにおける様々なパーセンタイルカットオフについて特異度、感度、PPV、NPVが調べられた。

方法

参加者

OCDを持つ子供と青年のデータは、2つの情報源から得たものである。1991年11月1日から1997年6月1日の間に、セントルイス小児病院児童精神科センター(主にセントルイス大都市圏に住む人々に一次精神医療を提供するクリニック)で治療を受けたすべての参加者が、初回治療の対象であった。同クリニックでは、子どもの初診前にCBCLのコピーを保護者に郵送し、記入したチェックリストを初診時に持参するよう指示を出していた。施設審査委員会の承認を得た後、請求記録を用いて、治療中にOCDの診断を受けた110人の子供と青年を特定した。このうち30名については、CBCLのデータがなかった。残りの45名については、精神科医(E.N.)が臨床情報を検討し、DSM-IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition)32によるOCDの診断が十分に可能であることを確認した。併存する診断情報は、医師会認定の児童思春期精神科医による、またはその直接の監督下で行われた最初の臨床評価から得た。年齢制限により、一般集団の対照群の最年少者が9歳であったため、7歳以下の子供8名を追加で除外した(マッチングには1歳以上の年齢差を認めないという決定がなされた)。また、UCLA神経精神医学研究所とミシガン大学での治療・研究プロトコールに参加した36名のOCD患者のデータが、今回の分析に利用された。診断と統計の精神障害マニュアル第3版改訂版(DSM-III-R)33 OCDと併存診断の確認は、認定児童青年精神科医(G.H.)が行った。これらの参加者のうち24名のCBCLデータは、以前に発表されたものである29。

セントルイス小児病院児童精神科センターから73名の精神疾患対照者グループを入手した。参加者は、乱数を発生させるプログラムによって選ばれ、事前に割り当てられた固有のクリニック番号と比較された。年齢、性別、人種がOCDグループのメンバーと一致する参加者は、この基準で選ばれた。このプロセスが進むにつれて、マッチングが容易でない参加者のために、請求書の記録を検索して対照となる参加者を探し出すことができた。対照となる参加者の除外基準は、CBCLがないこと、または医療記録にOCDの症状が記載されていることであった。また、これらの参加者の診断情報は、医師会認定の児童・青年精神科医による、またはその直接の監督下で行われた最初の臨床評価から得られた。

1992年のバーモント州の全国標本から、一般人口の対照群が選ばれた23。これらの参加者は、年齢、性別、人種がOCDの参加者と一致するように無作為に選ばれた。各グループは、男子45名、女子28名で構成され、アジア系男子1名、ヒスパニック系男子1名が含まれた。他の参加者はすべて白人で、非ヒスパニック系であった。OCDグループ、精神疾患コントロール、集団コントロールの男子の平均年齢は、それぞれ12.27歳(SD:2.77)、12.24歳(SD:2.80)、12.31歳(SD:2.70)である。女子の同様の値は、それぞれ11.96(SD:2.66)、11.96(SD:2.66)、12.00(SD:2.61)であった。グループ全体および男女別に実施した対のt検定では、グループ間に有意な年齢差がないことが確認された(すべてP .80)。精神科コントロールグループ参加者の診断名とOCD患者の併存診断名を表1に示す。OCD群では、精神科治療を受けた対照群に比べ、非OCDの不安障害、チック障害、トリコチロマニア、常同性・習慣障害 stereotypy/habit disorders の割合が高く、注意欠陥多動性障害、反抗性障害、行動障害、物質依存の割合が低い。

測定方法

CBCLは、保護者の方からの情報提供、お子様の行動の7つの側面におけるコンピテンシー、過去6ヶ月間に経験した118の問題の程度を評価することを要求される。過去6ヶ月間の問題の評価は、"0 当てはまらない"、"1 やや当てはまる、または時々当てはまる"、"2 非常に当てはまる、またはしばしば当てはまる "の3つの選択肢からなる尺度を用いている。今回の研究では、118の問題項目に対する回答のみを使用した。特に、強迫観念や強迫行為に関する質問について、親が正しく回答しているかどうかを確認する試みは行わなかった。CBCLの入力と採点は、今回の分析に必要な生得点を提供する採点プログラムによって行われた。

データ解析

採点後、CBCLのデータはSASデータファイルに組み込まれ、SASシステム34を使用して追加分析が行われた。著者らは、因子分析のために11のCBCL項目を選択した。これらの項目の一部で回答が漏れていたため、OCD患者12名と精神疾患のある対照者9名のデータを含めることはできなかった。Cronbachの係数aは、選択された11項目の内部一貫性を測定するために使用された。因子回転を行わず、主因子分析の手法で2因子モデルを当てはめた。そして、これらの因子負荷量を用いて、各参加者の因子スコアを算出した。正規化因子スコア(OCSスコア)は、各参加者のスコアをその個人が利用できる最大スコアで割ることによって得られた(欠損データのある参加者には、未回答項目の失われた寄与を補正した正規化スコアを与えることができるようにするため)。OCSスコアを従属変数とする分散分析は、グループによる有意な主効果があるかどうかを調べるために用いられた。OCSスコアをグループ間で比較するために、分散の不等式を補正するためにSatterthwaiteの近似を使用した一対のt検定を使用した。感度[真陽性/(真陽性1偽陰性)]、特異度[真陰性/(真陰性1偽陽性)]、PPV[真陽性/(真陽性1偽陽性)]、NPV[真陰性/(真陰性1偽陰性)]は、今回のサンプルにおける推定OCSの様々なパーシルレベルで算出した。

因子分析

回転していない最初の解は、2因子を保持していた。第1因子は分散の40.0%を説明し、11項目すべての正の負荷値が0.4802から0.7369の範囲であった。第2因子は分散をより小さく説明し、その項目の因子負荷量(範囲:20.2820~0.4481)はすべて第1因子のそれを下回ったため、回転していない第1因子のみを保持することが決定された。3つの項目を順次削除し、解の簡素化を図った: 負荷値が0.50を下回る唯一の項目である "きれい好き"、"神経質、緊張しやすい"、"怖がり、心配性 "の3項目は、保持項目である "悩み "と高い相関があった。残る8項目は、単一因子の正の負荷値が0.4914から0.7000であり(表2参照)、分散の39.8%を説明した。保持された8項目のCronbachのa係数は0.84であった。

3群の正規化された8項目の因子スコアの平均値であるOCSスコアは、以下の通りであった: OCD群:0.57(SD:0.24)、精神科治療を受けた対照者:0.23(SD:0.17)、集団対照者:0.11(SD:0.12)。正規化因子スコアを従属変数とする分散分析では,グループに対する有意な主効果が認められた(F 5 123.72; df 5 2218; P ,.0001 )。グループ間のOCSスコアの比較には、ペアのt検定が用いられた。OCD参加者のOCSスコアは、精神科治療者(t 5 9.94; df 5 131.3; P , .0001)および集団対照者(t 5 14.72; df 5 106.6; P , .0001)の両者よりも高いものであった。また、精神科治療群のスコアは、一般集団対照群のスコアよりも高いことが示された(t 5 4.77; df 5 128.7; P , .0001)。

感度、特異度、PPV、およびNPV

推定OCSの様々なパーセンタイルレベルで感度、特異度、PPV、NPVを算出した。OCDグループと他のグループとの比較は、表3に示すとおりである。OCSスコアは、60パーセンタイル以上のカットオフ値を使用した場合、すべての対照群で強いPPVとNPVを示す。

考察

本稿では、CBCLからOCSを作成する方法について述べる。著者らの先験的仮説により関与が予測された11項目のうち、因子分析の結果、8項目が残された。これらの項目の最小の因子負荷は0.49であり、これらの項目は全体として優れた内部整合性を示した(Cronbach's a coefficient 5 0.84)。保持された1つの因子は、全分散の39.8%を説明した。OCDグループは、精神科治療を受けている患者や一般住民の対照者よりも、OCSスコアが有意に高かった。

OCSは、臨床的に確認されたOCD患者、精神科治療を受けた非OCD患者、一般集団の対照群と比較し、高いレベルの感度と特異性、PPVとNPVで示される高い診断力を示した。サンプル全体(3分の1)におけるOCDの真の割合を最もよく反映する2つのカットオフスコア(60%と70%)を使用し、コントロールグループとの比較では、感度は75.3%~84.9%、特異度は82.2%~92.5%、PPVは70.5%~83.3%、NPVは88.2%~91.6%となった。全体として、提案されたCBCL OCSの性能は、LOI-CVの性能と良好に比較されるようである6,21。

LOI-CVと比較して、提案されたCBCL OCSが提供するその他の潜在的な利点は以下の通りである: 1) 43の言語に翻訳され、56カ国、2000以上の研究で使用されている。2) 既に収集されたCBCLデータを用いて、OCSの逸脱の有病率を遡及的に容易に推定でき、OCSの長期的な安定性を容易に判断できる。3) 既に臨床現場で最もよく使われている測定法の一つである; 5) コンピュータによる採点アルゴリズムが容易に利用できる。6) 初診の前に保護者に郵送できる簡単な説明書が印刷されている。7) 「神経運動や痙攣」についてのスクリーニング質問があり、溶連菌に関連する小児自己免疫神経精神障害のリスクがある参加者をさらに特定できる。 8) 有効な付随尺度である教師報告用紙と青少年自己報告書も広く使われているので、並行尺度を開発することが可能である。

方法論的な問題として、精神科治療を受けた対照群の診断構成について議論する必要がある。私たちは、精神科の対照群を無作為に選択し、確認バイアスを診療所人口を代表する対照群に内在するものに限定することを目的とした。OCDは内面化障害に分類されるため、外面化障害を持つ人が少なく、不安障害を持つ人が多いサンプルは、より良い比較を提供できたかもしれないと主張することは可能である。しかし、この方法では、OCDの集団に相当数の破壊的行動障害が併存していることを十分にコントロールすることはできなかった。また、OCD患者においてこれらの障害の割合が高いことを指摘する研究者もおり35、チック障害の攻撃的な行動は、主にOCDと注意欠陥多動性障害を併存している患者において見られるとされている36。しかし、OCSの有用性を十分に明らかにするためには、今回の報告とは異なる構成のサンプルにおいて、その性能を調べることが重要であると考えられる。

今回の知見は、いくつかの制約の中で解釈されなければならない。OCSは、それが開発されたときと同じデータを使って評価された。そのため、全く新しいサンプルでその性能が再現されるまでは、OCSは慎重に使用さ れるべきである。臨床的に確認されたOCDは、一般集団や一般的な小児科診療所において同様に診断された疾患よりも重症度が高いかもしれない。OCSは、特定の集団に最も適した値を決定するために、様々なパーセンタイルカットオフにおける性能の詳細を提供しているが、今回の参加者の特徴(例えば、CY-BOCSスコア)を追加することは有益であっただろう。診断の信頼性と妥当性に関するデータがないため、後方視的な臨床情報に依存することは必要であったが、明らかに最適とはいえない戦略であった。CBCL症候群のスコアは年齢や性別によって異なる傾向があるが、今回のサンプルのサイズでは、この問題を検討することはできなかった。OCDには非常に多様な強迫観念が含まれるため、単一の因子という考え方は直感に反すると思われるかもしれない。しかし、単一の尺度を作成することは、因子分析の結果に基づいて決定され、様々な症状の提示に共通する現象学的要素の存在と一致するものとして、最もよく概念化されているものである。また、この尺度は、簡単なスクリーニングの指標になるという利点もある。OCSが、様々なサブタイプ37のOCDのスクリーニングとして、また、感情障害やその他の不安障害を持つ参加者が多いサンプルにおいて、どの程度成功するかは、検証する必要があるであろう。強迫観念に関するCBCLの質問に対する両親の回答の正確さを評価しないことにしたため、若干のバイアスがかかっている可能性があります。OCDグループは臨床的に確認されているため、その両親はこれらの質問に正しく答える可能性が高かったかもしれない(ただし、セントルイスのサンプルでは、両親がCBCLを記入する前に診断を受けている参加者はほとんどいなかった)。不正確な回答や根拠のない回答(例題がない)を再コード化しないことで、2つの対照群(肯定的な回答は不正確である可能性が高い)のスコアが膨らんでしまった可能性がある。CBCLは、LOI-CVとは異なり、情報提供者として親に依存しています。OCD患者は秘密主義者であることが多いため、親がすべての症状に気づいていない可能性があり、また、その代わりに、より率直である可能性がある。最後に、セントルイスではUCLAで使用されていたDSM-IIIRよりも新しいDSM-IVがOCDの診断に使用さ れたことが挙げられる。この2つのアルゴリズムはわずかな違いしかないため、この違いが今回の結果に影響を与えることはないだろう。

提案されたCBCL OCSの最適な使用方法については、今後の研究が必要である。この結果が発表されることで、必要な追加研究が促されることが期待さ れる。小児や青少年のOCDを適時に診断することの重要性は、最近の報告(例えば、溶連菌に関連した小児自己免疫性神精神疾患の記述とその治療の成功例13-15、小児集団におけるセロトニン再取り込み阻害剤と行動療法の有効性に関する証拠の増加16、17)でも強調されている。我々は、研究者や臨床医がOCDの診断のためにこの尺度を使用する際に、特定のサンプル集団が課すニーズに合わせて調整できるように、様々なカットオフスコアにおける尺度の性能に関するデータを提供した。

COVID-19時代における近視の進行

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

屋外活動時間の減少は響いているようだ。

方法
PubMed、Scopus、Web of Scienceを検索し、COVID-19パンデミックと近視進行に関連する2022年8月までの文献を発見した。近視進行のアウトカムは、軸長(AL)および球面等価(SE)であった。スクリーンタイムと屋外活動時間の因子を分析した。
結果
33の研究がこのメタ分析に含まれた。COVID-19の流行前の同時期と比較して、近視の有病率は増加した(OR = 1.11; 95% CI, 1.05-1.18 )。SEの成果は-0.61ディオプター(95% CI, -0.98 to -0.23)減少し、ALは0.42mm(95% CI, 0.13-0.7 )増加した。平均スクリーン時間は6.25時間/日(95% CI, 4.84-7.66)増加し、屋外活動時間は-1.52時間/日(95% CI, -3.20 to -0.15)減少した。
結論
パンデミック時の行動変化とその結果を制限するためには、ケアポリシーを確立することが必要である。

この研究では、COVID-19パンデミック以降の行動変化が眼の生物学的パラメータに与えた影響について評価するため、477万3111件のケースが調査された。調査には中国をはじめとした多数の国々からの研究結果が含まれており、その大部分が2021年または2022年に実施されたものだ。

参加者の平均年齢は16.2歳(±2.4歳)で、5歳から55歳までの範囲に広がっていた。しかし、ほとんどの研究で対象者の年齢範囲は5歳から19歳で、2つの研究でのみ18歳以上(一つは18~25歳、もう一つは40~55歳)が対象とされていた。

COVID-19パンデミック前の18の研究では、近視の有病率が27%と報告されていた。パンデミック中に行われた14の研究では、近視の有病率が36%に上昇し、パンデミック前と比較して近視の有病率が増加したことが示された。

球面等価値(SE)については、13の研究でCOVID-19時代に有意に減少したことが報告された。これらの研究の平均SE変化をメタ分析に組み入れた結果、平均SE変化の集計データは-0.61ジオプターとなった。

また、4つの研究では眼軸長(AL)が評価され、これらの研究ではパンデミック中にALが増加したことが示された。集計データでは、ALの平均変化が0.42mmだった。

また、COVID-19パンデミック前後の屋外活動時間の平均については、適格な6つの研究から集計されたデータに基づき、屋外活動時間の平均が1日あたり1.52時間減少したことが示された。一方で、パンデミック前後の画面時間の平均変化については、適格な4つの研究から集計されたデータに基づき、画面時間の平均が1日あたり6.25時間増加したことが示された。

最後に、品質評価と出版バイアスについては、Joanna Briggs Instituteの批判的評価スコアを用いた。有病率(横断的)研究については4から6(最大8点)のスコアが、コホートについては5から9(最大11点)のスコアが与えられた。ただし、評価ツールは研究デザインに基づいて異なるため、スコアは直接比較することはできない。しかし、ファネルプロット分析により、出版バイアスまたは異質性の可能性を示す微妙な非対称性が認められた。

以上の結果から、COVID-19パンデミックは人々の生活スタイルに大きな変化をもたらし、それが視力に影響を及ぼしている可能性が示唆された。特に、近視の有病率の増加、屋外活動時間の減少、画面時間の増加などが明らかになった。これらの結果は、パンデミック時代の生活スタイル変化が視力に与える影響を理解するための重要な情報を提供する。

デジタルデバイスの使用によって近視は増加していない

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

  • Lanca, C., & Saw, S. (2020). The association between digital screen time and myopia: A systematic review. Ophthalmic and Physiological Optics, 40(2), 216–229. https://doi.org/10.1111/opo.12657

このレビューでは、全体で115の引用文献から、15の研究が選択基準を満たし、合計49,789人の3歳から19歳までの子どもたちを対象にした研究が取り上げられている。主な参加者は中国(62%)とインド(20%)からであった。分析のため、15の研究はスクリーンタイムが近視にどのように影響するかを調査したものと、スクリーンタイムが近視の進行にどのように影響するかを調査したものに分けられた。

近視とスクリーンタイムの関連を調査した縦断研究とコホート研究の中で、6つの研究は、子供たちのコンピューターの使用(カテゴリ変数または1週間あたりの時間)が、近視(調節可能な屈折率 -0.5 D、-3.00 D、および -6.00 D)の有病率と、より近視的な屈折誤差と有意に関連していることを示した。しかし、他の5つの研究では一貫した結果が得られなかった。

スクリーンタイムと近視の有病率との間の関連性を報告した4つの横断研究のうち3つでは、5~16歳の子供7681人において、近視(調整済みオッズ比=1.17、95% CI 1.03~1.32、p=0.015)および高度近視の有病率(調整済みオッズ比=2.31、95% CI 1.17~4.57、p=0.016)がコンピュータの使用と関連していると報告された。しかし、3歳の子供572人では、携帯デバイスでの遊び時間(調整済みオッズ比=1.04、95% CI 0.67~1.61、p=0.86)やコンピュータの使用(調整済みオッズ比=0.92、95% CI 0.31~2.74、p=0.88)と近視との関連はなかった。

一方で、スクリーンタイムが近視進行にどのように影響するかを調査したコホート研究については、4つの研究があったが、その中で1つだけが、5~15歳の子供9616人において、コンピュータやビデオゲームの週4時間以上の使用と近視の進行との間に正の関連性を見出していた。35 これらの結果の一つの制限として、全ての子供がシクロプレジア自動屈折測定を受けたわけではないという事実があった。

15の研究のうち、近視(有病/発病)とスクリーンタイムとの関連性をオッズ比で報告した5つの研究がメタ分析に取り入れられた。4,24,25,30,31 メタ分析には20,889人の子供たちが含まれていた。ランダム効果モデルを用いた集計オッズ比は1.02(95% CI: 0.96~1.08; p=0.48)であり、これはスクリーンタイムが有病/発病近視と有意に関連していないことを示唆している。

ただし、この結果は含まれた研究の数が少ないために限定的で、一般化することはできない。また、これらの研究ではスクリーンタイムの定義、測定方法(時間/週)、近視のアウトカムが類似していたため、データの異質性はなかった(I2 = 0%; p = 0.97)。異質性の欠如のため、固定効果モデル分析を使用した集計オッズ比の結果も同じだった(OR = 1.02; 95% CI: 0.96~1.08; p = 0.48)。

全体として、スクリーンタイムと近視との間の関係については一貫した証拠が得られていない。いくつかの研究では、スクリーンタイムが増えると近視のリスクが高まる可能性が示されているが、他の研究ではそのような関連性が見られない。また、スクリーンタイムが近視の進行に影響を及ぼすかどうかについても、確かな結論はまだ出ていない。この問題についてより深く理解するためには、より多くの研究とデータが必要である。

スマホ認知症、大丈夫?スマホ依存は危険です!

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石井順子(いしいじゅんこ)ファイナンシャル・プランナー

AIによる支配の前にスマホによる人類破壊!?
スマホにより大量の情報があっても
自分の脳で整理することができず
必要な場面で取り出すことができません。
脳がゴミ屋敷状態になっているということ。
脳が疲れてしまっています