井出草平の研究ノート

医療化

ジェフリー・ヴィッカーズ「公衆衛生活動の道筋は「当たり前」だと思っていたものが「耐え難い」ものになったときに現れる」

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(58)90864-X/fulltext Vickers, G. (1958). WHAT SETS THE GOALS OF PUBLIC HEALTH ? The Lancet, 271(7021), 599–604. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(58)90864-X Threat-avoiding bu…

脳所見過剰重視症候群

ci.nii.ac.jp Brain Overclaim Syndrome という言葉がある(Morse 2007)。日本語に訳すのであれば「脳所見過剰重視症候群」となろう。「脳至上主義」という言葉をあてることも可能である。 「Syndrome 症候群」といっても,通常の意味での病名や症候群名で…

サズ『狂気の思想』第二章 精神病の神話

狂気の思想―人間性を剥奪する精神医学 (1975年)作者:トーマス S.サズAmazon サズ『狂気の思想』序論 - 井出草平の研究ノート 続き。 ナポレオンか共産主義者か この際、それが精神症状とみなされるのは、患者はナポレオンでなく、共産主義に迫害されてもいな…

サズ『狂気の思想』序論

トーマス・サズの1970年の著作。"Essays on the Psychiatric Dehumanization of Man"と副題があるように、既に発表されているエセーを集めた本である。 狂気の思想―人間性を剥奪する精神医学 (1975年)作者:トーマス S.サズAmazon Ideology and Insanity: Ess…

医療化の再検討----医学的知識の前提をめぐる批評

www.frontiersin.org Tiago Correiaによる論文。 アブストラクト 医療化という概念は非常に大きな影響力を持ち、実証的な研究によって、医療化は医療従事者や科学者の努力だけでなく、自分の苦痛を「医療」問題として定義することによって正当化しようとする…

子守国家からセラピー国家へ(マイク・フィッツパトリック)

www.ncbi.nlm.nih.gov 子守国家からセラピー国家へ From ‘nanny state’ to ‘therapeutic state’ マイク・フィッツパトリック Mike Fitzpatrick 公衆衛生政策のあらゆる議論に「ナニー・ステート(子守国家)」という厄介者が漂っている。公共の場での喫煙、…