井出草平の研究ノート

2008-01-01から1年間の記事一覧

アスペルガー症候群と仕事

クライン、ヴォルクマーら編の『総説 アスペルガー症候群』から編者であるアミー・クラインとフレッド・ヴォルクマーによる成人期についての記述。職業訓練のところ。 職業訓練 アスペルガー症候群を持つ成人は、面接が苦手で、社会的困難性があり、変わって…

摂食障害のニュースを2つクリップ

ブリトニー「摂食障害にかかっている」、ボディガード暴露 27日(現地時間)、ブリトニーがダイエットのために、わざと吐き戻し、下痢薬を服用するなど、摂食障害症状を見せていると報じた。 http://jp.ibtimes.com:80/article/biznews/081201/24406.html 無…

宇治小6殺害事件の再鑑定

アスペルガー症候群の責任能力を争っている裁判。 再鑑定した精神科医が出廷し、「責任能力がないとまでは言い難い」との見方を示した。 精神科医は「(被告は)アスペルガー障害で、犯行当時は反応性幻覚妄想障害に陥り、剣を持った被害者の像などの幻視が…

「三つの苦しみ」子育ての地獄

「三つの苦しみ」子育ての地獄(AERA 9月29日) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20080929-00000001-aera-soci 福岡の事件についてのAERAの記事がネットで読めるのでリンク。 文中には「したいことを中断されるとパニックを起こす」「衝動的に激し…

河村雄一ほか「豊田市における自閉性障害の発生率」

河村雄一・高橋脩・石井卓・荻原はるみ,2002,「豊田市における自閉性障害の発生率」 『第43回日本児童青年精神医学会抄録集』:160. http://ci.nii.ac.jp/naid/50000669253/ 豊田市での自閉性障害の発生率の調査。1.72%という高率を出している。 【対象…

ナツカレ2008書店販売

今年の夏に荻上チキさんらと作成した同人誌『ソシオクリティーク ナツカレ2008』が書店販売されることになりました。ブックファースト京都店さんと、ジュンク堂新宿店さんに置いていただいています。コミケ同様、販売価格は1000円です。よろしくお願いします…

アスペルガー症候群という用語はもう完全に捨ててしまうべきなのだろうか?

『総説 アスペルガー症候群』にあるウィングの論文の締めの部分。アスペルガー症候群の概念が広がるきっかけをつくったウィングが回顧をしている。 本章の初めに述べたことに今一度立ち戻るならば、皮肉な言いかたに聞こえるかもしれないが、1981年の論文で…

特別支援教育と広汎性発達障害のこれから

イベントの告知です。徳島大学で話をさせて頂くことになりました。 日 時 : 平成20年10月18日(土) 13:30〜15:30 場 所 : 徳島大学 常三島キャンパス 総合科学部 1号館 3階 301教室 講演者 : 井出 草平(いで そうへい)氏 コメン…

非言語性学習障害症候群の特徴

非言語性学習障害は概してアスペルガー症候群に似た特徴を持っている印象を持つが、アスペルガー症候群の臨床像とは異なっているのは音韻処理障害においてである。視空間認知スキルと身振りによるコミュニケーションには問題があるが、言語能力は比較的保持…

広汎性発達障害や自閉症スペクトラムは増えてはいない

広汎性発達障害と自閉症スペクトラムについて、世界各地で行われている疫学調査を年次を追う形でグラフ化*1。年を追うごとに、広汎性発達障害が増えている(支援制度が整ったのでどんどん発見されるようになった)ということが言われることがあるので、年次…

福岡・小1殺害 「育児に悩んでいた」

福岡・小1殺害は母親が犯人だったが、動機は「育児に悩んでいた」。そして、殺された富石弘輝くんは発達障害であったようだ。 弘輝君は軽度の発達障害があったとされ、小学校では特別支援学級に通っていた。同級生の母親は入学式の後のクラス懇談会で、あい…

山崎晃資「高機能広汎性発達障害の診断マニュアルと精神医学的併存症に関する研究」

広汎性発達障害と反社会的行動の科研報告書から。 山崎晃資「高機能広汎性発達障害の診断マニュアルと精神医学的併存症に関する研究」『高機能広汎性発達障害にみられる反社会的行動の成員の解明と社会支援システムの構築に関する研究』平成17年度 研究報…

KHJのひきこもり160万人説の計算式には間違いが2つある

ひきこもりの「推計値」として全国引きこもりKHJ親の会は160万人という数字をホームページに掲載している。 引きこもり数(推計)160万人(全国引きこもりKHJ親の会) この数字は明確に間違えた数値と根拠なく書かれている数値から出されている。KHJの示…

精神保健福祉センター相談件数はひきこもりが最も多い

和歌山市の精神保健センター平成18年度の所報より。 分類の基準はわからないが、精神疾患、神経症が別の項目としてあるので、明らかに精神障害によるひきこもり状態だというものは除かれている傾向にあると思われる。患者が訴える症状とは違って、表題をみ…

国会議事録でのアスペルガー症候群の取り扱い

整理はまたのちほど。

自閉症は左脳、アスペルガー症候群は右脳の障害で連続的なものではない

自閉症は左脳の機能不全、アスペルガー症候群は右脳の機能不全。神経行動学上では同じ障害ではないと言われているようだ。このことは、自閉症からアスペルガー症候群などへ連続的に障害がつながると考える自閉症スペクトラムの考え方への反証になる。自閉症…

ひきこもり8分類

KHJのホームページより。ひきこもりを8分類してみたらしい。リンク先の下部。 (2): 病理性の有無、病症種、障害の重さ別にみる 識別対応の有無 「ひきこもり」という言葉は病症名ではなく、精神医学的下部診断が可能で すが、その実態は不登校・「ひき…

ひきこもり相談専門化 厚労省、47都道府県に窓口

産経新聞の記事。おそらく全国の精神保健福祉センターの周辺に置かれる窓口。民間委託も行われる模様。 ひきこもり相談専門化 厚労省、47都道府県に窓口 8月23日16時14分配信 産経新聞 厚生労働省は23日、ひきこもりの人や家族からの相談専門窓口となる…

夏コミ

昼過ぎに完売しました。来て頂いた方ありがとうございます。ポプルス騒動で全冊納入されなかったので在庫があります。通信販売と書店取り扱い(ブックファーストさん)をする予定です。よろしくお願いします。

夏コミに参加します!(C74)

夏コミ(コミックマーケット74)に参加することとなりました。初参加ですがよろしくお願いします! 【参加者】斎藤環 鈴木謙介 辻大介 濱野智史 荻上チキ 阪口祐介 なんばりょうすけ 岡本まくず 【情報】 場所 :夏コミ@東京ビッグサイト(http://www.comik…

こういう状態であればアスペルガー症候群や自閉症を疑った方が良い

高機能広汎性発達障害―アスペルガー症候群と高機能自閉症作者: 杉山登志郎,辻井正次出版社/メーカー: ブレーン出版発売日: 1999/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る アスペルガー症候群や自閉症を疑った方がよい状…

最近読んだ本

ここ1週間ほどで読んだアスペルガー症候群関係の本。読んでも読んでも減らないのは気のせいか。ひきこもり本より多いのかもしれない。 アスペルガー症候群 教師として知っておくべきこと作者: マット・ウィンター,柏木諒出版社/メーカー: スペクトラム出版…

自閉症スペクトラム障害説は現実的ではないファンタジー

アスペルガー症候群歴史と現場から究める作者: 石川元出版社/メーカー: 至文堂発売日: 2007/09/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (3件) を見る 石川元氏・村田豊久氏・川原ゆかり氏の対談より。 石川 ウィング自体のアスペル…

コントミンと過食嘔吐

コントミンが過食嘔吐に効くときがあるそうだ。EBMではこの薬は上がってこない。 精神科薬物治療を語ろう 精神科医からみた官能的評価作者: 神田橋條治,兼本浩祐,熊木徹夫出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2007/10/18メディア: 単行本 クリック: 23回この…

ひきこもりとニートは自己愛性パーソナリティ障害

パーソナリティ障害(人格障害)のことがよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)作者: 市橋秀夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/09メディア: 大型本購入: 6人 クリック: 65回この商品を含むブログ (13件) を見る 最近では、統合失調症などの原因の…

軽度発達障害という言葉が広まるきっかけになった学会

杉山登志郎,2000, 「軽度発達障害」『発達障害研究』Vol.21, No.4 (20000331) pp. 241-251. 杉山登志郎,2000,「軽度発達障害」『発達障害研究』Vol.21, No.4 (20000331) pp. 241-251.(Webcat) 第34回日本発達障害学会研究大会報告 静岡大学教育学部 …

広汎性発達障害についての相談先

エイリアンの地球ライフ―おとなの高機能自閉症/アスペルガー症候群作者: 泉流星出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る 広汎性発達障害を抱える妻が、夫の視点から書いた本。1冊…

アスペルガー症候群の暴力性

この論文は、以前に発表された論文の中でアスペルガー症候群の暴力性を取り扱ったものである。 M. Ghaziuddin, Luke Tsai, N. Ghaziudd,1991, Brief report: Violence in asperger syndrome, a critique Journal of Autism and Developmental Disorders, Vol…

不登校の薬物療法

小田晋氏の1985年の論文。不登校という用語が一般化する前に書かれた論文であるが、特に古さは感じない。発達障害についての言及がないくらいである。不登校のところを引用。「歯に衣を着せずに」書かれてあるので興味深い。 小田晋,1985, 「不登校現象と…

広汎性発達障害の有病率と英国自閉症協会(NAS)

Fombonneのコメンタリ。1997年の記事。NAS(英国自閉症協会)が声明として出した自閉症スペクトラムの有病率についての検討をしたもの。 Eric Fombonne Prevalence of Autistic Spectrum Disorder in the UK Autism, Vol. 1, No. 2, 227-229 (1997) http://aut…