井出草平の研究ノート

WLSMVにおけるKMO(Kaiser-Meyer-Olkin)適合度指標の計算

KMOもBartlett球面検定も、推定器(ML/MLR/WLSMV)をテストしているのではなく、入力となる相関行列(とその部分相関構造)が因子分析に向いているかを見ている指標である。したがって、WLSMVを使うなら「Pearson相関」ではなく、(潜在連続を仮定した)ポリ…

Mokken尺度分析③

ides.hatenablog.com ides.hatenablog.com 単調性(Monotonicity)と不変項目順序(IIO)の診断 第2回では、AISP(自動項目選択)によって抽出された下位尺度を比較し、lowerbound = 0.4、かつ k ≥ 4 の尺度群を主要結果として採用した。本稿では、それらの…

Mokken尺度分析②

ides.hatenablog.com 前回のつづき。 Mokken尺度分析の実務でよく用いられる AISP(Automated Item Selection Procedure;自動項目選択) を実行し、項目群が単一尺度としてまとまるのか、それとも複数の下位尺度(クラスター)に分かれるのかを探索的に確認…

Mokken尺度分析①

Mokken尺度分析の概要 Mokken尺度分析(Mokken Scale Analysis; MSA)とは、質問紙の複数項目が同一の潜在特性(能力、傾向、症状の強さなど)に沿って「順序尺度」として機能しているかを、比較的弱い仮定のもとで点検する方法である。項目反応理論(IRT)…

マレーシアSNS規制案を巡る国内状況

jp.reuters.com ロイターの報道をきっかけに、マレーシア国内でのSNS規制の動向を少し調べてみた。10代前半におけるSNS使用の弊害が前面に大きく語られているわけでもなく、イスラム教勢力から大きな運動が起きているわけでもないが、道徳的観点から規制を支…

マレーシア、16歳未満のSNS禁止を計画 来年から(ロイター)

jp.reuters.com マレーシアのファミ通信相は23日、16歳未満のユーザーによる交流サイト(SNS)利用を来年から禁止する計画だと明らかにした。 ファミ氏はネットいじめや金融詐欺、児童性的虐待などオンライン上の危害から子どもを守る必要があるとし…

WindowsでPythonを用いた統計解析を行う際に計算にGPUが必要な場合の環境構築

WindowsマシンでPythonでの統計解析、特にベイズ推定を行うときにGPUに計算を投げる場合にはWSL2上のLinuxにAnaconda環境を構築する必要である。理由はいくつかある。 JAX/NumPyroのGPU対応はLinux前提で成熟しており再現性が高いため CUDA・cuDNN・NCCLの整…

ソーシャルメディアは青少年のメンタルヘルスに悪影響を与えているのか?

www.psychologytoday.com これは、1950年から現在までの米国ティーンエイジャーの自殺率の変化の原因を理解するための、私の連載記事の第六弾である。その変化は下のグラフに示されている。グラフの各部分について、私がどのように説明したかの要約は以下の…

子どもへのSNS禁止は何も解決しない(アンドリュー・シュビルスキー)

www.sciencefocus.com 実際には何も解決しないだろう。その理由は次のとおりだ。 コメント:政治家たちは、ソーシャルメディアアプリが若者たちに取り返しのつかない害を与えていると主張している。しかし、科学はそうではないと述べている。 アンドリュー・…

デジタルスクリーン利用は、青少年の幸福感の最大0.4%を説明するに過ぎない

www.ox.ac.uk 英国と米国における30万人の青少年とその親を対象とした研究によると、青少年の幸福感のうちテクノロジー利用に関連する割合はわずか0.4%である。比較すると、ジャガイモを食べることはほぼ同程度の悪影響を及ぼし、眼鏡をかけることはスクリー…

デンマークの15歳以下SNS使用の禁止に関しての法的な論点

www.cnn.co.jp この規制案の論点は「SNS使用の禁止」にあるのではなく、EUのデジタルサービス法(Digital Services Act, DSA)を超える規制をデンマークが独自で試みようとしているところにある。 法的根拠 全国的な年齢制限(national aldersgrænse) デン…

一般集団での回避性制限性食物摂取障害(ARFID)の有病率

スイス・2015(小学校) 有病率(95%CI):3.19%(2.40–4.22%) ※n=46/1,444よりWilson近似 年齢:8–13歳(小学校3–6年) 性別:本文では群内の男女差の詳細は限定的(スクリーニング陽性46名の内訳は原著参照) 文献(APA+DOI):Kurz, S., van Dyck, Z., D…

Guttmanのラムダ係数のRにおける実装

理論はこちら ides.hatenablog.com 昔はLambda4というパッケージがあったようだが、今はアーカイブに入っていて、使えない。 github.com 現在のパッケージの中では、psychパッケージを使ってλ1~λ6を計算する方法をするのが最もよい。 Readme https://cran.r…

Guttmanのラムダ係数(Guttman’s Lambda Coefficients)

Guttman(1945)は古典的テスト理論に基づき、テスト得点の信頼性(真値分散/観測分散)に対する6つの下限(λ1〜λ6)を提示した。いずれも「下限」推定であり、真の信頼性を過小評価し得る。 $- Guttman L (1945). "A Basis for Analyzing Test-Retest Reli…

ADHDに対する中枢神経刺激薬の精神病性障害・双極性障害のリスク

ADHDに対する中枢神経刺激薬(アンフェタミン系、メチルフェニデート)の投与は、精神病性障害や双極性障害の発症リスクを上げる可能性が指摘されているが、因果関係の確定には至っていない。以下、エビデンスの概要と実務的インプリケーションをまとめてお…

スマホは1日2時間まで…市民に促す条例案 市議会の委員会審議は賛否半数ずつに割れて「委員長判断で可決」次の本会議で可決されれば来月1日施行へ 愛知・豊明市(CBC)

newsdig.tbs.co.jp 豊明市議会では、きょういわゆるスマホ条例案の委員会採決が行われ、委員長を除く6人の賛否が半数ずつに割れたため、委員長の判断によって可決しました。

網膜眼底写真の特徴でADHDをスクリーニング

www.nature.com Choi, H., Hong, J., Kang, H. G., Park, M.-H., Ha, S., Lee, J., Yoon, S., Kim, D., Park, Y. R., & Cheon, K.-A. (2025). Retinal fundus imaging as biomarker for ADHD using machine learning for screening and visual attention str…

労働党16歳未満へのYouTube禁止を表明(ABC)

www.abc.net.au 12月にソーシャルメディア禁止令が施行されると、16歳未満のオーストラリア人はユーチューブへのログインが禁止される。 YouTube Kidsは、ユーザーがプラットフォームを通じて他人とコミュニケーションすることを許可していないため、新しい…

オーストラリア、子どものYouTube利用を禁止へ 年内に法施行(産経新聞)

www.nikkei.com 【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリア政府は、年内に施行予定の子どものSNS(交流サイト)利用を禁止する法律を巡り、動画共有サイト「YouTube」を禁止対象に含めると決定した。運営する米グーグルは強く反発しており、法的紛争に発展する…

(社説)スマホ規制条例 依存しない街づくりを(朝日新聞)

www.asahi.com 結局、子育てを温かく見守る地域社会、環境をつくっているか、ということにかかわっている。スマホに依存しない街づくりへ道筋を整えることこそ、自治体の責務だ。

スマートフォン画面使用時間の直接測定:人口統計学的特性および睡眠との関連性

直線的悪化仮説(Linear Decline Hypothesis) 直線的悪化仮説とは、スマートフォンの利用時間が長くなるほど、睡眠時間や睡眠の質が直線的に低下するという仮説である。この仮説では、適度な使用による「安全な範囲」や利益は存在せず、使用量の増加に伴い…

高齢者の携帯電話嗜癖と睡眠の質:抑うつと孤独感の媒介的役割

pmc.ncbi.nlm.nih.gov Tian, H., & Wang, Y. (2023). Mobile Phone Addiction and Sleep Quality among Older People: The Mediating Roles of Depression and Loneliness. Behavioral Sciences, 13(2), 153. https://doi.org/10.3390/bs13020153 研究の背景…

スマートフォン使用と自己申告による睡眠の質に関する用量反応分析:観察研究の系統的レビューとメタ分析

jcsm.aasm.org Chu, Y., Oh, Y., Gwon, M., Hwang, S., Jeong, H., Kim, H.-W., Kim, K., & Kim, Y. H. (2023). Dose-response analysis of smartphone usage and self-reported sleep quality: A systematic review and meta-analysis of observational stu…

18の欧州・北米諸国における思春期のソーシャルメディア利用と睡眠パターンとの関連性

www.sleephealthjournal.org Boniel-Nissim, M., Tynjälä, J., Gobiņa, I., Furstova, J., Eijnden, R. J. J. M. van den, Marino, C., Klanšček, H. J., Klavina-Makrecka, S., Villeruša, A., Lahti, H., Vieno, A., Wong, S. L., Villberg, J., Inchley, …

スマートフォンは青少年の睡眠に悪影響を与えるのか?夜間スマートフォン使用と睡眠に関する電子日記研究

www.sciencedirect.com Tkaczyk, M., Lacko, D., Elavsky, S., Tancoš, M., & Smahel, D. (2023). Are smartphones detrimental to adolescent sleep? An electronic diary study of evening smartphone use and sleep. Computers in Human Behavior, 149, 1…

中国人口におけるテレビ・コンピューター・携帯電話の使用と睡眠の質との関連性:地域ベース横断研究

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Xie, Y. J., Cheung, D. S., Loke, A. Y., Nogueira, B. L., Liu, K. M., Leung, A. Y., Tsang, A. S., Leong, C. S., & Molassiotis, A. (2020). Relationships Between the Usage of Televisions, Computers, and Mobile Phones a…

思春期におけるスクリーン時間とメンタルヘルスの関連性:系統的レビュー

bmcpsychology.biomedcentral.com Santos, R. M. S., Mendes, C. G., Sen Bressani, G. Y., de Alcantara Ventura, S., de Almeida Nogueira, Y. J., de Miranda, D. M., & Romano-Silva, M. A. (2023). The associations between screen time and mental he…

「ゴールディロックス仮説」の大規模検証:デジタル画面使用と思春期の精神的健康状態の関係性の定量化

journals.sagepub.com Przybylski, A. K., & Weinstein, N. (2017). A Large-Scale Test of the Goldilocks Hypothesis: Quantifying the Relations Between Digital-Screen Use and the Mental Well-Being of Adolescents. Psychological Science, 28(2), 2…

生涯にわたる睡眠健康に対するスクリーン使用の影響:全米睡眠財団コンセンサス声明

www.sleephealthjournal.org Hartstein, L. E., Mathew, G. M., Reichenberger, D. A., Rodriguez, I., Allen, N., Chang, A.-M., Chaput, J.-P., Christakis, D. A., Garrison, M., Gooley, J. J., Koos, J. A., Van Den Bulck, J., Woods, H., Zeitzer, J.…

RAVESモデル ― ポジティブな食との関係を築くための実践的枠組み

https://eatingdisorderscarerhelpkit.com.au/wp-content/uploads/2019/10/RAVES-Model.pdf RAVESは、科学的根拠と個人の価値観を組み合わせ、摂食障害や体重への懸念を抱える人々が「直感的な食事(intuitive eating)」へと移行することを支援する枠組みで…