井出草平の研究ノート

2007-01-01から1年間の記事一覧

軽度発達障害とは何か?

発達障害のうち精神遅滞を伴わないものを指す。医学用語ではなく、また、この用語が存在するのは日本だけである。 山崎 しかし、軽度発達障害という言葉が持つ意味は、要するに軽症だとか軽いという意味でしょう? 石川 もともとは知的には問題がないという…

発達障害の過診断

加藤敏、十一元三、山崎晃資、石川元の座談会「いわゆる軽度発達障害を精神医学の立場から再検討する」より。過剰診断について。下記はAD/HDについてのものである。 山崎 児童精神科医、またはそれに近い仕事をしている先生がたにも十分考えてもらいた…

軽度発達障害は6.3%?

文部科学省の出した調査「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童・生徒に関する実態調査」について。6.3%の子どもたちに発達障害がみられるという調査について。 山崎 要するに、あの時の調査研究協力者会議に参画した専門家と言われる…

本メモ

やさしい発達障害論 (サイコ・クリティーク)作者: 高岡健出版社/メーカー: 批評社発売日: 2007/12メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 44回この商品を含むブログ (11件) を見る 高岡健による発達障害の解説書。 内容紹介 発達とは何か。 成長とは何か。 発…

本メモ

やさしい発達障害論 (サイコ・クリティーク)作者: 高岡健出版社/メーカー: 批評社発売日: 2007/12メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 44回この商品を含むブログ (11件) を見る 高岡健による発達障害の解説書。 内容紹介 発達とは何か。 成長とは何か。 発…

Does DSM-IV Asperger's Disorder Exist?

Susan Dickerson Mayes, Susan L. Calhoun and Dana L. Crites, 2001, Does DSM-IV Asperger's Disorder Exist? ,Journal of Abnormal Child Psychology, Volume 29, Number 3, 263-271. メモ。DSM-IVのアスペルガー障害の診断基準が狭いという主旨の論文。…

本二冊メモ

マックス・ヴェーバーにとって社会学とは何か―歴史研究への基礎的予備学作者: 折原浩出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2007/12/20メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (7件) を見る 折原さんは最近、すごい勢いで本を出している。内容的に…

Kappa統計量

メモ。名義尺度判断の一致率の尺度。ノンパラメトリックな手法。 (κ 統計量、the Kappa Statistics、the Kappa coefficient) - 判定者の判断の一致度を計る。 - 例)日本語母語話者による英語の単語の発音を英語母語話者に判断してもらう。 (理解不能:1、理…

イギリス・ウェスト・ミッドランドの自閉症スペクトラムの調査

イギリスの児童発達センターを通しての出現率(incidence rate)調査。 Powell J, Edwards A, Edwards M, et al. Changes in the incidence ofchildhood autism and other autistic spectrum disorders in preschoolchildren from two areas in the West Midla…

スウェーデン・カルルスタードの自閉症スペクトラムの疫学調査

スウェーデンの自閉症スペクトラムの調査。 B Kadesjo, C Gillberg, B Hagberg,1999, Brief Report: Autism and Asperger Syndrome in Seven-Year-Old Children: A Total Population Study Journal of Autism and Developmental Disorders 29:44, 327-331 ht…

アスペルガー障害の診断率は減ってるいるのではないか?

石川元「「軽度発達障害」というラベル」『現代のエスプリ』(476),228〜242,2007/3 石川元による広汎性発達障害の概念整理の論文より。DSM-IV(1994)からDSM-IV-TR(2000)へ改訂されることによって、アスペルガー障害の診断基準が厳しくなったという指摘。 ICD…

マイヤー論文

歴史学の方法 (講談社学術文庫)作者: Max Weber,マックスヴェーバー,祇園寺則夫,祇園寺信彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/03メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 明日の読書会の本。やはりヴェーバーは何度も読み返さなき…

米医療センター、セカンドライフをアスペルガー症候群治療に活用

米医療センター、セカンドライフをアスペルガー症候群治療に活用 http://www.secondtimes.net/news/world/20071121_asperger.html 想世界では、レストランや様々な店舗、オフィス、公園、アパートでの生活など、日常生活とほぼ変わらない状況を再現可能であ…

A-type Portal - 発達障害ポータルサイト

A-type Portal - 発達障害ポータルサイト http://steel-blue.que.jp/a-type/ 発達障害関係の情報を集められているポータルサイトです。色々と情報が載っています。 システムにXOOPSを使われているのが個人的にはポイント高。

大阪府職業カウンセリングセンター

大阪・天満橋の「エル・おおさか」の南館4階にある施設。相談・セミナーはすべて無料。本人だけではなく、親御さんの相談も受け付けているはずである。「ひきこもり」に近い「ニート」の相談を持ち込める施設。相談は予約制。年齢制限はない。職業の紹介はし…

全国の精神保健福祉センター

「ひきこもり」の相談先としてまず上げられるのが全国の精神保健福祉センター。「ひきこもり」について何か相談したいと思った場合は、ひとまず、精神保健福祉センターに連絡を入れるのが良いのではないかと思われる。ただ、よく言われることだが、対応のレ…

フィンランドの広汎性発達障害の調査

Kielinen M, Linna SL, Moilanen I. 2000, Autism in Northern Finland. European child & adolescent psychiatry 9(3):162-7. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=pubmed&uid=11095038&cmd=showdetailview&indexed=google フィンランドの広汎性発…

メモ

hotsumaさんから教えて頂いた文献のメモ。 Robins E, Guze SB (1970): Establishment of Diagnostic Validity in Psychiatric Illness: Its Application to Schizophrenia. American Journal of Psychiatry 126:983-987. 精神症状測定の理論と実際―評価尺度…

精神医学が臨床的に有害というのはよく分からない話

『ひきこもりの社会学』 座談会について 3 http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20071203 上山さんが「カテゴリー化と薬剤談義に終始するタイプの精神医学」を批判したエントリ。具体的にその代表としてhotsumaさんを批判しているようだ。 上山さんの今回のエ…

DSM-IVの診断基準による広汎性発達障害の疫学調査

Suniti Chakrabarti, Eric Fombonne,2001 Pervasive Developmental Disorders in Preschool Children JAMA vol. 285 No. 24 ;285:3093-3099. http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/285/24/3093 ChakrabartiとFombonneによる自閉症スペクトラムの疫…

広汎性発達障害・アスペルガー障害の疫学調査のレビュー

Fombonne E., 2006, Epidemiology of autistic disorder and other pervasive developmental disorders. J Clin Psychiatry. 2006 Dec;67(12) 本文:http://psychiatrist.com/supplenet/v66s10/v66s1001.pdf (PDF) Eric Fombonneによる広汎性発達障害の疫学…

発達障害の資料2つ

カルフォルニアの広汎性発達障害の資料 Changes in the Population of Persons with Autism and Pervasive Developmental Disorders in California’s Developmental Services System: 1987 through 1998 アメリカDepartment of Developmental Servicesの1999…

川畑友二「アスペルガー症候群とシゾイドパーソナリティー障害との関連について」

川畑友二,2007, 「アスペルガー症候群とシゾイドパーソナリティー障害との関連について−児童精神科医としての見解−」 『精神神経学雑誌』109(1):45〜49 アスペルガー障害とシゾイドパーソナリティー障害との関連性についての論文。広汎性発達障害と人格障…

「労働政策研究・研修機構」廃止?

<独法改革>11法人を廃止・民営化 17法人は統合・移管 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071129-00000011-mai-pol 政府の独立行政法人改革の骨格案が28日、明らかになった。都市再生機構など11法人を廃止・民営化するほか、水産総合研究センタ…

斎藤環「『ひきこもり』の現在形

斎藤環「『ひきこもり』の現在形」,2001 『こころの臨床 a・la・carate』 20(20),162-165 斎藤氏の立ち位置についての説明がある論文。 精神科医が社会的発言をしすぎることは,あきらかに有害である。にもかかわらず,そうしたメディアの側のニーズは高い。…

広汎性発達障害の疫学調査の整理論文

メモとして。 Eric Fombonne, 2005, Epidemiology of Autistic Disorder and Other Pervasive Developmental Disorders,J Clin Psychiatry 2005;66[suppl 10]:38 (PDF) とても良くまとまってる。 関連してもう一つ疫学の論文。 FJ Scott, S Barton-Cohen, P …

Gillbergらによるアスペルガー症候群の疫学調査

今回は90年代の有名な疫学調査について Ehlers S, Gillberg C., 1993, The epidemiology of Asperger syndrome. A total population study,J Child Psychol Psychiatry. 1993 Nov;34(8):1327-50. 1993年のスウェーデンでのアスペルガー症候群の疫学調査。今…

木村義則「不登校とひきこもり」

木村義則,2001, 「不登校とひきこもり」 『こころの臨床 à·la·carte』第20巻2号 成人の精神科に勤務していた頃,中学2年から不登校でひきこもりを呈し、90歳の祖父の年金で生活しているが借金も多く,就労できないままひきこもりを続けている30歳の男椎と…

玄田有史『仕事とセックスのあいだ』

仕事とセックスのあいだ (朝日新書 24)作者: 玄田有史,斎藤珠里出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2007/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 24回この商品を含むブログ (29件) を見る 玄田有史氏の今年に入ってからの本。中身は日本人のセックスと仕事…

羽入辰郎『マックス・ヴェーバーの哀しみ』

マックス・ヴェーバーの哀しみ―一生を母親に貪り喰われた男 (PHP新書)作者: 羽入辰郎出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2007/11メディア: 新書購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブログ (18件) を見る ヴェーバーの精神疾患はその意味では正しいのであ…