井出草平の研究ノート

精神障害

インターネットゲーム障害と強迫性障害

スタレリク、アブジュユデの「インターネットゲーム障害、強迫性障害、嗜癖」から。 症候学的な話でややこしいのだが、わりと重要な指摘である。 www.semanticscholar.org Starcevic, Vladan, and Elias Aboujaoude. 2017. “Internet Gaming Disorder, Obses…

フランスで精神分析を受けたのちに性暴力被害を思い出すケースが報じられる

president.jp マチルドさんは、「文化的に優れた環境で幸せな子ども時代を送っていた」と信じていたが、40歳の時、精神分析を始めたことがきっかけで突然、5歳から10歳になるまで、1歳年下の弟と一緒に父親からレイプされていたことを思い出した。季節や来て…

INDIGOネットワークメンバーによるメンタルヘルス関連のスティグマや差別に関する出版物

indigo-group.org 日本でメンタルヘルス系で研究をしているのは医学系の人らしい。

ダラーとスタレリクへの反論:ダニエル・キング「インターネットゲーム障害は精神障害として認定されるべきである」

journals.sagepub.com ダラーとスタレリクが「インターネットゲーム障害は精神障害とはみなすことはできない」という声明を出したことに対して、推進派のダニエル・キングらが反論をしたディベート・ペーパー。 ダラーとスタレリクの論文はこちら。 ides.hat…

インターネットゲーム障害は精神障害とはみなすことはできない

www.semanticscholar.org プレヴィン・ダラー(Pravin Dullur)とプラダン・スタレリク(Vladan Starcevic)による議論ペーパー。 2017年の著作で、ICD-11にゲーム障害が入りそうだ、という時点で書かれた反対の声明である。 精神疾患の診断・統計マニュアル第5…

「ブルーホエールチャレンジ」ゲームなのか犯罪なのか?

ゲーム障害とは関係ないが、ゲームで検索して出てきた話。知らなかったが、一部の国で社会問題化していたらしい。 www.semanticscholar.org Richa Mukhra, N. Baryah, K. Krishan, T. Kanchan, 2019, ‘Blue Whale Challenge’: A Game or Crime? Science and …

小児のADHDと成人のADHDは同じものなのか?

link.springer.com Apter, A. Are childhood and adult ADHD the same entities?. Eur Child Adolesc Psychiatry 27, 821–822 (2018). https://doi.org/10.1007/s00787-018-1176-2 アラン・アプターAlan Apterによって2018年に書かれたエディトリアル。 注意…

キャンプではインターネット依存症は治らない(Global Times)

Global Timesの記事。Global Timesは環球時報の英語版で中国共産党の機関紙『人民日報』系列の紙である。共産党、中国政府の意向が反映された紙面づくりをしていると考えてよい。 そういったポジションの新聞がキャンプや入院をさせても依存症は治らないと主…

修正版YDQ

少し古いがYDQの修正版として提案されているもの。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov K W Beard, E M Wolf, 2001, Modification in the proposed diagnostic criteria for Internet addiction. Cyberpsychol Behav.4(3):377-83. All the following (1-5) must be pre…

インターネット依存症における灰白質と白質の異常

journals.plos.org インターネット・アディクション障害(internet addiction disorder: IAD)が対象。灰白質は神経細胞の細胞体が存在している部位のこと。ボクセルベースの形態計測法(VBM)を用いてIADの青年期の脳の形態を調べ、拡散テンソルイメージン…

インターネットゲーム障害における脳の過活動

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Yajing Meng, Wei Deng, Huiyao Wang, Wanjun Guo, 2015, The prefrontal dysfunction in individuals with Internet gaming disorder: a meta‐analysis of functional magnetic resonance imaging studies, Addict Biol. 20(4): 79…

インターネットゲーム障害の人はストレスが高くレジリエンスが低い

www.ncbi.nlm.nih.gov イタリアの研究。ストレスに対する脆弱性とインターネット・ゲーミング障害(IGD)との関連についての論文。605名の参加者(男性=82%、Mage=24.01歳、SDage=6.11)を対象にオンライン調査を実施。 尺度 知覚ストレスは、the Perceived …

ゲームは抑うつ軽減する

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov この研究の目的は、カジュアルなビデオゲーム(CVG)プレイを治療法として行うことで、うつ病を軽減できるかを明らかにすることである。 カジュアルゲーム カジュアルゲーム協会は、CVGは楽しい、アクセスが速い、学習しやすいと考…

新型コロナのロックダウンで生じるストレスに対してゲームが有効

インドの大学生を対象した調査。この研究はもともとのインターネットゲーム障害の研究の参加者に追加調査したもののようだ。論文ではゲームはストレスに対抗するのに役立つと考えられていると述べられている。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov https://www.research…

インターネットゲーム障害の構造化面接SCI-IGD

www.ncbi.nlm.nih.gov Hoon Jung Koo, Doug Hyun Han, Sung-Yong Park, and Jung-Hye, 2017, The Structured Clinical Interview for DSM-5 Internet Gaming Disorder: Development and Validation for Diagnosing IGD in Adolescents. Psychiatry Investig.…

境界性パーソナリティ障害の早期発症のレビュー

境界性パーソナリティ障害と早期発症に関するレビュー。科研の関係で知識の補充目的に読んだ。 www.ncbi.nlm.nih.gov イントロダクション パーソナリティ障害(PD)は成人期に突然出現するものではなく、実際には、後のパーソナリティ病理に対する脆弱性をも…

ゲーム障害は他の精神障害を引き起こすのではなく、共通の要因によって生じる

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov https://acamh.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jcpp.13289 インターネットゲーム障害(IGD)の症状が高い子どもや青年は、他の子供や青年よりも一般的には精神疾患の症状が多い。一時点の研究=横断的研究では、IGDが原…

ゲーム障害とADHD、衝動性、敵意

インターネットゲーム障害とADHDについての研究。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov - Yen, J.-Y., Liu, T.-L., Wang, P.-W., Chen, C.-S., Yen, C.-F., & Ko, C.-H. (2017). Association between Internet gaming disorder and adult attention deficit and hyperac…

ネット依存症はネット使用時間ではなく不安症状によって説明される

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Bengü Yücens, Ahmet Üzer, 2018, The relationship between internet addiction, social anxiety, impulsivity, self-esteem, and depression in a sample of Turkish undergraduate medical students, Psychiatry Res. 267:313-31…

自閉スペクトラム症の子どもは情動調節がうまくいかず、学校の社会関係に失敗し、学校から離れインターネットゲーム障害になる

という傾向があるという話だ。 自閉症の特性=感情調節不全→学校とのつながりが希薄に→学校への帰属意識が減少→インターネットゲーム障害になる、という仮説である。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Liu S, Yu C, Conner BT, Wang S, Lai W, Zhang W, 2017, Autisti…

インターネット依存症の予測因子は学業成績の低さ、男性、保護的な育児スタイル

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov インターネット依存症の予測因子を探索する前方視野的研究。 Chen, Y.-L., Chen, S.-H., & Gau, S.-F. (2015). ADHD and autistic traits, family function, parenting style, and social adjustment for internet addiction among …

インターネット依存症になる要因はADHD、継続する要因は自閉症とADHD

弘前大学のグループの研究。 www.hirosaki-u.ac.jp link.springer.com インターネット依存症について潜在的移行分析(latent transition analysis)を用いて2年間の移行パターンと安定性について調べた研究。小学生を対象とした調査(9~12歳)で5483名が対象…

精神障害とは何か DSM-IVからDSM-5へ

www.ncbi.nlm.nih.gov - D. J. Stein et al., 2010, What is a mental/psychiatric disorder? From DSM-IV to DSM-V, Psychological Medicine, 40(11): 1759-1765. 精神障害を構成するものとして下記のガイドラインを提唱している。 症状または症候群のパタ…

インターネット依存症・1996-2006年に行われた量的研究の分析

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 1996年から2006年の間に学術雑誌に掲載されたインターネット依存症に関する実証的研究のメタ分析。合計61本の論文があったが、インターネット依存症の社会的・経済的コスト、治療上の問題、従業員のインターネット過剰使用に対する…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その3

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。後半1/3の抄訳。 journals.sagepub.com その1はこちら。 ides.hatenablog.com その2はこちら。 ides.hatenablog.com Ledermannの経験的 Ledermannは彼の単一分布理論とともに経験的なデ…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その2

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。真ん中の1/3の抄訳。今回はLedermannの基本的な仮説の背景。 journals.sagepub.com その1はこちら。 ides.hatenablog.com Ledermannの仮説とその背景 Ledermannは分布問題の分析の序章…

アルコール依存症におけるリーダーマンの単一分布理論 その1

Skogによるリーダーマン(S. Ledermann)の単一分布理論に関しての評論。最初の1/3の抄訳。今回はLedermannの基本的な仮説の説明。 journals.sagepub.com Ledermannの著作は下記のものである。 Ledermann, S. (1946) La mortalite des adultes en France. Popu…

行動嗜癖は精神障害であるべきか否か

さまざまなものが行動の依存症である行動嗜癖ではないかという声が上がっている。依存症とは違い嗜癖(addiction)とは行動のコントロールが取れないことが中核定義にあるため、合理的ではなかったり、個人の意思を超えて発生するものは、すべて嗜癖と定義する…

エクササイズ依存症

ナンシー・ペトリーのレビューからエクササイズ依存症について。 www.ncbi.nlm.nih.gov 運動依存症、運動嗜癖・エクササイズ嗜癖(Exercise Addiction) などの呼び方がある。 過度の運動の結果、体に害があることが当初は想定されていなかったため、「積極的…

買い物依存症

ナンシー・ペトリーのレビューから買い物依存症について。 www.ncbi.nlm.nih.gov 強迫的買い物障害(CBD: Compulsive Buying Disorder)、買い物嗜癖(Shopping Addiction)などという用語も使われる。強迫的買い物障害(CBD)がおそらく適当な用語法であろう。ナ…