井出草平の研究ノート

フランスで精神分析を受けたのちに性暴力被害を思い出すケースが報じられる

president.jp

マチルドさんは、「文化的に優れた環境で幸せな子ども時代を送っていた」と信じていたが、40歳の時、精神分析を始めたことがきっかけで突然、5歳から10歳になるまで、1歳年下の弟と一緒に父親からレイプされていたことを思い出した。季節や来ていた服、弟の泣き声まで「映画のように」鮮明によみがえったという。

「電線に定格以上の大電流が流れるとヒューズが飛ぶように、性犯罪の被害者は、あまりの恐怖に解離性記憶喪失を引き起こすことがあります。そのため、警察で事件について話そうにも、明確に覚えておらず証言できないことがあり、それが裁判で被害者を不利な状況に追い込んでいます」

近親姦の場合は、幼い頃から長期間にわたって加害者と同居せざるを得ないことも多い。レイプや虐待を受けても、翌朝は何ごともなかったかのように一緒に朝食を取るといった、過酷な生活の中で生き続けるために、マチルドさんのように、記憶喪失が30年も続くこともあるという。

虚偽記憶の典型例のような症例だ。いつまでやっているんだろうか。

ides.hatenablog.com

虚偽記憶はロフタスのTEDが分かりやすい。

www.ted.com

PTSDと乖離をセットのように考えている人は、一度この論文を読んでみた方がいいかもしれない。

journals.sagepub.com

  • Lynn SJ, Lilienfeld SO, Merckelbach H, Giesbrecht T, van der Kloet D (2012) Dissociation and dissociative disorders: Challenging conventional wisdom. Curr Dir Psychol Science. 21:48-60.