井出草平の研究ノート

CBCL小児双極性障害プロファイルとADHD、併存症と量的形質遺伝子座分析

www.ncbi.nlm.nih.gov

  • McGough, James J., Sandra K. Loo, James T. McCracken, Jeffrey Dang, Shaunna Clark, Stanley F. Nelson, and Susan L. Smalley. 2008. “CBCL Pediatric Bipolar Disorder Profile and ADHD: Comorbidity and Quantitative Trait Loci Analysis.” Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 47 (10): 1151–57.

目的
CBCLの小児双極性障害(PBD)プロファイルは、臨床医のイデオロギー的バイアスを回避するために親が記入する指標である。CBCLは注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者の鑑別に有用であることが証明されている。我々は、CBCL-PBDプロファイルを用いて、ADHDに罹患した複数の兄弟姉妹を対象としたゲノムワイドスキャンにおいて、併存疾患のパターンを識別し、量的形質遺伝子座(QTL: quantitative trait loci)を探索した。
方法
5~18歳のADHD患者540名を対象に、Kiddie Schedule for Affective Disorders and Schizophrenia (KSADS-PL)とCBCLで評価した。両親は、破壊的行動障害についてKSADSを補足したSchedule for Affected Disorders and Schizophrenia (SADS-LA)で評価した。CBCL-PBDプロファイルに基づいて、精神疾患の併存パターンを対比した。QTL分散成分分析を用いて、CBCL-PBDの量的表現型に対する感受性遺伝子が存在する可能性のあるゲノム領域を同定した。
結果
双極性スペクトラム障害は全体の2%未満であった。CBCL-PBDの分類は,全般性不安障害(p=.001),反抗性反抗障害(p=.008),行為障害(p=.003),親の物質乱用(p=.005)の増加と関連していた。染色体2qに中程度の有意な連鎖シグナル(多点最大LODスコア、MLS=2.5)が認められた。
結論
CBCL-PBDプロファイルは、重大な併存疾患を持つADHD患者のサブセットを区別する。CBCL-PBD表現型の連鎖分析は、重度の精神病理を引き起こしやすい遺伝子をさらに調査する価値のある特定のゲノム領域を示唆している。


注目すべきは、CBCL-PBD群では、CBCL-コントロール群やCBCL-AP群に比べて、双極性障害と診断された割合が3~5倍になっていることである。

CBCLが有効ということなのだろう。 ともあれ、遺伝研究は知識がないのでよくわからない。

2q21.1についてはこちら。

www.spectrumnews.org

自閉症発達障害てんかん注意欠陥多動性障害ADHD)などの患者において、2番染色体の一部に欠失や重複がある
2q21.1には、GPR148、FAM123C、ARHGEF4、FAM168B、PLEKHB2の5つの遺伝子が含まれている