- Marrero, R. J., Fumero, A., Voltes, D., González, M., & Peñate, W. (2021). Individual and interpersonal factors associated with the incidence, persistence, and remission of internet gaming disorders symptoms in an adolescents sample. International Journal of Environmental Research Public Health, 18(21), 11638. https://www.mdpi.com/1660-4601/18/21/11638.
本研究は、スペイン(カナリア諸島)の中学生550人(調査開始時11~18歳、平均13.4歳)を対象とした、2時点(9ヶ月間隔)の縦断研究である。
この研究では、ビデオゲームのプレイ時間、特に平日のプレイ時間が、インターネット・ゲーム障害の症状(IGDs)と正の相関を持ち、将来のIGDsを予測する要因の一つであることが示された。ただし、ゲーム時間が常に問題行動に結びつくわけではないという先行研究の議論にも触れている。IGDsの判断には、臨床診断ではなく「Problematic Videogame Playing (PVP)」という9項目の尺度が用いられた。これはDSM-5の診断基準に基づいており、5つ以上の項目に該当した場合にIGDsありと分類された。自己報告式であり12ヶ月間の持続を確認していないため、「症状(Symptoms)」という用語が使われている。
分析には相関分析、反復測定の多変量共分散分析(MANCOVA)および共分散分析(ANCOVA)、対応のあるt検定、そして将来のIGDsを予測するためのロジスティック回帰分析などが用いられた。抑うつと不安はHADS尺度を用いて測定され、IGDsの発生・持続・寛解との関連が分析された主要な変数であり、単なるコントロール変数ではない。ADHDや自閉症については測定もコントロールもされていない。分析においては、性別と学校の種類(公立/私立)が共変量として統計的にコントロールされた。他にパーソナリティ特性、衝動性、敵意、家族機能なども測定され、IGDsとの関連が調査された。
要旨
ビデオゲームのプレイ行動は、個人的、家族的、社会的、学業的レベルで青年に深刻な影響を及ぼす。本研究では、スペインの青少年におけるゲーム障害症状(IGD)の発症、持続、寛解に関わる危険因子と防御因子を、9ヵ月間の追跡調査後に検討することを目的とした。データは、学年の初め(T1)と終わり(T2)の2回に記入した自記式質問票から抽出した。11歳から20歳の青年950人(M=14、SD=1.52、女性48.5%)がT1時にアンケートに回答し、11歳から18歳の青年550人(M=13.43、SD=1.23、女性48.9%)が追跡調査(T2)に参加した。発症率、持続率、寛解率はそれぞれ6%、2.7%、4.2%であった。T1およびT2において、男性の性別と私立学校での学習との間にIGDとの有意な関係が認められた。その結果、T1におけるビデオゲームのプレイ時間は、T1およびT2においてIGDと正の相関を示した。IGDの発症率は、情緒的問題や家族の低愛情と関連していた。IGDの持続は、より高い運動衝動性、同意性、およびより低い家族の決意と関連していた。寛解は、青年期の不安や敵意の減少、情緒的安定の増加と関連していた。これらの所見は、情緒的な幸福と家族の適応がゲーム行動の効果的な管理に関連しうることを示唆している。