井出草平の研究ノート

少年非行等の概要

警察庁「少年非行等の概要」が出た模様。
http://www.npa.go.jp/
(直リンク http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen28/20060216.pdf )

ここ数年では、凶悪犯*1、粗暴犯*2、る知能犯*3、街頭犯罪*4すべてにおいて減少傾向にある。ただし、再犯者率は上昇傾向にある

平成17年の再犯者率は28.7%(前年比0.6ポイント増)で増加傾向(平成に入って最高)にある。

メディア的には「再犯率が上がったので社会不安だ」という話になるし、警察庁的には再犯防止のために予算(ヽ゚д)クレになるのだろう。


もちろん、そんな解釈は妥当ではない。


おそらくは、一回だけ犯罪に手を染めていた少年たちが犯罪へコミットしなくなったということなんだろう。犯罪に特に親和的な層のみが犯罪を犯す傾向にあるため、全体としての犯罪数は減少する。一回だけ犯罪に手を染める少年たちがいなくなると言うことは、複数回にわたって犯罪にコミットするグループが残存する。従って再犯者率は上がる。


犯罪親和層と犯罪親和層の間に亀裂が入り、犯罪親和層が犯罪から遠ざかりつつある傾向なのではないかと推測できる。もちろんしっかりとデータを詳細に見る必要があるが、ここ数年の傾向をざっと見る限り、そういう傾向を感じる。


追記:
刑法犯少年 昨年、平成で最悪(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060216/eve_____sya_____000.shtml
日本において刑法犯が増加したというわけではない。しかし、犯罪不安は広がっている。
犯罪不安の規定要因は何か? やはり気になるテーマではある。

*1:殺人、強盗、強姦及び放火

*2:凶器準備集合、暴行、傷害、脅迫及び恐喝

*3:詐欺、横領、偽造、汚職、あっせん利得処罰法及び背任

*4:路上強盗、ひったくり、車上ねらい、部品ねらい、自動販売機ねらい、自動車盗、オートバイ盗及び自転車盗の8罪種