本城秀次ほか「ひきこもりに関する研究−不登校の登校回避感情との関連から−」

本城秀次・笛吹素子・小倉正義・村瀬聡美・金子一史・畠垣智恵,2006,
「ひきこもりに関する研究−不登校の登校回避感情との関連から−」
『厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)総括研究報告書
 思春期・青年期の「ひきこもり」に関する精神医学的研究』.


研究要旨

ひきこもりの問題を考える上で,不登校の問題について検討することは重要である。本研究では,不登校であるものの特徴を明らかにすることを目的として,A大学附属病院を受診した不登校児43名とB県内の中学生・高校生を425名を対象に質問紙調査を行った。その結果,不登校群は登校回避感情,強迫性,消極・非社交性,内弁慶,抑うつが一般生徒群よりも高いことが明らかになった。また,強迫性と抑うつについては,今後学校に登校していながら登校回避感情が高い群,つまり不登校予備軍との比較のなかで,より詳細に検討していくことの必要性が示唆された。


 しかし,ひきこもりへの対応を考える際,実際に青年前期を過ぎ,ひきこもりとしてとらえられるようになってからではなく,より早期の対応が望まれる。そして,より早期の段階で対応するためには,まだ不登校と呼ばれる学齢期の段階で,ひきこもりという問題に,どのように対応するのが望ましいかを考えていく必要があるといえる。


「ひきこもり」の入り口である不登校の段階で何らかの策を打つという主張。基本的にはそうだと思う。

 ひきこもりと不登校に共通する問題を見出して,その間題に焦点をあてる必要があると考えられる。
その共通する大きな問題の一つとして,回避行動という問題が考えられる。これは,不登校では学校生活からの回避行動という問題が生じており,ひきこもりでは社会生活からの回避行動とどちらも回避行動という問題が生じているという点で共通した問題であろからである。

学校に登校はしても,登校に対してネガティブな感情を抱いている者が存在すると考えられ,これは不登校の重要な変数であると考えられる。森田(1991)は,そのネガティブな感情を登校回避感情と呼び注目している。

森田の言う「登校回避感情」に着目している。
調査で使用された尺度は3つのようだ。

① 登校回避感情尺度
 藤垣(1996)により作成された,計11項目からなる尺度である(Table1)。それぞれの項目に対して, 「はい」, 「どちらでもない」, 「いいえ」の3件法で回答を求めた。 「はい」は3点, 「どちらでもない」は2点. 「いいえ」は1点と,それぞれ得点化された。合計得点は, 11点から33点の間におさまる。


② 登校拒否関連性格尺度
 本城(1999)により作成された,計22項目からなる尺度である(Table2)。本尺度は,不登校に見られる性格傾向を測定するものであり, 「強迫性」 (11項目), 「消極・非社交性」 (6項目),「内弁慶」 (5項目)の3つの下位角度で構成されている。それぞれの項目に対して, 「はい」, 「どちらでもない」, 「いいえ」の3件法で回答を求めた。 「はい」は3点, 「どちらでもない」は2点「いいえ」は1点と,それぞれ得点化さゎた。合計得点は, 「強迫性」は11点から33点, 「消極・非社交性」は6点から18点, 「内弁慶」は5点から15点の間におさまる。


③ GDI (Children's Depression Inventory)日本語版
 Children's Depression Inventoryの日本語版であり,村田ら(1989)によって作成された,計27項目からなる尺度である(Table2)。本尺度は,子どもの抑うつを測定する尺度である。 3つの項目のうちの一つを選択する形式になっている。上の項目から,それぞれ0点, 1点, 2点と換算する。ただし, 2), 5), 7), 8), 10), 11), 13),15), 16), 18), 21), 24), 25)は逆転項目(上の項目から, 2点, 1点, 0点と換算する)である。合計得点は, 0点から54点の間におさまる。日本の児童青年における臨床的なカットオフポイント(臨床的にうつ病と判断されるスコア)は,22点(村田ら, 1989)である。


なぜかこの論文、文末に参考文献表が欠けている。


おそらく下記の論文だろう。下記論文は修士論文の要約で、該当論文は修士論文そのものではないかと思われる。指標の概要は、下記のPDFで確認できる。

藤垣由美,
「<彙報>登校回避感情と友人関係ストレッサーとの関連について
 : 自己概念と対処方略の視点から(平成 7 年度発達臨床学専攻修士学位論文概要)」
『名古屋大學教育學部紀要』教育心理学科 43,293-294.
http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/dspace/bitstream/2237/4026/1/KJ00000137573.pdf (PDF)


本城秀次論文で1999年に出ているもので該当のものは見つからなかった(サイニィのみ検索)。おそらく別の論文なのだろうが、例えば、これなどが該当しそうだ。この論文には「Children's Depression Inventory」の項目も含まれているようだ。

全子一史・本城秀次・高村咲子,
「自己関係づけと対人恐怖心性・抑うつ・登校拒否傾向との関連」
『パーソナリティ研究』12(1),2-13,20031121.


村田ら(1989)に関しては今のところどの論文を指しているかは不明。Children's Depression Inventoryに関してはここが管理をしている模様。


以下の事実に関しては、要検討ということらしい。確かにこのままだとよく分からない。カテゴリーで切り分けても結果が出なかったのかは不明。

2.登校回避感情と強迫性,消極・非社交性,内弁慶,抑うつとの関連
 一般生徒群において,登校回避感情と強迫性,消極・非社交性,内弁慶,抑うつとの間に有意な正の相関がみられたことから,登校回避感情とこれらの性格傾向は関連があることが明らかにな
った。
 特に,登校回避感情と抑うつは比較的相関が高く(√=,566,βく.001),登校回避感情が高いほど抑うつが高いことが考えられた。しかしながら,不登校群においては登校回避感情と抑うつの相関はそれほど高くないことが予想され(√=.129,ns),登校回避感情と抑うつの関連は高いが,不登校という状態ではそれほど関連はないと考えられる。このことから,登校回避感情をもちながら学校に通う行動が,抑うつを高めている可能性が示唆される。本研究の結果からは,このことについて十分に明らかにされなかったため,今後検討していく必要があるだろう。