井出草平の研究ノート

園田順一ほか「不登校と社会的引きこもり : 発展過程を探り, 対応と予防を考える」

園田順一,高山巌,前田直樹,田中陽子,栗山和広,2004,
「不登校と社会的引きこもり : 発展過程を探り, 対応と予防を考える」
『九州保健福祉大学研究紀要』 5,77-84,


登校刺激あるのみという論文。
登校刺激をしないと「ひきこもり」になるぞ!という脅しが入る。

 とにかく登校拒否への介人は,早ければ早いほど良い.登校拒否の兆しがあれば,すかさず対処することである.「登校刺激を与えるな」とはもっての外である.その初期に適切に対処しないから,長期化するし,しかも長期化すればするほど学校復帰は難しいのである.不登校では,保護者の子どもに対する態度が非常に大切である.保護者はどんなことをしてでも,子どもを登校させるのだという強い姿勢と信念をもつことである.保護者は毅然たる態度で子どもと対決するのである,たとえ子どもの拒否が強くてもそれに負けてはいけない,あくまでも登校させるのだという強い態度を,子どもが茸校するまで堅持し,諦めてはいけない.子どもと根気比べをしていると思い,それに親が負けたら,登校は失敗であると思わなければならない.
 行動科学の観点からは,具体的な学校復帰の方法は2つある.一つは,学校へ段階的に近づけていく方法である(学校接近法).他は,学校場面に曝す(Exposure)という方法である.これは,保護者の協力で子ども自身が勇気を持って直接登校することである.それができなければ,拒否する子どもを強制的に学校へ連れて行き,教室に留まらせるのである,そうすることで, 一挙に不登校は解消する.こんな方法は,手荒いやり方で,心理療法にそぐわないと思うかもしれないが,行動科学に則った行動療法においては,暴露療法(Exposure therapy)として,恐怖症や強迫神経症に適用され,効果を挙げている方法である.不登校心理的治療法として,積極的に用いるべきであろう.社会的引きこもりにさせないためにも,不登校の段階で,学校復帰させておくことである.


意味不明以上に開いた口がふさがらない。
確かに、強引な登校刺激で問題の無くなる不登校児童もいるのは確かだが、だからといって、すべての不登校児童にそのようなことを適応出来るわけもなく、多くの場合は、むしろ逆効果であることは周知の事実である。暴露療法が有効だと考えるのは明らかに間違いである。


不登校・ひきこもり・摂食障害に暴露療法(行動療法)を行う治療者は、症状を問題の原因だと考える傾向にあるが、登校しないことや、自宅にいることや、食べ吐きをすることは問題ではない。何かの問題があるから、学校に行けなかったり、自宅から出られなかったり、食べ吐きをするのである。要するに、原因と結果を混同しているのである。問題の在処を見失い、目に見える症状を見えなくすれば問題が解決したように見せかけるのは「治療」ではない。むしろ「反治療的」である。


問題の所在を間違え、当事者に行動療法の行うような不快な体験をさせ続けると言うことは、新たな症状を引き起こすことになるため問題をより複雑にし、解決困難なものにしているだけである。治療者を名乗るものならば、不登校・ひきこもり・摂食障害という「症状」を押さえて満足するのではなく、それを起こしている問題を解決にしなければならない。


この論文は、「不登校」の登校刺激の説得材料に「ひきこもり」というものを使っているが、このような「ひきこもり」の使い方ももってのほかである。治療どころか、恐喝である。登校刺激の結果、閉じ籠もりが酷くなり、ひきこもり状態になることもある。登校刺激をすることによって「ひきこもり」が防ぐことが出来ると考えるのは、安直以外のなにものでもない。


不登校や引きこもりにさせないための子育て10か条


1.両親は仲がよく.家庭は明るいことである.
2.2,3歳までは,母親とのスキンシップを十分に行ない,愛情を注ぎ,信頼感を育てる.
3.子どもはかばうよりも立ち向かわせよう.
4.子どもはいろいろな体験を積ませる.
5.子どもに物を与えすぎない.
6.子どもに期待し過ぎない.
7.自在させることが第一である.
8.父親は家庭の中で父親像を確立する.
……父親はここぞというときには毅然たる態度で子どもと対決し,肝心な時は家庭の中で存在感のある父親であることである.子どもにとっての父親は,尊敬できる大人であり,ちょっぴり怖い男であって欲しいものである.畏敬される父親がいい
9.子どもの日常生活を正す.
10.子どもに責任をとらせる,


結局、道徳が説きたかっただけなのだろう。くだらない。