治療報告2つ

「二宮恒夫・谷洋江いじめによる再発後,しだいに閉じこもるようになった摂食障害例」
『子どもの心とからだ』第8巻第1号1999年8月

 症例は18歳女性.平成6年5月(14歳)から肥満を気にしてダイエットを始めた.3カ月後に体重は45kgから31kg(肥満度−38%).情緒不安,認知障害,過活動を認めた.10月頃から食後の嘔吐,下剤乱用が始まるとともに,夜中の食料品の買い出し,それをドブに捨て,その度に自己嫌悪に陥った.安心して食べられる量を決め,患児の自立意欲を信じて見守ることにした.平成7年4月,志望高校に入学し,食行動は改善した.9月に容姿をけなされ不登校になり,平成8年3月(16歳)に退学した.その後,過食,嘔吐を繰り返すようになった.大検に合格したが,自分の容姿に自信が持てず,自己嫌悪感,うつ状態が強くなり,外出できなくなった.患児は3人姉妹の第2子で,手のかからない子どもであった.父親は不在がちで,母親は祖母との関係がうまくゆかず,母親の不機嫌は患児に向けられた.食行動が改善した後も継続的に自己評価を高める援助が必要である。

安島英裕・丸山準,
「不登校,引きこもり,摂食障害を主訴に当院を受診した一女児例」
『子どもの心とからだ』第12巻第2号 2004年3月

 中一1学期より不登校,引きこもり,中二夏休みより摂食障害を発症した女児を経験した.
DSM−IVTRにより,大うつ病−重症,神経性食思不振症−制限型,全般性不安障害,回遊性人格障害と診断した.うつの評価には日本版SDSを使用した.SDS租点は,SSRI開始後3週間で62点が60点と効果無く,スルピリドに変更後3週間で39点と著効し,摂食量・体重増加を認めた.神経性食思不振症は,入院時には診断基準を満たさなかったものの,うつの改善に伴いマスクされていたやせ願望等が明確化し,診断基準を満たした.体重減少率も入院時−35.7%→−42.4%→退院時−30%→現在−23,8%と良好に経過している.児の社会性の獲得と自立を目標に掲げ,家人の承諾を得て,姫路市立教育相談センター,姫路市教育委員会兵庫県姫路こどもセンターと連絡をとり,現籍校のスクールカウンセラーと良好な連携ができた.母児ともに現籍校への登校を試行している.


スルピリドの投薬が行われている。拒食症の場合は基本的に薬剤が効かないので、この場合は、大うつ病に対しての投薬であると考えられる。過食に関しての第一選択はSSRIフルオキセチンプロザック)で、日本では発売されていないので、フルボキサミンルボックス)が第一選択になる。その他のものとして、イミプラミン(imipramine) 、デシプラミン(desipramine) 、アミトリプチリン(amitriptyline) 、ミアンセリン(mianserin) 、ブプロピオン(bupropion) 、トラゾドン(trazodone) 、フェネルジン(phenelzine) などがあるが、これらはすべて過食・過食嘔吐という症状に対しての有効性しか無い。