井出草平の研究ノート

ひきこもり施設で男性が暴行死か

名古屋市北区芳野の引きこもり者更生支援施設「アイ・メンタルスクール」(杉浦昌子代表理事)で18日朝、入寮中の東京都世田谷区、無職男性(26)が死亡し、愛知県警北署が19日に司法解剖した結果、死因は腕や足の打撲による外傷性ショックとわかった。
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20060419/20060419ic22-yol.html

明らかに致命傷とされるような大きな傷はなく、同署は死因について、体を強く縛ることによって体内に酸素が行き渡らなくなって毒性物質が発生し、それが全身に行き渡って死に至る「阻血性ショック」の可能性があるとみている。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060421/eve_____sya_____010.shtml


新聞報道


アイ・メンタルスクール
http://www.ai-mental.com/
リンク切れ


代表 杉浦昌子の著書


トイレに住みついた少年―熱血カウンセラーが見たひきこもりの現実

トイレに住みついた少年―熱血カウンセラーが見たひきこもりの現実


杉浦昌子のインタビュー
http://www.mammo.tv/interview/046_SugiuraS/


追記:

 氏(杉浦昌子)は、姉の長田百合子と同様ひきこもっている青少年を連れ出して入寮させ、生活に始まり学校復帰や就労への支援を行っています。


杉浦昌子長田百合子の実の妹だそうだ。長田百合子は2005年7月に元塾生から損害賠償を求める訴えを起こされている。(参照


追記(2006.04.21)

追記(2006.04.21)
とくダネ!」で再び取り上げられ、工藤定次NPO法人青少年自立援助センター理事長)が出演。VTRで鎖でつながれた入所者の映像が流れる(右下)。



工藤の上げる問題点

●自立の早急性
急ぎすぎて無理が来る。自立の可能性は非常に低くなる。
●暴れた時の対処法
NPO法人青少年自立援助センターでは、暴れた時の対応マニュアルはある。スタッフが3,4人で手足を押さえたりするが、その他の危惧を使うことは考えられない。
ひきこもりの宿泊型施設では暴力性と同居できない。暴力性をどうするか?という問題。他の施設を紹介する必要がある。
●施設に強制入所
NPO法人青少年自立援助センターでは、訪問には1年〜1年半をかける。ゆっくり本人を説得する。早急にすると反発が起きる。

施設でどのようなことをやっているかということを公開する必要がある。


ずっと一人で生きてきたひきこもりをいきなり10人とかの集団生活をすると、ストレスがたまるし、恐怖心を持つだろう。NPO法人青少年自立援助センターでは1人1部屋が原則。


ひきこもりにもいろいろいる。施設の対処できるひきこもりの範囲はあり、限界の説明が必要。


彼らを形だけ規律正しくしても無意味。自分で「起きる」ということを承知しないとダメ。鎖でつなぐなど考えられない。一時的に暴れたとしても、落ち着いて話をすれば大丈夫。丁寧に付き合えば、鎖などは不要。


追記(2006.04.24)

名古屋市内で下は中学生から上は46歳まで全員共同の寮で預かっています。24時間体制でスタッフが管理しており、スタッフには元不登校生を使っておりません。25年ぐらい前に姉と補習塾を始めたのがきっかけです。当時は補習塾として愛知県で一番の生徒数がありました。次第に学校や塾に行かない生徒が増え始め、訪問カウンセリングを始めました。不登校のための親の教室、生徒の教室をつくりました。姉との考え方の違いで12、3年前から独立し、現在に至っております
http://homepage3.nifty.com/minkan-kyoiku/m-3rdgakkai.htm


長田氏とは考えが違うとのこと。


追記(2006.04.24)

「付属施設の寮は、NPO法人認証の対象外。監督権限がない」今回の事件に愛知県は、困惑する。県社会活動推進課は、「現時点でも任意で事情を聴くしかない」と打ち明け 民間支援施設の実態を把握できない制度の問題が浮かび上がった。 県が アイメンタルスクールを認証したのは、2001年11月。しかし 設立目的や事業の中で 「寮」という文言は、一切記されず 県は、長い間 事件のあった寮の存在自体を知らなかった。  

 成年の入寮者を子どもと誤解した近隣住民から 「たばこを吸っている」との通報を受けたのをきっかけに調べたところ NPOと同名の有限会社が営利活動として 寮を運営していることが判明。 今年1月 利用者が誤解しないよう区別して記するよう指導した。

 寮そのものは、NPO法人でないため 県は、NPO法に基づく立ち入り検査や 改善命令などを行うことができない。 成年入寮者がいるため。児童福祉法でも十分対応することができない。精神保健福祉法に基づく社会復帰施設として届け出も名古屋市になく、市の監督対象にもなっていなかった。

 県認証のNPO法人は、計855あるが アイメンタルスクールに類似した団体がいくつあるか分かっていない。「引きこもりへの十分な公的支援制度が存在しないからこそ こうした支援施設の存在意義がある」(県職員)との声もあるが ”制度のすき間”にある施設の実態を早急に把握する必要に迫られそうだ。

翌日の 新聞には・・・

「宿泊型施設実態 愛知県が把握へ」
 愛知県は、21日、近く同種の宿泊型支援施設の実態把握に乗り出すことを決めた。
 施設は、県からNPO法人の認証を受けていたが、事件の舞台となった寮は別の有限会社が経営する監督外の施設。
精神保健法に基づく社会復帰施設としての届け出もないため、実態が公的に把握されていなかった。
 こうした問題を受け 県保健福祉部は、ほかのNPO法人などの協力も得て、まず県内の宿泊型施設をリストアップ。「相手の了解が得られれば任意で活動内容を聴くなど可能な限り実情の把握に努めたい」(障害福祉課)と話している。
http://www4.rocketbbs.com/341/konarun.html


アイメンタルスクールは、県からNPO法人の認証を受けていたが、寮は認可を受けていなかったらしい。


追記(2006.04.28)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060426-00000026-rbb-sci

ヤフーの2006年4月17日〜4月23日時事検索ランキング6位が「アイ・メンタルスクール」だったらしい。検索はかけられているようだ。

大田垣洋子ほか「摂食障害患者の自尊感情についての検討」

大田垣洋子・米澤治文・志和資朗・斎藤浩・中村研,
「摂食障害患者の自尊感情についての検討」
『心身医学』2005年3月,第45巻第3号,225-31.

 摂食障害患者103例について自尊感情と摂食態度,感情状態,羅病期間,BMlとの関連をローゼンバークの自尊感情尺度,EAT,BITE,POMSを用いて検討し,さらに病型間の自尊感情の比較を行った.
 摂食障害患者の自尊感情は,摂食態度や感情状態との関連を認めたが,罹病期間やBMIとの関連は認めなかった.また重回帰分析において,自尊感情と摂食態度との関連が確認された.病型間の比較では,ANではむちゃ食い/排出行動のある群,BNでは排出行動のない群で自尊感情が低かった.


拒食症(無茶食い+パージング)と過食症(パージング無)で自尊感情が低かったとのこと。


ちなみに、拒食症+無茶食いと過食症はどう違うのかということに関しては、DSMはこう言ってる。

神経性無食欲症の期間中にのみ無茶喰い行動が起こる患者は,神経性無食欲症,無茶喰い/排出型,と診断し,神経性大食症の追加診断を下すべきではない.無茶喰いと排出を行い,その特徴がもはや神経性無食欲症,無茶喰い/排出型,の基準を完全に満たさない人の場合(例:体重が正常であったり月経が正常化したりした場合),現時点での最適な診断が,神経性無食欲症,無茶喰い/排出型,部分寛解であるか,神経性大食症であるかは,臨床的に判断すべき問題となる.


通常の自尊感情は25あたりだそうな。

井上によれば岡山大学の女子大学生202名のRSESの平均値は25.01±3.59と報告されており,今回得られたすべての病型の摂食障害患者のRSESよりも高値であった.


順番に並べると以下のようになる。


過食症過食症(パージング)<拒食症(パージング)<拒食症<非摂食障害


パージングをする過食と拒食の違いがどれほど違うのかは分からないが、パージングを挟んで、過食<拒食<非摂食障害となっている。パージングという手段は妥協案的なポジションなのかもしれない。


この論文ではBMIとの関係がないとしているが、本人の認識と客観的指標のBMIは必ずしも一致しない。つまり、BMI摂食障害の基準を満たしていても、本人は太っていると認識しているなどである。本人のボディ・イメージと自尊感情との関係についての分析が必要であろう。このことは論文中でも指摘されているので、追加研究を望む。

新聞記事


気になった記事をいくつかクリップ

摂食障害、初の全国組織 患者・家族・医師ら情報交換や交流/奈良 
朝日新聞 2001年11月6日 朝刊 奈良2 

過食症や拒食症などの摂食障害に悩む患者や家族、治療に携わる医師らが「日本摂食障害ネットワーク」を大阪で立ち上げた。

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